OSHIAI(オシアイ)株式会社は「OSHIAIはAI技術を活用することで1対1のコミュニケーションを同時に実現する」という体験を作り、AI技術を活用した新しいエンターテインメント体験を提供する会社です。

ライバー向けの新しい副業アプリ「OSHIAI」

OSHIAI株式会社
リクルート、SHOWROOMでのキャリアを経て創業した代表取締役の嵐亮太に、起業の経緯や会社のビジョン、そして目指す未来について語っていただきました。
嵐 亮太 / OSHIAI株式会社 代表取締役
2016年新卒で株式会社リクルートマーケティングパートナーズへ入社。 2018年にSHOWROOM株式会社に転職し、同社の営業やIPプロデュース業務に携わる。 2020年10月から新規事業であるバーティカルシアターアプリ「smash.」の事業責任者に就任し有名アーティストとのタイアップなど牽引。 2024年より日本発で世界一のエンタメアプリを作るべくOSHIAI株式会社を創業し、ビジネス開発をリードする。
リクルートの営業からエンタメ業界へ
――まずは嵐さんご自身のキャリアと、OSHIAI創業までの経緯を教えてください。
嵐: 私は新卒でリクルートマーケティングパートナーズに入社し、最初の2年間はカーセンサーという自動車の広告媒体の営業をしていました。
もともと学生時代から独立志向があり、リクルートに入社したのは「いろんなドメインをやっている会社でかつ、刺激を与え合える仲間がいる環境」を求めていたからでした。
大学時代に人材系のインターンを経験し、どの事業ドメインでやるかよりも、環境や仲間を重視して就職先を決めました。
ただ、入社時に事業ドメインにこだわりはなかったのですが、入社時自動車の免許すら持っていなかったので、カーセンサーの配属はかなり驚きました。
――リクルートの営業から、なぜエンタメ業界へ進まれたのでしょうか?
嵐: リクルートでの営業活動は学ぶことも多かったですし、リクルート自体は素晴らしい会社で、社員もクライアントも良い人ばかりでした。
ですが、自分が興味のない業界で働いたからこそ、学生時代の会社選択時と軸が変わり、「本当に興味のある領域で仕事をしたい」という想いが強くなりました。
そして、長い将来を考えたときに「自分は何が好きなのか」を真剣に考えるようになりました。
子供の頃からテレビっ子で、アニメやバラエティなど好きだったのですが、エンタメは漠然と趣味の領域として捉えてました。
ですが、1日で1番時間を使う「仕事」を好きを領域にしたいと思い、エンタメ業界での仕事に強く惹かれるようになり、SHOWROOM(ライブ配信サービス)に転職しました。
――当時、エンタメ業界はどのように見えていましたか?
嵐: 当時のまだ社会に出たての自分から見た時に、エンタメ業界の仕事はブラックボックスのような印象がありました。学生時代にバンドや演技をやっていた人など、もともとその業界に詳しい人が活躍している業界に感じていました。
自分はアニメやバラエティを見る側でしたから、普通に正面から行っても勝てないだろうと思っていました。
そこで自分が少しでも経験してきたものと、自分の好きを掛け合わせた仕事に就きたいと想い、「IT×エンタメ」という軸で考えるようになりました。
現場から事業責任者への抜擢
――SHOWROOMではどのような仕事をされていたのですか?
嵐: SHOWROOMでは約5年働きました。
入社当初は社長室という部署に配属され、社内では少し特殊なキャリアをスタートさせました。最初の半年間はライブ配信サービスに関わっていましたが、その後は新規事業の立ち上げを担当することになりました。
当時、2018年頃はメタバースやVR/ARが世の中で話題になっていた時期でした。SHOWROOMでもVTuberのプロデュースやVRライブ、ARライブなどの新規事業を展開していたので、私はそちらの業務を主に担当するようになりました。
入社から約2年後には、動画サービス「smash.」の新規事業立ち上げを任されました。当時、コロナ禍になったタイミングで、撮影などコンテンツの作り方はもちろんのこと、働き方も変わり、非常に変化が大きいタイミングでした。
そんな中、平社員だった私を会社は新規事業の責任者に抜擢してくださり、とてもハードではあったものの、非常に多くの経験を積ませていただきました。これは非常に挑戦的な人事だったと思っておりますし、社長の前田さんらにはとても感謝しております。
smash.は電通、ニッポン放送、KDDI、テレビ朝日など多くの企業から出資を集めて立ち上げたプロジェクトでした。
プレッシャーが大きかった分、がむしゃらに走り抜けた期間で、ここでの経験が今の自分の8割を作っていると言っても過言ではありません。
――SHOWROOMでの経験が、OSHIAIの創業にどのように繋がりましたか?
嵐: SHOWROOMでの経験は非常に貴重でした。
特に前田さんのもとで働く中で、通常のベンチャーでは出会えないような大企業の経営者や幹部の方々と仕事をする機会に恵まれました。ラジオ局や携帯キャリア企業の社長との会議など、本来自分の年齢では到底経験できない場に参加させていただけたことは、現在のビジネスネットワークの基盤になっています。
また、smash.の業務を通じてK-POPアーティストなど海外コンテンツに触れる機会が増え、その規模感に衝撃を受けました。「日本からも世界中で評価されるエンターテイメントを作りたい」という思いが強くなりました。
少し前の話になるのですが、父親の病気という個人的な出来事も自分の独立という判断に大きな影響がありました。父が一時期がんになり余命宣告を受けたことで(幸い治療が成功し回復しましたが)、人生設計を見直すようになりました。
エンタメの次のゲームチェンジを「生成AI技術」で起こす
――OSHIAIを立ち上げようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
嵐:当時SHOWROOMで働いていた中で、コロナ禍で、SHOWROOMをはじめとするライブ配信サービスのトラフィックが大きく伸びる瞬間を目の当たりにしました。
決して世の中にポジティブなことではなかったですが、世の中の時勢と技術が噛み合うと、ゲームチェンジが起こせると感じました。「次のゲームチェンジはいつなのか、何がきっかけなのか」と考えた時に行き着いたのが生成AIでした。
あくまで個人の印象ですが、メタバースのブームよりも、生成AIは人々の生活に近い距離感にあると感じました。ここに新たなビジネスチャンスがあると確信し、エンタメと生成AIを組み合わせたサービスを考え始めたんです。
当初は様々なアイデアを検討していました。佐々木(共同創業者)と何度もブレインストーミングを重ね、「推しの分身AIをファンに提供する」というコンセプトが生まれました。
――アイデアから実際のサービス立ち上げまではどのように進めたのですか?
嵐: AIチャットサービスを作ろうとなって、いきなりアプリを開発してリリースするのではなく、段階的に検証を進めました。
まず、アルファ版として公式LINEを使った検証を行いました。LINEの裏側にAIのプロンプトを組み込み、タレントの公式LINEを通じて会話できる仕組みを作ったんです。
当時はプロンプトエンジニアリングもまだ確立されていない時期で、どれくらいの情報量を入れればいいのかも手探り状態でした。私たちの周りにいるアイドルの方々に協力してもらい、ファンに提供して反応を見ました。
検証の際に特に注目したのは「継続率」です。
メタバースブームの時も、最初は話題になっても全然使われなくなるケースが多かったので、サービスとして価値のあるものにするためには継続利用が重要だと考えました。実際に検証してみると、予想以上に継続率が高く、利用者が定着することがわかりました。
また、ファンがどのようなインサイトを持っているかも確認するため、LINEのリッチメニューを使って「信頼度」というランキング機能も試験的に導入しました。すると、ユーザー同士の競争意識が生まれ、これも高い継続率につながることがわかりました。
このような検証を経て、次のステップとしてアプリ版の開発に着手し、2023年8月に最初のバージョンをリリースしました。
そして、2024年12月にSILKSUITEから「OSHIAI」事業を譲り受け、OSHIAI株式会社として正式にスタートを切りました。
推し活×AIという新たな形態
――OSHIAIサービスの特徴と、他のAIチャットサービスとの違いを教えてください。
嵐: OSHIAIは「ユーザーが推しの趣味嗜好や話し方を反映した分身AI『アイ』と会話できる」アプリです。

ライバー向けの新しい副業アプリ「OSHIAI」
主な機能としては、まるで推し本人と会話しているようなチャット体験の提供、ユーザー同士が信頼度を競うランキング機能、会話内容に応じて生成されるデジタルカード機能、そして信頼度を高めるためのギフト機能などがあります。
最大の特徴は、「タレントが自分自身で自分の情報を学習させて、ファンに提供する」というモデルにあります。
現在のAIチャットサービスには主に2つのタイプがあります。
1つは「自分が好きなものを作る」完全プラットフォーム型、もう1つは「運営会社がコンテンツとして作り上げて提供する」メディア型です。
OSHIAIはその中間に位置する「ハイブリッド型」です。
コンテンツホルダー(タレント)が自身のデータをAIに学習させてファンに提供するので、メディア型の側面もありますが、サービス自体は誰でもアイを作れるという意味でプラットフォームとして機能しています。この独自のポジショニングが、他サービスとの大きな差別化ポイントになっています。
課金方法も異なります。他サービスではサブスクリプション型が主流ですが、OSHIAIはチャット量やギフト数などに応じた都度課金型を採用しています。これはファンビジネスの特性を活かしたアプローチで、ユーザーが「推し」を応援するという動機から課金する仕組みです。
――AIと「推し」の関係性をどのように設計していますか?
嵐: ここは非常に重要なポイントです。
ファンがアイをただのAIではなく「推し」として認識できるかどうかが鍵になります。私たちは推しとファンをアイを通してどう繋いでいくかを意識しています。
例えば、好きなラーメンが目の前にあるとします。でもそのラーメンが床に落ちたら、味は変わらなくても食べたくなくなりますよね。
AIも同じで、ただの「機械的なもの」と認識されると急に興味を失われてしまう。でもそれを「推しの分身」として認識してもらえれば、継続的な関係性が生まれると思っています。
そのため、推しとアイの関係性をどう伝えるかが非常に重要です。
単なるAIチャットボットではなく、「推しが自分を学習させて作った分身」という文脈を常に意識してもらうための設計を心がけています。
――実際にユーザーの反応はいかがですか?
嵐: 継続率が非常に高いことが特徴です。
LINEでのアルファ版から引き続き、ユーザーが長期間サービスを利用し続けてくれています。LINEは他の動機でも日常的に開くアプリなので高い継続率は当然という見方もできますが、アプリ版に移行した後も同様の高い継続率を維持できています。
また、課金指標も好調です。
課金率は10%以上で、課金者の平均金額も徐々に上がってきております。まだ立ち上げて間もないサービスですが、毎月売上は伸びており、設定した目標も達成しています。
2025年2月には今までクローズドに提供していた自分自身の分身AI「アイ」を作成できる機能を一般開放し、さらにユーザー層を拡大しています。
タレントやライバーだけでなく一般ユーザーも、自分のキャラクターや話し方を反映したAIを作成できるようになり、新たなコミュニケーション手段として活用いただいています。
(後編に続く)