【社員インタビュー/ネットワークエンジニア】800拠点ネットワーク刷新からOCI移行まで──“会社の大動脈”をつくり変えたエンジニアの挑戦
ーーこれまでのご経歴と現在ニトリデジタルベースにて担当されている業務、役割を教えてください。
2009年に新卒でメガバンクのIT戦略・システム開発を担う中核会社に入社し、約10年間、金融機関の基盤を支えるインフラ領域に携わってきました。特に、次期勘定系システムへの移行に伴うITインフラ構築プロジェクトにおいては、運用管理や障害対応を中心に担当。大規模で複雑なシステムを安定稼働させるため、障害対応力の強化にも取り組みながら、ベンダーや社内のさまざまな関係者と連携し、プロジェクトを推進してきました。
2019年にニトリへ入社し、現在はニトリグループ全体のインフラを支えるシステム基盤チームに所属しています。国内外に広がる店舗・拠点・グループ会社を結ぶ社内ネットワークの安定化と改善を中心に担当しており、ビジネスの成長を下支えするネットワーク基盤の強化に日々取り組んでいます。
ーー数ある企業の中で、最終的にニトリデジタルベースへの入社を決めた「理由」は何だったのでしょうか?
私が強く惹かれたのは、ニトリグループが掲げていたロマン——「住まいの豊かさを世界の人々に提供する」という壮大なビジョンです。その実現に向けて、製造・物流・小売の一連のバリューチェーン全体で力強くデジタル変革を進めている点、そして海外展開を積極的に推し進めている点に大きな魅力を感じました。
また、当時は「飛ぶ鳥を落とす勢いのニトリ」と言われるほど成長が加速しており、そんな勢いのある環境で自分自身も挑戦し、成長できるのではないかという期待も決断を後押ししました。
事業の広がりとスピード感のある環境の中で、自分の経験やスキルを活かしながら会社の成長に貢献できる——その点が入社を決めた理由です。
ーーニトリデジタルベースに入社されて7年ほど経ちますがどのようなプロジェクトや業務を担当してきましたか。
入社してからの7年間は、国内外のネットワーク基盤を大きく進化させるプロジェクトに数多く携わってきました。
まず、2020年に会社全体の業務環境改善方針が打ち出された際には、国内ネットワークの改善施策を自ら起案し、プロジェクトを立ち上げました。全国約800拠点(店舗、物流拠点、営業所、本社本部)に及ぶ拠点ネットワークの刷新を推進し、通信速度や耐障害性といった長年の課題解消に取り組みました。店舗運営部やロジスティクス、総務部、さらにはグループ会社を含む多くの関係部署と連携しながら、プロジェクトを完遂できたことは大きな経験です。この取り組みは社内でも高く評価され、社長賞を受賞することができました。
さらに2023年には、国内外のセキュリティ強化施策の整備を担当しました。当時、ランサムウェア被害やさまざまなセキュリティインシデントが世界的に多発していたことを受け、そのリスクを未然に防ぐための対策を企画・推進しました。
また同時期には、ASEAN地域での出店加速に伴う店舗ネットワークの開通にも関わりました。現地のIT担当者と密に連携しながら、各国の状況に合わせつつも、ニトリとしてのネットワーク標準を守る——その「標準化と暫定最適の両立」を意識して進めたプロジェクトです。海外展開特有の難しさと面白さを実感した経験でもあります。
ーー現在携わっている代表的なプロジェクトまたは業務について教えてください。
現在携わっている業務の中で、最も大きなものが「基幹システムの刷新プロジェクト」です。年末年始にかけてシステム切り替えを実施し、現在は切替後の運用フォローを行っている段階にあります。
このプロジェクトは、札幌データセンターで稼働していた基幹システムを Oracle Cloud Infrastructure(OCI)へ移行するという、会社の今後を支える非常に重要な取り組みでした。私はその中で、ネットワークの構築と接続部分を担当しました。
具体的には、
■ニトリの社内ネットワークとOCI間を、高速かつ安定した通信で接続できるよう設計・構築すること
■OCI内でのインターネット通信の制御を適切に行うための仕組みづくり
など、クラウド移行に欠かせないネットワーク基盤の整備を推進してきました。
推進にあたってはベンダーと協力しつつも、可能な範囲では自ら手を動かすことを大切にしています。ニトリが強みとして掲げる「自前主義」を意識しながら、自社に最適な形でネットワークを構築していく姿勢で取り組んでいます。
ーーこのプロジェクトまたは業務の「面白さ」や、逆に「難しさ」はどのような点にありますか?
このプロジェクトの面白さは、自分が「最適だ」と考えるネットワーク構成や設計思想をプロジェクトメンバーに共有し、納得を得ながら形にしていくプロセスにあります。技術的な正しさだけでなく、関係者との合意形成を経て設計が実現していく流れは非常にやりがいがあります。
そして、その設計思想が落とし込まれたネットワークが実際に安定して稼働しているのを目にした時には、言葉では表せないほどの達成感と心地よさを感じます。
一方で、難しさも明確に存在します。今回扱っている基幹システムは、ニトリの店舗や物流拠点の運営にとって極めて重要であり、万が一にも障害を起こすことは許されません。そのため、「絶対に失敗できない」という緊張感の中でプロジェクトを進める必要がありました。
ネットワークまわりで起こり得るトラブルを徹底的に洗い出し、考えられる対処シナリオや手順を事前に細かく準備しておくなど、入念な事前設計と対策を重ねました。こうした準備の積み重ねによって、移行当日も大きなトラブルなく無事に切り替えを完了できたことは、自分自身にとって非常に大きな自信につながっています。
ーー入社前と入社後で会社の印象はどう変わりましたか?
入社前からニトリには「自前主義」の文化があると聞いていましたが、非IT企業(当時はまだニトリデジタルベース設立前で、IT部門が子会社化される前のタイミングでした)であることを考えると、ITインフラの設計・構築・運用までここまで深く踏み込んで担うとは正直想像していませんでした。
前職ではベンダーに作業を依頼し、自分たちは管理や調整が中心になることが多かったのですが、自社に入社してからは“自分で手を動かす”ことが当たり前の文化が強く根付いていることに驚きました。責任範囲も広く、当事者としてITインフラを作り込んでいく——そのスタイルが会社全体に浸透しているのを日々実感しています。
この「自前で創る」文化は大変な部分もありますが、自分の技術力をダイレクトに発揮できる環境でもあり、入社後に感じた最も大きなギャップであり魅力でもあります。
ーーニトリデジタルベースに入社してから、最も成長を感じた瞬間はどんな時ですか?
最も成長を実感できた瞬間は、先ほどお話しした国内外約800拠点のネットワーク刷新プロジェクトを完遂したときです。店舗、物流、営業所、本部など、多くの部署の関係者と密に連携しながら進める必要があり、部署横断での調整力が問われる非常に大きなプロジェクトでした。
この取り組みをやり遂げたことで、技術面のスキル向上はもちろんですが、それ以上に 非技術領域での成長 が大きかったと感じています。
社内での人脈構築や、プロジェクトを通すための社内の進め方や作法、関係者との合意形成のプロセスなど、業務を進めるうえで欠かせないスキルを多く学ぶことができました。
結果として、ネットワークエンジニアとしての技術力に加え、プロジェクトを推進する総合力が大きく鍛えられたと実感しています。
ーーニトリデジタルベースで活躍できるエンジニアの共通点は何だと思いますか?
ニトリデジタルベースで活躍しているエンジニアに共通しているのは、ニトリグループ全体で大切にしている「*観分判(かんぶんはん)」のマインドを、デジタル領域でもしっかり業務に落とし込めることだと思います。
ITインフラの領域では、店舗や本社、本部のネットワーク障害をはじめ、さまざまなトラブルに日々直面します。その場で復旧させることももちろん重要ですが、単に“一時的に戻して終わり”では本質的な改善にはつながりません。
なぜトラブルが発生したのか、構成や運用全体を俯瞰して観察し、真因を丁寧に分析する。そして、同じことが再発しないように、全体最適となる仕組みや構成へと改善していく姿勢——このサイクルを粘り強く実行できる人が、ニトリデジタルベースでは高い成果を出していると感じます。
技術力だけでなく、問題の本質をとらえ、仕組みそのものをより良くしていける力。これが、活躍するエンジニアに共通する特徴だと思います。
*観分判(かんぶんはん)=現場で事実を「観察」し、「分析」して原因を見極め、「判断」して具体策を実行するための行動プロセス(考え方)
ーー今後挑戦したいことや目標はありますか?
今後挑戦したいことは大きく2つあります。
1つ目は、データセンター再編プロジェクトの起案と推進です。
現在、国内に5カ所のデータセンターを利用していますが、通信機器やサーバーが分散して配置されていることもあり、必ずしも最適な構成とはいえません。場所が分散していることで管理の複雑さも増し、各データセンターごとに高額なコストが発生しているのが現状です。
将来的には、利用拠点を2拠点ほどに集約し、大幅なコスト削減と運用のシンプル化を実現したいと考えています。
2つ目は、生成AIを積極的に活用したITインフラ運用管理の高度化です。
ネットワークやシステムのトラブルは突発的に発生しやすく、どうしても担当者の経験や知識に依存した属人的な対応になりがちです。そこで生成AIを活用することで、予兆検知の精度を高めたり、トラブル発生時に最適な解決策を提示できる仕組みを作ることで、より安定した運用を実現したいと考えています。
これらの取り組みを通じて、ニトリグループ全体のITインフラをさらに強固で効率的なものへアップデートしていくことが目標です。