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20年勤めたキャリア・ポストを捨て、僕がスタートアップベンチャーであるSANUで人事をしてる理由

SANUチームが人生と仕事について語るシリーズが始まります。毎週1名ずつ、自身の言葉でnoteとWantedlyにて記事を公開します。今回は人事を担う桑原(通称:kuwaさん)です。

桑原孝典
人事総務本部長

基本的には経営は人事だと思っているので、正しい人事が世の中に増えればいいと思うし、元々自然が大好きで、登山やキャンプもやるので、アウトドアレジャーの普及活動もしたいし、地域活性化・地方創生の支援活動もしたいなと、などなど考え中…。長野か千葉か逗子に、いずれは移住したい…

なんでもやったパーソル時代、人事に至るまで

もう20年以上も前の話。僕が新卒で選んだのはテンプスタッフ(現 パーソルテンプスタッフ)という派遣会社だ。2000年当時は、今よりもずっと男女の雇用機会均等がまだまだ公平とは程遠い時代。女性が出産を機に、職を離れることがほとんどで、派遣という働き方の選択肢が、女性への職業機会提供や、少子化に伴う労働力不足の補助・調整弁になると言われていた。派遣会社を選んだのも、社会貢献性の高い仕事に就きたいという気持ちからだ。

新卒社員として入社してからは、言葉通り、なんでもやった。派遣事業のセールスを3年半、営業企画部門に移りM&AやPMI、新規事業の立案やサポートを実施、自身で手を挙げ新規事業の責任者を担ったは良いものの大赤字を出し事業撤退したことも・・。その後に担ったBPO事業では、10名から事業を立ち上げ、5年で300億円もの売上高にまで成長させる経験もできた。2-3年スパンで、部門異動を繰り返し、とにかく動き、とにかく働き、振り返ると非常にタフだったけれど充実した20代・30代を過ごせたとも思う。

転機となったのは、グループ経営への転換だった。名古屋地域で大きく事業展開するピープルスタッフ社、人材紹介・求人広告業を担うインテリジェンス社をM&Aしたことを皮切りにグループ一体経営へのシフトしていき、ホールディングス会社であるテンプホールディングス(現 パーソルホールディングス)の設立するタイミングで、人事のキャリアをスタートする。36歳、グループ全体の人事機能を担うよう異動辞令を受け、遅咲きでの人事キャリアスタートだ。


テンプスタッフ時代の新卒同期との送別会

「経営は何をすべきか」人事への目覚め

ホールディングス会社に異動したものの、人事はそれが初めての経験。大きく担うのは、ホールディングス株式会社単体の人事作りから、グループ全体の人事の舵取り。人事の素人だった僕が、それでも上手く立ち回れたのは、グループ各社人事の協力が多分にあったからだと、今更ながら振り返り有難く思う。なんせ人事だけでも50社700名もいるグループだったので、知見や知恵はグループ各社にたくさんあった。

人事キャリアをスタートして最初に担った大きな役割は、人事システムや雇用区分等定義の統一を始めとしたグループ経営の基盤作りで、各社人事の意見(時には反発・苦言も多数…)を聞き、一方でグループとしてあるべき方向性を定め、各社と調整・整合させる。テキストで書くと、一文で終わるようなことも、当然そこには社員も歴史もある各社と調和していくには、このプロジェクトだけでも3年もかかった。

このプロジェクトが終わる頃には、摩擦もあった各社が最後には一体感あるグループになっていく道のりを、先導・支援できた経験は、まさに何物にも変えられない貴重な経験となった。自分のキャリアの中でも非常にタフな時を乗り越えられたのは、「人事」への目覚めだと思う。

それに気づかさせてくれたのは、先輩人事からオススメされた一冊の本。平たく言うと、これからの経営には「人事」が重要ということが書かれているもの。残り少ないビジネスマン人生をより影響力ある価値を提供したいという思いに至るには、この一冊で十分だった。


ゲーリー・ハメル著 「経営は何をすべきか」

なぜ20年勤めたポスト・キャリアを捨てたのか?

パーソルを退職してからよく聞かれる質問だ。確かに20年も勤めたので、勝手知ったる仲間たちと過ごすのは、ものすごく居心地が良かったし、人事部長というポストは肩書きや報酬面も含めて、非常にありがたかった。それはそれで、間違いないし、きっとパーソルを続けていても、それなりに幸せな人生を歩めていたんじゃないかと、思うこともある。それでも僕がパーソルを辞めたのは以下の3つの理由だ。

・ 大きなプロジェクトの終焉、中期人事計画の節目、40歳を迎えたこと = 踏み切るには良いタイミング
・ 居心地良い環境に居座ると「働かないおじさん」「ぶら下がり社員」になってしまう危機感
・ パーソルで得た人事経験・ノウハウを、これからの企業・これからの事業に転化していきたい想い

他の方からは、勿体無いという意見もすごくいただいたのだが、僕にとっては40歳を超えて、また次の人事中計3年間を重ねると、いよいよ他へのチャレンジがますますしにくくなるなというのは危機感だった。勝手知ったる仲間もいて、僕なんかよりも専門性が高い部下も多数いて、僕が欠けたところで強固な組織は崩れないという自負も多分にあった。多くの方に引き留めてもいただいたが、一度決意したことは覆らない性格も後押しし、新卒社員から20年もお世話になったパーソルを離れることになる…


パーソルグループ社員総会での一コマ

次に選んだのはAI・テクノロジー企業

パーソルを退社し、次に選んだのはHEROZという会社。パーソルを辞める時に転職先として決めていたのは、これからの企業を人事の側面から支援していきたいという思いである。個人的には、残り少ないビジネスマン人生を、2-3年スパンで、人事の基盤作りをし、転々としていくようなキャリアの歩み方がしたいなとも考えていた。

HEROZでの経験は、最先端のテクノロジー事業を担っており、ものすごくダイナミックで、スピード感があり、僕にとっては刺激的なものだった。入社時にCo-CEOとは、2-3年で人事の基盤を作ることをコミットしたが、人事の仕組みはまっさらで、実益や期待が大きい採用から着手。パーソル時代には、制度とか規程など比較的バック部門寄りの人事を担っていたので、採用や研修などの表に出る人事は新鮮だったし、自分なりの思考の癖(要は、定量的・合理的に物事を考えがちで、センスやホスピタリティなども物質的に捉えがち)に気づけたのも、良かった。施策を講じた分だけ、成果も上がりやすく、2年間で50名の方にジョインいただけたのは、自分自身の成功体験にも繋がった。

HEROZでは、当初のコミットメント通り、組織開発・労務労政分野も含む人事の基盤となる仕組み・仕掛け作りを終え、またその運用を担える後継者を採用・育成できたとの自負があり、2年間勤めてその役目を終えた。たった2年間ではあったが、スタートアップ企業のスピード感や変化を考えると、個人的にはパーソル時代の5年分を担った感覚でもある。「残り少ないビジネスマン人生を、2-3年スパンで、人事の基盤作りをし、転々としていくようなキャリアの歩み方」が体感できたと自負できる2年間だった。

HEROZにて出展したAI EXPOの様子…

そんな僕がSANUにジョインした理由…

前置きが長くなったが、そんな僕が、次にSANUを選んだのはやはり「これからの企業・事業を人事の側面からリード・サポートしたい」というのがきっかけだ。パーソルでは社会のインフラを、HEROZでは最先端のテクノロジーを人事の側面から下支えすることを担ってきたが、共通するのは「社会貢献性」だと思っている。

これはどんな企業であっても社会貢献があるからこそ成り立っているので「社会貢献性」がない企業は存在しないと思うが、SANUはその価値発揮の度合いが高いと感じたし、そうあり続けたいと信じている。究極言うと、どれだけの人にどれだけの価値を提供できるかの総量が「社会貢献性」の度合いだと思っているが、「人を心豊かにする度合い」がSANUはその総量が異常に高いのだ。

会社のミッションである「Live with Nature.自然と共に生きる。」は、人が幸福実感を感じる「衣食住」の「住」の分野を担い、自然に触れる機会を提供することで、より心豊かな生活・人生をお届けする事業であり企業のイデオロギーだ。SANUを一言で表すならば、このコンセプトでしかない。どうやったら「人と自然が共生できるのか?」をテーマにしている企業は、世の中にそれほど多くはないと思っている。僕がそんなSANUに辿り着いた理由は、大きく言うと2つの想いがある。

学生時代に日本中を登山しており、自然に触れる心豊かさを、多くの人に体感して欲しい。

自分自身が自然に深く触れ合うことになったきっかけ。学生時代に、ワンダーフォーゲル部に所属し、日本中の山々・島々を巡った。夏山では、北海道・大雪山系の縦走、南アルプスを大無間から北岳まで縦走、北アルプスを上高地から白馬岳まで縦走など、島においても、屋久島を縦走や、西表島を縦断などなど、日本全国各地の自然を体感した。夏山だけではなく、冬山登山も経験し、山の豊かさだけではなく、楽しい4年間だった。同時に楽しさだけではなく、僕自身が登山中に滑落したり、後輩が雪崩事故に巻き込まれ亡くなってしまうなど、悲しい厳しい自然にも向き合った4年間でもあった。「なぜ、山に登るのか?」「そこに、山があるから」だけではなく、僕にとって、山はいろんなことを教えてくれる教師のような存在だ。

それは、単に眺望が綺麗というだけでなく、登頂した時の達成感があるだけでなく、「自分に向き合う時間」であり「生きるとは何かを問われる時間」だと思う。ありのままの地球に対峙することによって、自然の摂理や生態系の一部としての「人間」の役割を考えさせられるし、人が生きる意味や術を考えさせられる。大袈裟かもしれないが、自然に触れることは、「生きる」に向き合うことだとも思う。

⑵ 都市化(都市・地方の格差)は、急速に拡大しており、環境面・精神面での悪循環を断ち切りたい。

これは学生時代に、「都市行政論」を専攻し、地方分権(都市と地方の格差)について、勉強・研究していたことが影響している。自分自身が生まれ育ち、大好きな日本。僕が考えるに、その日本が抱えるグローバルで見ても特徴的な(先行して起きている)事象が、「少子化高齢化」と「都市と地方の格差」だ。「都市化」の問題は、日本だけでは無くグローバルで見ても地球上で起きている事象だが、日本も多分に漏れず、かつその加速度合いが非常に速い。

東京は、世界一人口が多い都市とされているし、さらには世界で初めて都市の人口も減少すると予測されている国でもある。当然、都市の便利さや刺激を否定するものではなく、それがあるからこそ人は都心に流れる統計的傾向もよくわかる。一方で、このままいくと、どのような未来が待っているのかという想像も働かせておきたいとも思っている。


(出典)総務省「令和2年版情報通信白書」より


都市化が進んだ日本においては、少子高齢化に伴う労働力不足により、社会インフラを整備する財源は効率的に配分せざるを得ず、費用対効果の低い地方は、いずれ財源を投入できない時期が来るかもしれない。そうなると、日本においては「住める地域=都市」「住めない地域=地方」は区分され、地方にある自然や文化は、維持されなくなるだろう。方言などもなくなり、お祭りに代表される地域の慣行は廃れ、そしていずれ消滅してしまうのかもしれない。果たして、それが良いことなのだろうか?

人が自然に触れないことによって、本来ある自然に戻るという論もあるだろうが、血管のように川が流れる日本においては、人が安全に住める環境を維持する面においてさえも、自然は人に猛威を振うのかもしれない。

(出典)WWF「HydroSHEDS」


そもそも、このままいくと、僕自身が大好きな山に登れなくなってしまう可能性もあるし、多くの人が都市に閉じこもり、自然に触れることないまま、まるでシェルター内で過ごす人生が、心豊かなのだろうかという疑念もある。想像するに、僕らの子供世代や孫世代は、アスファルトに張り巡らされた地面しか知らず、下手をすると土に触れることなく、一生を終える人生が来てしまうことに、恐れすら感じてしまう。

SANUは「何」を為す企業なのか?

繰り言にはなるが、僕自身が語るならばSANUは、

「自然に触れる機会を提供する企業」
「自然に触れる楽しさをお届けする企業」
「自然について考える機会を提供する企業」

だと思っている。社員それぞれにおいて、「Live with Nature.自然と共に生きる。」の捉え方は、重なりを持ちながら思うところは、人それぞれの価値観において捉え方は異なるのかもしれない。ただ本質的には行き着くところは同じだと思っている。

要は「自然が好き」「自然と共に暮らす人生が好き」ということに行き着くのだと思う。社内には建築が好きな社員も、同じ想いを抱くユーザーさんとの関わりが好きな社員も、アウトドアアクティビティが大好きな社員もいるが、僕自身はその本質的な行き着く先を「人事」という観点から、下支えしながら、目指していきたいと思っている。

今は、首都圏を中心にドーナツ円状に11拠点62室(2023年7月現在)のセカンドホームを建築・運営し、多くの方に自然に触れる機会を提供しているが、予定では2025年まで20拠点200室まで建物は増える。首都圏以外にも、地域を拡げて、より多くの方にお楽しみいただけていることだろう。

その先に数年後には、日本全国に、さらには世界中に、好きな時にセカンドホームに通えるような生活様式が広がり、日本中の方が自然と共に暮らす新たなライフスタイルを楽しんでいることを想像してやまない。きっと、数年後にはセカンドホームだけではなく、様々なかたちで、自然に触れる機会を提供しているのではないかとも思う。


自然に配慮したオリジナル建築「SANU CABIN」


その先には、各地域でのサーキュラーな関係性が築かれ、地域地域に溶け込み、僭越ながら、地域活性化の一助になっていたい。そうして、都市に住む意義、地方に住む意義、多拠点で住む意義が見直され、人はもっと自由に、より多くの選択肢から自分の人生を心豊かにできる世の中になっていれば、これ以上嬉しいことはない。

「再生」についても、SANUが持ち得ていなければならない観点だ。カーボンニュートラル然り、生物多様性然りだが、僕らは「創造」をする一方で「再生」も行い、「SANUが広がれば広がるほど、自然が豊かになる」という世界観を目指したい。共鳴し、応援をしてくださる方の想いを還元できる存在になりたい。

「Be the Sun」僕らが大切にするValue・行動指針の一つ目にそれを据えているが、恐怖心を煽り、法律やルールで、人を動かすのではなく、心底人が自然に触れる心豊かさを感じてもらうことが、SANUが為すべきことなのだ。


息子と逗子に行った時の写真…

SANUってどんな会社?

最後に、人事なので、SANUがどんな会社なのか? どんなカルチャーなのか? についても、触れたいと思う。一言で言うならば、理念共感・ワークエンゲージメントが異常に高い会社。それ以外にも、以下のようなことが、特徴的にカルチャーとしては、既に備わっていると感じています。

・ 一人ひとりが、自律し、意思や信念を持ち、行動している。
・ 心理的安全性高く、建設的な摩擦を恐れず、信頼・尊敬し、フラットに本音で意見を発している。
・ 本質的な多様性(人は元来ユニークな存在)を理解し、偏見を持たず、個性・強みを大切にしている。
・ 意義を大切に、本質的に考え、考え、考え抜いている。抜本解決、非連続な成長を望んでいる。
・ ワークライフバランスはもとより、ワークインライフと捉え、仕事と人生を楽しんでいる。

社内の人事が言うと、嘘っぽく聞こえかもしれないが・・本当です。僕自身、副業など含め多くの会社の人事を担っている経験から、正直に、客観的に、相対的にも、自信を持って、これらを特徴として持つ会社であると自負している。誇りに思っている。これだけでは、なかなか伝わらない部分ありますが、是非SANUのカルチャーを感じ取っていただければ嬉しい。


2022年8月のSANU Retreat(合宿)の様子


2022年10月のSANU Tree Plant(植樹)の様子


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軽やかに都市と自然を行き来するライフスタイルを提案する会員制セカンドホームサービス、SANU 2nd Homeの公式ブランドサイト。
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