朝、会社に着いた瞬間に、上司が紙を一枚渡してきた。
そこには数字が並んでいた。
達成率、在庫回転、導入率。
どれも悪くはないが、伸びているとも言えない数字だった。
上司は言った。
「この数字、今日から全部あなたの責任で伸ばしていい。」
説明はなかった。
目標も細かく決まっていなかった。
ただ、“任せる”という事実だけが置かれた。
その瞬間、体が勝手に動いた。
紙を見たまま席を立ち、担当リストを開き、優先順位を並べ替えた。
誰に言われたわけでもない。
ただ、数字を伸ばす権限を渡されたから、動いた。
午前中だけで、三件の改善案をまとめた。
在庫の偏り、売れ筋の位置、季節商材の展開。
午後には、店舗に電話し、翌日の調整を入れた。
夕方には、物流と商品部門に連絡し、必要な数量を確保した。
気づけば、今日だけで一週間分の仕事量を終えていた。
やる気が出たから動いたんじゃない。
動いた瞬間に、やる気が勝手に上がった。
帰り際、上司が言った。
「今日のスピード、ずっと続けていいよ。」
その言葉で、さらにギアが上がった。