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複雑で性能の良いものが売れるとは限らない

化学系の大学発ベンチャー、...に限らず、基礎研究的色合いを持った化学系企業の新規事業でもあると思うのですが、

有機合成が得意な企業・研究室は、来たる社会的変化、技術的変化に備えて、凄まじく複雑な構造の分子合成を行います。

凄まじく複雑な構造の分子はその複雑さゆえにいろいろな分子のいいとこ取りな特性を持っているので、「服を痛めずに綺麗に洗濯する」の100倍くらいの無理ゲーをこなします。医薬品もその一派で、元気な細胞は痛めないがそうでない細胞?ウイルス?(すみません詳しくないゆえ)には攻撃をする、のような、これまた無理ゲーをこなしているわけです。

なのですがこの複雑な分子、だいたい、数十時間で分解してしまうとか、紫外線で瞬殺とか、そこまでいかないまでも素人が扱えない代物になります。(医薬品はその辺もクリアしてますが)

私自身が企業の研究所に所属しているとき、印象的だったのは、

・複雑な分子の合成技術で非の打ちどころのない商品を作ろうとした日本チーム
・薬局で素人が買えるような薬品だけで商品を作り上げて、性能を犠牲にし、代わりにどうやって実現するのかわからないほどの安価を実現したアメリカチーム

の対比でした。

いま世界で売れているのは、アメリカチームのものです。

日本チームの合成技術は確かにすごいのですが、しかし、私はここで言う「アメリカ式(仮)」がやりたかったのです。業界人が裏を疑ってしまうほど安い価格で商品を流通させるのは、これは日本チームが実験室で100も500もの分子を合成している間に彼らはサプライチェーン全体を見ていたということであり、もしかすると実現には(合成とは別の)化学技術が含まれていたかもしれません。性能を犠牲にした商品をクライアントに技術的に使いこなさせるのは、技術営業の営業力であり、技術力です。

いま大学の研究室に所属し、ストーリーまで発信しながらこんな話をするはなぜ?と思われるかもしれませんが、竹谷岡本渡邉研究室では、保有技術や最先端技術にこだわらないで商品を、事業を、作ることができます。「アメリカ式(仮)」に挑戦できます。似たような課題感をお持ちの方は、是非お話ししませんか。

ただし...

いかに本研究室といえど、商品化の厳しさ、その長〜〜〜〜い道のりについては、少々解像度が低いところがあり、企業での商品開発経験があると少し面くらいます。そこを自分でやりきるか、関係者を説得するか、もはや気にせずやるべきことを粛々と進めるか...などのメンタリティが必要かもしれません。(むしろそんなメンタリティのある方を募集しています!)

東京大学 竹谷岡本渡邉研究室では一緒に働く仲間を募集しています
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