「家は一つ。でも、暮らしや働き方は一つじゃなくていい。」
そんな仮説を確かめるために、マイクロベースは**DUALER LAB(デュアラーラボ)**を始めます。
このラボは、ここに至るまで、私たちは二つの記事を通じて、自分たちが直面している問いと、そこから生まれた仮説をお伝えしてきました。
まず、データ予測会社としての限界、その先へ——マイクロベースの新たな挑戦では、AIやデータによる「最適化」だけでは、地域や暮らしの未来をつくりきれないという問題意識を書きました。既存の尺度のなかで正しい答えを出すだけでなく、まだ評価されていない価値を見つけ、自分たちで現場に入り、試していく必要がある——という、会社としての次の挑戦です。
続くなぜ多拠点居住は広がらないのか——暮らしの「主」と「副」から考えるでは、その挑戦を暮らしの側から掘り下げました。仕事や子育てという動かしにくい「主」を守りながら、心身を回復させる「副」の時間を持つ。多拠点居住を一部の人だけのものにしないには、二つ目の拠点を新たな負担にせず、「主」と「副」を逆転させない設計が必要なのではないか——という仮説です。
会社として、分析するだけでなく実行する。その最初のテーマとして、「主」を守りながら「副」を育てられる暮らし方を試す。
この二つの話が合流して生まれた具体的なアクションが、社内につくるDUALER LABです。
今回は、なぜ住宅・空き家のデータを扱う会社が“暮らしのラボ”をつくるのか、そして、ここで何を試そうとしているのかを、少し率直にお話しします。
そもそも「デュアラー」って?
私たちが考えるデュアラーは、自宅以外にも自分らしい生活拠点・就業拠点を持ち、複数の地域を日常として楽しむ人です。
「二拠点居住」と聞くと、都心と地方に家を持ち、週の半分ずつを過ごすような生活を想像するかもしれません。それは軽井沢や熱海のように、出世して経済的に余裕ができたらいつかできるかもというロマンに近いのかもしれません。
でも、私たちが考えているのは、もっと気軽で日常に近いものです。
たとえば、こんな場所です。
- 毎月通いたくなる海辺の町
- 子どもと過ごせる里山
- 顔なじみができた朝市のある港町
- 仲間とスポーツやサウナを楽しめる場所
- 仕事も遊びもできて、「また帰りたい」と思える地域
家を所有していなくても、移住していなくても構いません。旅行者よりは地域に近く、移住者ほど肩肘を張らない。そんな“もうひとつの日常”を持つ人を、私たちは「デュアラー」と呼んでいます。
二つの問いを、実際の場所でつなげてみる
マイクロベースはこれまで、データとテクノロジーを使って、空き家対策や住宅政策の課題に取り組んできました。
そのなかで生まれた一つ目の問いが、**「データを分析し、最適化するだけで、本当に望ましい未来までつくれるのか」**というものです。
そして、暮らしを見つめるなかで生まれた二つ目の問いが、**「仕事や子育てという『主』を崩さずに、回復や楽しみのための『副』をどう育てられるか」**というものでした。
この二つをつなぐと、空き家の見え方も変わります。
「空き家問題を解決する」という視点は極端にいえば、経済合理性が見いだせず、残しておいてもマイナスになるので処分しなければならないという考え方であると思います。しかし、これは先述の通り一つの見方でしかありません。利便性や価格、性能などの見方を変えて、自宅とは別に、趣味を楽しんだり、仲間と集まったり、家族で新しい時間を過ごしたりするという価値観や見方になれば、新しいモチベーションや社会的資源になるかもしれません。
一方で、二つ目の家を所有・管理する負担まで抱えれば、「副」の場所が新たな「主」になってしまいます。だから必要なのは、単に拠点を増やすことではなく、無理なく通い続けられ、別荘未満民泊以上のような重くないかたちで享受できる仕組みです。
実際に何をするのか?
抽象度が高い概念ばかりしてしまいましたので、実際にどうアクションするのかをお話します。
つまるところ、実践しそこでの気づきを共有しあい、空き家や郊外の土地を資源として活用し、デュアラーをスタンダードにする取り組みです。
まずは私たちマイクロベースがフラグシップとなります。私たちは、2026年9月に武蔵小杉の戸建ての一軒家を借りてオフィスとして使っています。
これはまさに先述のように「主」「副」を両立できることを意図したものです。
- 「主」の観点でいえば、人数が増えてきているなかさらに受け入れられるようにすること、お客さんをお招きして濃密な時間を過ごせること、なるべく「得」できるようにリーズナブルな不動産であることなどです。
- 「副」の観点でいえば、集中してリラックスして働けるようにすること、社員同士で交流して楽しめる場所をつくること、体を動かせる機会をつくることで健康を意識した働き方ができるなどです。
働く場所と言えば、きれいなオフィスビルと言うイメージがあるかもしれませんが、私たちは、戸建てをオフィスにすると言う選択肢は今後大いにあると考えています。スタートアップ、それもコワーキングスペースでは活動しにくくなってきたフェーズにはうってつけです。
特にマンションの部屋を借りる間は安く済みますが、床面積が100平米を超えてくると、該当物件がなかなか出てこなくなったり、賃料が一気に上がりします。もちろん戸建ても条件が良ければ決して安くはありませんが、オフィスビルの賃料よりはずっと安い傾向にあります。所有者目線からも住居では居住者が大家族かつ所得が高くないと維持できなくなりますが、法人であれば一定の条件をクリアできれば選択肢は広がります。
今後ますます空き家が増えていくことが予想され、建設費の高騰していくなか、まちに眠る戸建という資源を活用し、こんなオフィス見たことがないと喜んでもらえるようなワクワク感や楽しさを社員に届けることができます。特に中小企業ではブランド力や認知度などが大企業より圧倒的に低く、採用や営業するにも苦戦することがしばしばありますさが。しかし、こうした「主」と「副」が充実した場を提供できることで極端なコストを投じなくても唯一無二の企業となることができると考えています。
というわけで、社内にラボをつくります
すべては今のところまだろ仮説です。それ故に実証します、ワクワクという第六感のコンパスを手に。そんな活動の場がつDUALER LABであり、マイクロベースの社員が自らデュアラーになり、新しい暮らし方を模索して行きます。あさ
地域へ出かけ、遊び、働き、人と出会い、ときには家族や仲間も巻き込みながら、「もうひとつの生活拠点」が育っていく過程を観察します。
少し真面目に言えば、こんなことを検証していきます。
- その地域へ行こうと思ったきっかけは何か?
- 何度くらい訪れると「また帰ってきたい」と感じるのか?
- 趣味や子育てで月に一回以上来れる気になるか?その理由と実現性は?
- 会社の制度や福利厚生は、一歩を踏み出す後押しになるのか?
- 子どもも楽しみ、保護者も安心して働ける環境をつくれるか?
- 子供と自由研究をできる対象がどの程度あるのか? など
机に向かって研究する机上活動は生成AIにお任せし、生身の身体と感性と言うセンサーをフルに使って、調査を繰り出したいと思います。
なんだ、ただの遊びではないかと思われるかもしれませんが、主と副の両方の可能性を探るとはそういうことだと考えています。これが私たちが考える1つの幸福感の向上の形であり、地方創生の形であり、空き家対策の出口であると考えています。これまで多くの空き家や現場で働く方々、主と副を実現させている方々などと出会い、ときに頭を悩ませ、ときに感動し、考察を続けていく中で至った仮説です。
私たちがつくりたいのは、「住む場所が二つある社会」ではない
ここまでお読みいただきありがとうございました。だいぶ長くなってしまったので、改めて再生すると、目指しているのは二拠点居住そのものを広めることではありません。
自宅以外にも、自分らしく過ごせる場所がある。そんな選択肢を、特別な人だけでなく、もっと多くの人が持てる社会にしたい。
人口が減り、空き家が増えていく時代だからこそ、住まいを“余っている箱”として見るのではなく、新しい暮らしを始めるための場所として捉え直せるかもしれません。
社内につくるDUALER LABは、その可能性を自分たちの暮らしで確かめる、小さな一歩です。
一緒に「もうひとつの暮らし」を考えませんか?
DUALER LABでは、まだ構想段階ではありますが、任意活動のコミュニティーとして社外から参加してくださる仲間を募集していきたいと考えています。まずはこれまでご縁のあった方々と緩く始められると良いと考えています。
必要なのは、多拠点居住の経験や特別な専門知識ではありません。「新しい暮らしや地域との新しい関わり方を試してみたい」という好奇心があれば大歓迎です。
まだ始まったばかりだからこそ、一緒につくれる余白があります。
興味を持ってくださった方は、ぜひ下記フォームにご回答ください。はっきりと今後の活動スケジュールを定めているわけではありませんが、公開イベントなどを開催することがある際にご案内差し上げるとともに、ご回答いただいた内容を今後の活動検討に活用させていただきたいと考えています。
https://forms.gle/G456fJXDoLcrNCj96
DUALER LABホームページ:
https://dualerlab.notion.site/
マイクロベースでは、住まいとまちの未来を、データやテクノロジーだけでなく、自分たち自身の実践から考える仲間を募集しています。
私たちの仕事や考え方にも興味を持っていただけたら、ぜひ気軽にお話ししましょう。