"変化とは、外から強いられるものではなく、内から選び取るものだ" ―― ある経営者の言葉より
自転車をBtoBで扱う私たちの仕事は、長らく「安定」という言葉と共にあった。決まった時期に、決まった取引先から、決まった台数の発注が入る。その安定が、ある朝を境に崩れることになるとは、誰も思っていなかった。
第一章:数字が語り始めたこと
"数字は嘘をつかない。嘘をつくのは、数字を見ない人間だ" ―― 会議室での、ある社員の発言
長年の主要取引先から届いた一通の連絡。それは、海外メーカーとの直接取引に切り替える、という内容だった。理由は明快で、価格だった。私たちには、その価格差を埋める術がなかった。
社内の会議では、値下げか、新規開拓か、という二つの案の間で議論が繰り返された。しかしどちらも、根本的な問いを避けたままの延命策にすぎなかった。
第二章:問い直したのは、売り方ではなく存在意義だった
"自分が何を売っているかを本当に理解している者は、思うより少ない" ―― 社内資料に引用された一節
過去の問い合わせ履歴を見返すと、顧客が求めていたのは「安い自転車」ではなく、「現場の課題を一緒に解決してくれる相手」だった。仕様の調整、導入後の保守、突発的なトラブルへの対応。私たちが本当に売ってきたのは、車両そのものではなく、この対応力だったのだ。
第三章:降りる、という決断
"戦う場所を間違えている限り、どれだけ努力しても勝てない" ―― プロジェクトメンバーが会議で語った言葉
私たちは、価格競争という土俵から降りることを選んだ。短期的には、案件数が減ることを意味する決断だった。それでも、価格でしか判断しない取引よりも、現場の課題に共に向き合ってくれる関係を選ぶことにした。
車両の選定から、導入後の運用支援、稼働データをもとにした改善提案まで。私たちは「自転車を売る会社」から、「法人の輸送課題に伴走する会社」へと、静かに姿を変えていった。
終章:それでも、この問いは終わらない
"答えを出すことより、問い続けることの方が、時に難しい" ―― 創業以来、社内で語り継がれている言葉
今、受注の理由は価格ではなく、現場への理解度で決まることが増えてきた。だが「私たちは何を売っているのか」という問いに、完全な答えが出たわけではない。事業環境が変わるたびに、この問いはまた新しい形で戻ってくるはずだ。
だからこそ、この問いを一緒に更新し続けてくれる仲間を、私たちは探している。