「正直に言うと、最初は“自分の仕事”しか見ていませんでした。」
そう話してくれたのは、ある拠点で働く社員だった。
入社当初、彼の仕事ははっきりしていた。
発注を受け、商品を手配し、出荷する。
ミスなく、早く、正確に。
それができれば評価されると思っていたし、実際に間違いではなかった。
ただ、ある日こんなことがあった。
取引先からの納品に遅れが出た。
原因は在庫の読み違いだった。
誰か一人のミスではない。
営業、在庫管理、現場の連携が少しずつズレた結果だった。
「自分の担当じゃないので、分かりません」
そう言うこともできた。
実際、それまではそうしていた。
でも、そのとき彼は少しだけ考えた。
「本当に、自分には関係ないのか?」
在庫の数字は見えていた。
違和感も、正直あった。
ただ、それを口にしなかっただけだ。
その日から、彼の行動は少し変わった。
気づいたことを、その場で伝えるようになった。
営業にも、他の拠点にも、自分から声をかけるようになった。
最初は戸惑われることもあった。
「そこまでやらなくてもいい」と言われることもあった。
それでも続けた。
すると、少しずつ変化が出てきた。
情報の流れが早くなり、
トラブルの予兆に気づけるようになり、
結果としてミスも減っていった。
あるとき、営業担当が彼にこう言った。
「最近、助かってるよ」
それは大きな言葉ではなかった。
でも、彼にとっては十分だった。
「仕事って、自分の範囲だけじゃないんだと初めて思いました。」
彼はそう振り返る。
当社の仕事は、単純な分業では成り立たない。
商品を仕入れるだけでも、
運ぶだけでも、
売るだけでも、
どこかで必ず歪みが出る。
だからこそ、私たちは役割で線を引かない。
営業も、物流も、事務も、
すべてがつながってはじめて機能する。
そしてその“つながり”は、仕組みだけでは完成しない。
最後は、人の意識と行動に依存する。
エアレスタイヤ自転車のように、
“問題が起きない状態”を商品でつくることも大切だ。
同時に、現場でも同じことが求められる。
問題が起きてから動くのではなく、
起きないように動く。
そのために必要なのは、特別なスキルではない。
少しの違和感に気づくこと。
それを言葉にすること。
そして、一歩踏み出すこと。
それだけで、現場は変わり始める。
人が変われば、流れが変わる。
流れが変われば、結果が変わる。
大きな変革は、突然は起きない。
こうした小さな変化の積み重ねが、
やがて会社のかたちをつくっていく。
私たちは、特別な人材を求めているわけではない。
ただ、目の前のことに向き合い、
少しだけ踏み込める人と、一緒に働きたいと思っている。
人は、環境で変わる。
そして環境は、人がつくる。
その循環の中に、自分も加わってみたいと思う方を、
私たちは歓迎しています。