2026年4月1日、浅草に「お泊まり会」が始まる
隅田川の風を感じ、スカイツリーを間近に望むこの場所に、
新しい「illi」が誕生しました。
「illi Haku Asakusa」
私たちがこの場所に込めた想いは、
「Sleepover(お泊まり会)」です。
友人や家族と床に近い目線で座り、お菓子を広げ、ゲームに興じ、夜通し語り合う。
修学旅行の夜のような、あの無敵なワクワク感。
そんな温かな風景をハード面から設計したホテルですが、
実は完成直前まで、私たちはある「巨大な壁」と戦っていました。
▼突きつけられた「収益性」と「ゆとり」
プロジェクトが始動した際、
最大の課題となったのは空間の使い方でした。
浅草・花川戸という一等地。
通常、ホテルの開発では、
いかに客室数を増やして収益を上げるかが至上命令となります。
しかし、illi Haku Asakusaのコンセプトは「Sleepover」。
ゆとりある客室と、
ゲストが自然と集まりたくなる広々としたロビーは、絶対に譲れない要素でした。
「部屋数を減らしてでも、このロビーの広さを確保するのか?」
「この予算で、家族やグループが我が家のように寛げる機能をどこまで詰め込めるのか?」
資材高騰という現実を前に、当初の見積もりは理想を大きくオーバー。
▼こだわりが、ゲストの体験を彩る
PMが出した答えは、
妥協ではなく「空間の再定義」でした。
今回の設計で最もこだわったのは、
窓際に鎮座する「赤い大きなソファベッド」です。
「Sleepover」の核となるのは、みんなで顔を合わせられる場所。
私たちはこのソファを空間の主役に据えることで、費用を抑えつつ「体験」を最大化させる道を選びました。
このソファは、昼は浅草の街並みを展望できる特等席になり、
夜は大人数が横になれるベッドへと姿を変えます。
無機質なコンクリートの質感に、温かみのある木材と、
浅草の粋を感じさせる鮮やかな「赤」を大胆に組み合わせることで、
インバウンドのお客様が期待する「現代的な和モダン」の空気を、
素材のコントラストによって表現しきりました。
また、中長期滞在にも対応する「我が家のような機能性」を守るため、
キッチンやアメニティの配置を1mm単位で調整しています。
知恵と執念を注ぐ。
現場で職人さんと「ここ、あと数ミリ詰められませんか?」と
議論を重ねた時間は、理想と現実を整える作業そのものです。
▼完成は、新しいストーリーの始まり
先日、無事にゲストをお迎えした illi Haku Asakusa。
「ホテルのような清潔さ」と「我が家のような機能性」、
そして「この場所だけの空間美」。
BNSが約束する価値を、予算という制約を言い訳にせず形にする。
それこそが、私たちの誇る仕事です。