~データを見る組織ではなく、意思決定を支援する組織~
こんにちは。セガ 第2事業部 戦略分析室 室長の柏田です。
私たち戦略分析室は、セガの開発スタジオである第2事業部に所属する分析組織です。
第2事業部では、『ソニック』シリーズや『ぷよぷよ』シリーズをはじめとしたコンシューマーゲームの企画・開発・運営を行っています。
戦略分析室は、それらのタイトルを対象に、ゲーム開発・運営における意思決定をデータ分析の立場から支援しています。
採用活動を行う中で多くの候補者の方とお話しする機会がありますが、その中で感じるのは、「データ分析」という言葉から想像される仕事と、私たちが実際に担っている役割との間に、少しギャップがあるということです。
そこで本シリーズでは、戦略分析室がどのような組織なのか、どのような考え方で仕事をしているのかをご紹介したいと思います。第1回となる今回は、戦略分析室の役割と存在意義についてお話しします。
📌 筆者プロフィール
- 柏田(戦略分析室 室長)
セガ入社後、『WORLD CLUB Champion Football(WCCF)』をはじめとしたアーケードゲーム開発・運営に従事。その後、事業管理・管理会計領域を担当し、現在は第2事業部 戦略分析室 室長と管理部門を兼任。ゲーム開発、事業管理、分析という異なる立場を経験しながら、現在はゲーム事業における意思決定支援組織の運営を担当している。
「データ分析組織」と聞いて、何を思い浮かべますか?
「データ分析」という言葉から、以下のような業務をイメージされる方も多いと思います。
- SQLを書いて集計する仕事
- BIツールでレポートを作る仕事
- ダッシュボードを開発する仕事
- AIや機械学習モデルを構築する仕事
もちろん、私たちもこうした業務を行います。しかし、それらはあくまで「手段」です。私たちが目指しているのは、分析そのものではありません。
ゲーム事業における意思決定の質を高めること。
それこそが、戦略分析室の役割です。
私たちが向き合っているのは「問い」です
ゲーム開発や運営の現場では、日々さまざまな意思決定が行われています。例えば、以下のような「問い」です。
- プレイヤーはどこで離脱しているのか?
- なぜ継続率が下がったのか?
- この機能は本当に価値を生んでいるのか?
- 難易度は適切なのか?
- 次に改善すべきポイントはどこなのか?
私たちは、こうした問いに対してデータを使って向き合います。
ただし、重要なのは数字そのものではありません。「数字から何が読み取れるのか」「なぜそうなっているのか」「どのような選択肢が考えられるのか」。その整理まで含めて初めて、本当の「意思決定支援」になると考えています。
データがあれば答えが出るわけではない
分析というと、「データを見れば答えが分かる」と思われることがあります。しかし、実際の仕事はそれほど単純ではありません。
例えば、あるゲームで継続率が低下していたとします。そこで重要なのは「継続率が下がった」という事実ではなく、「なぜ下がったのか」を深掘りすることです。
- 難易度に問題があるのか?
- 導線が分かりづらいのか?
- 特定のプレイヤー層だけで起きているのか?
- あるいは、本当に(対策すべき)問題なのか?
まずは論点を整理して仮説を立て、必要なデータを確認しながら、関係者と議論を進めていきます。
私たちは分析を「答えを出す作業」ではなく、「問いを整理し、判断材料を作る作業」だと捉えています。
プレイヤーを理解することが出発点
私たちが見ているのは数字だけではありません。その数字の先にいる「プレイヤー」です。
ログデータにはプレイヤーの行動が記録されていますが、その行動の背景には、さまざまな体験や感情があります。
- どこで楽しいと感じたのか
- どこで迷ったのか
- なぜプレイをやめたのか
- 何に価値を感じたのか
そのため私たちは、ゲームを実際にプレイし、開発チームと議論しながら分析を進めます。数字だけを見ていては、ゲームの面白さは理解できません。プレイヤーとゲーム体験を理解することが、良い分析の出発点だと考えています。
戦略分析室が大切にしていること
私たちは日々の業務の中で、次の4つを特に大切にしています。
- 課題起点で考える
「どんな分析をするか」ではなく、「何を解決したいのか」から逆算して考えます。 - 構造化する
現象をそのまま受け取るのではなく、本質的な課題を整理・分解します。 - 仮説を持つ
データを見る前から自ら考え、データによってその仮説を検証します。 - プレイヤーを理解する
数字の表面を追うだけでなく、その背景にある「体験」を理解しようとします。
戦略分析室について
最後に、私たちの組織について簡単にご紹介します。
- 組織人数: 8名
- 年齢構成: 20代3名、30代1名、40代3名、50代1名
- 中途入社比率: 75%
ゲーム業界出身者だけでなく、コンサルティング業界やIT業界など、多様なバックグラウンドを持つメンバーが在籍しています。全員に共通しているのは、「ゲームが好きであること」、そして「課題を考えることが好きであること」です。
おわりに
今回は、戦略分析室がどのような組織なのかをご紹介しました。
私たちはデータ分析組織ですが、分析そのものを目的にしてはいません。ゲーム事業における意思決定を支援し、より良いゲーム体験を実現することが私たちの役割です。
次回は、戦略分析室のマネージャーである鈴木に話を聞きながら、「なぜ戦略分析室は課題起点にこだわるのか」についてご紹介したいと思います。
「分析組織の価値とは何か」「私たちはなぜ構造化や意思決定支援を重視するのか」、戦略分析室の考え方をもう少し深くお伝えできればと思います。