【リーダーインタビュー】オンプレミス一筋17年。かつて「クラウド派に喧嘩を売っていた」課長が語る、インフラエンジニアの矜持とこれからの挑戦
こんにちは!株式会社NTTデータ フィナンシャルテクノロジー(以下、NTTデータFT)決済イノベーション事業部です。
私たち決済イノベーション事業部では、日本最大級のキャッシュレス決済総合プラットフォーム『CAFIS』をはじめ、約80の決済サービスを開発・提供しています。その安定稼働を支え、決済の土台を守り続けているのは、第三担当のインフラエンジニアたちです。
今回は、そんな第三担当で課長を務める高野 桂輔さんへのインタビューをお届けします!
入社から17年間、オンプレミスのインフラ一筋でキャリアを築いてきた高野さん。クラウド推進派と喧嘩したエピソードなど、これまでの歩みをざっくばらんに振り返りながら、「インフラエンジニアの醍醐味」や「オンプレミス・クラウドの垣根を越えた組織づくり」について語ってもらいました。ぜひご覧ください!
高野 桂輔
決済イノベーション事業部 課長
2009年新卒採用入社。CAFISを中心とした関連ソリューションのほぼ全てのネットワークを開発、掌握している。
現在は決済イノベーション事業部のインフラ担当チームの責任者を担う。
CAFISのすべてはここから始まる。オンプレミスの専門集団「第三担当」とは
――高野さん、本日はよろしくお願いします!はじめに、高野さんが所属する第三担当について簡単に紹介してください。
高野:一言で言うと、第三担当はオンプレミスのインフラ・ネットワーク基盤を担う部門です。『CAFIS』をはじめ、NTTデータFTが開発・提供するすべての決済サービスについて土台を設計・構築し、守り続けています。
ちなみに余談ですが、私はCAFISと同じ1984年生まれなんですよ。
――高野さんとCAFISは同い年なんですね!そんなCAFISを支える、第三担当の組織構成を教えてください。
高野:大きく4つの部隊に分かれています。
1つ目が、私が課長として統括しているネットワーク専門のチーム。
2つ目が、VMwareなどの仮想化サーバー基盤を見るチーム。
3つ目が、セキュリティやWindows Update、ファイルストレージ、商用サービス用端末の準備など、インフラサービスを事業部全体に提供するチーム。
そして4つ目が、特定のサービス専用の基盤の維持保守を担うチームです。
NTTデータFTのプロパーは私が所管するネットワークチームが18名、第三担当全体では約45名います。協力会社のメンバーを合わせると、総勢110名ほどの規模で運営しています(※)。
※2026年4月現在
――第三担当のメンバーに共通する特徴はありますか?
高野:積み重ねてきた技術やシステムを大切にする、真面目で責任感の高い人が多いと感じますね。テレワークが基本なこともあり、黙々と作業に集中する時間も多いですが、引っ込み思案なわけではありません。自分の範囲だけを見るのではなく、「困っているから手を貸そう」と行動する。自分の意見を声に出して伝えられる。そういう人が活躍しているし、活躍しやすい環境ですよ。
――これまでの社員インタビュー記事ではクラウド領域を担う第四担当のメンバーを多く紹介してきましたが、第三担当と第四担当の主な違いは何でしょうか。
高野:根本的に異なるのは、物理的な「モノ」を扱う点です。第四担当はクラウド上で新しいプロダクトを開発する部門ですが、我々はそのプロダクトが載っている物理的なインフラ、つまりネットワーク機器やサーバー、データセンター内の設備などを扱っています。クラウド上のプロダクトも、最終的にはネットワークを通じてデータがやり取りされるので、根幹ではつながっているんですよ。
また、第四担当が特定のプロダクトに深く関わるのに対して、第三担当は全体のインフラを横断して見ているという違いもあります。
――聞くところによると、高野さんはかつて、クラウド推進派を良く思っていなかったとか。本当ですか?
高野:良く思わないどころか、正直、5年くらい前までは「アジャイル」と連呼する人が嫌いでした。当時は「アジャイル=何も決めなくていい、後から自由に変えていい」と捉え違えている人が少なくなかったんですよね。品質を重視するオンプレミス側からすると「“とりあえずやる”なんてないんだけど」という感覚で、クラウド派にはよく喧嘩を売っていましたね(苦笑)。
今はもう、好き・嫌いという感情はありません。その一方で、クラウドが定着したことで「ある危機感」を抱くようになりました。
――どのような危機感でしょうか。
高野:以前は、「オンプレミスを理解した上でクラウドにシフトした人」を相手にしていました。しかし最近は「クラウドしか経験していない人」も増え、オンプレミスの概念が伝わらない場面が少なくありません。
クラウド部門が立ち上がった当初は、「開発プロセスを刷新する」という大義がありました。だから、組織として独立させる合理性があった。でもこれからは、ある程度の融合も必要だと私は考えています。
クラウド領域の開発経験が増え、プロセスや手法が定着していく中で、組織の在り方を再考すべき時期に来ている。まさに今、そのための具体策を検討しているところです。
支えるサービスは3から約80へ。片っ端からつくり、守り続けた17年の歩み
――組織の課題は後ほど詳しく伺いますね。ここからは「インフラエンジニアのキャリア」についてお聞きしたいのですが、高野さんはどのようなキャリアを歩んできたのでしょうか。
高野:私は2009年にNTTデータネッツ(NTTデータFTの前身組織の一つ)に新卒で入社しました。組織の名前や形は何度も変わりましたが、別の部署に異動したことは一度もなく、入社時に配属されたネットワークチームの延長線上に今もいます。
――新卒時の配属では、自分からインフラを希望されたそうですね。
高野:はい。同期でインフラを希望したのは私だけでした。2009年はちょうど携帯でクレジット決済ができるようになった頃で、同期はみんなアプリ開発を希望していましたね。
でも私は、より汎用性が高く、会社や業界を問わず通用するスキルを身につけたいと考えて、インフラを希望しました。それで、立ち上げたばかりのネットワークチームに配属されました。
――立ち上げ直後のチームだと知ったうえで希望したのですか?
高野:希望した時点では知らなくて、配属された後に知りました(笑)。
ネットワークチームの立ち上げ前は、各サービスの担当者が基盤も見ていたそうです。2009年から2010年頃にかけてPCI DSSへの対応でセキュリティ面のやるべきことが急増し、インフラを見る専門チームが新設された、と聞いています。
当初はプロパー4名、協力会社4名ほどの小さな組織でしたね。ネットワークコンサルとして、業務システムの担当者にネットワークの設計やセキュリティの対応方針を提案していました。そのうち現場が忙しくて対応しきれなくなり、「自分たちで手を動かす」組織に変わっていきました。
――そんなネットワークチームの中で、高野さんご自身はどのような業務を担当してきましたか?
高野:最初の2~3年は、ネットワーク機器の設計と構築をひたすらやっていましたね。4~5年目からは、お客様と直接話して要件定義から関わるようになり、後輩もポツリポツリと入ってきて。少しずつ組織が拡大し、対応するサービスの数も増えていきました。
入社当初はCAFIS、INFOX、PastelPortの3サービスがメインでしたが、2010年頃からインターネット決済の需要が急増しました。新しいサービスを立ち上げるたびに、そのためのネットワークを構築する。これを繰り返した結果、5年ほど前にはサービスの数が約80にまで拡大しました。どんどん増えていくサービスのネットワークインフラを、片っ端から支えてきた17年間でしたね。
「その裏をつくっているのは俺たちだ」―全サービスの基盤を横串で見る面白さ
――17年間ネットワークインフラ畑を歩んできた高野さんから見て、インフラエンジニアのやりがいは何ですか?
高野:うーん、「やりがい」と言われてもピンと来ないのが正直なところで……。こういう質問をされると、いつも気の利いた答えが出なくて困るんですよね(苦笑)。
――第四担当の社員インタビューでは、「自分がつくったシステムが世の中で使われていること」を挙げる人が多いですが……。
高野:そういう意味では、「その裏をつくっているのは俺たちだ」と思っています(笑)。全サービスのインフラを横断して見ているからこそ、あらゆる人と関わることになる。これはインフラ担当の強みであり、面白さです。
さまざまなサービスの裏側を知っているので、「あのサービスで似たような仕組みがある」といった情報を伝えられる。人と人、システムとシステムをつなぐハブの役割を果たせるのは、この立場ならではですね。
担当外のトラブルにも首を突っ込んで解決しに行くことが多々あります。点在するヒントをつなぎ合わせて根本原因にたどり着く瞬間が面白いですよ。
――いま「インフラエンジニアのやりがい」を伺いましたが、「高野さん個人のやりがい」もお聞かせください。これまでの経験の中で一番やりがいを感じたことは何ですか?
高野:それはデータセンターの移転プロジェクトですね。様々な要因によりそれまであったデータセンターを移す必要がでてきたため、2021年に移転プロジェクトが立ち上がりました。
ちょうど課長に昇進したタイミングで、私がこのプロジェクトを率いることになって。5人でチームを立ち上げ、途中で中途採用のメンバーが1人加わり、6人体制で進めました。新しいインフラの構築は2年前に完了し、現在はシステムの段階的な移行を進めているところです。
――未来につながる大きなプロジェクトですね。全体を率いるリーダーとして、特に苦労したことはありますか?
高野:新しいデータセンターでは、従来はチームが分かれていたネットワークとサーバーの運用を一つにまとめる形で進めています。でも、私はネットワーク一筋でやってきたので、サーバー側の勘所がわからない。不具合が見つかっても自分でトラブルシュートできず、メンバーに任せるしかない状況は非常に歯がゆかったですね。
――その状況を、どのように乗り越えてきたのでしょうか。
高野:有識者に協力を仰いだり、解析のヒントになる情報を自分で集めて提供したりと、間接的にでも力になろうと工夫してきました。ただ、2つの運用をまとめるのは、実際にやってみると想像以上に難しい。「そんなに甘い話じゃなかった」というのが今の正直な実感です。
まだ道半ばですが、サーバーもネットワークもできる部隊にした方が個人としても強くなるし、組織としても深みが出るので、しっかり進めていきます。
「オンプレミス」「クラウド」で分けるのをやめる?次世代インフラ組織を目指して
――いまの「サーバーとネットワークの運用を一つにまとめる」話は、冒頭でお話しされていたクラウド部門との融合にも関連するのでしょうか。
高野:それもありますね。クラウドではネットワークとサーバーの区別がほとんどありません。オンプレミスでもこの2つを統合しておくことで、クラウドへの理解も進みやすくなる、と考えています。
――クラウドとオンプレミスの融合に向けて、どのような対応を考えていますか?
高野:私個人としては、「オンプレミス」「クラウド」で組織を分けるのではなく、たとえば「インフラを見る組織」として統合し、内部でスキルをローテーションする形がいいのではないかと考えています。個人単位の人材交換だと、急に反対側に放り込まれても活躍できず、やりたい人も少ないでしょうから。
――組織として統合すれば、より柔軟にノウハウを共有できるはずだと。ちなみに、どちらの経験から入る方がスキルを移行しやすいと思いますか?
高野:どちらかと言うと、オンプレミスからクラウドへの方がやりやすいかなと思います。一方で、クラウドから入る場合も、サーバーの知識が身につきやすいメリットがあります。
いずれにしても、キャリアの早い段階で両方を経験できるのが理想です。こうしたキャリアパスは現時点では存在しないので、今後の課題ですね。
――できることから一つずつ進めていきたいですね。オンプレミスとクラウドを融合する一環として、事業部全体の変革を推進する「Innovation Hub」(略称:iHub(アイハブ))とも連携されているとか。
高野:はい。iHubのメンバーとは毎週話し合いの場を持っています。インフラ部門として何ができるかを考えると、一番の鍵は「データ活用」なんですよ。そこでまずは、インフラが持っているログやデータの分析、レポーティングを自動化するところから着手しています。
その次のステップとして、オンプレミスの中にしかない大量のデータをクラウド側に共有したいと考えています。そうすれば、現場の人が「データを分析したい」と意識しなくても、自然にデータ分析ができる環境が整う。つまり、インフラが価値創造の起点になる世界に持っていけるはず。1年くらいでそこまでたどり着きたいと見ています。
――今後の展開に期待しています!ところで、第四担当では生成AIを積極的に活用していますが、第三担当ではどのように使っていますか?
高野:壁打ち相手としては日常的に活用しています。ただ、ネットワーク機器やサーバーのコンフィグレーション生成はまだ難しいですね。OSやバージョンがベンダーごとに異なり、学習データが少ないため、きれいなコンフィグが返ってきません。また、アプリケーションはPC上で開発・試験ができますが、ネットワークやサーバーは物理的な機器の上でしか動かないので、開発プロセスにAIを組み込みにくい制約もあります。
一方で、先ほどお話ししたデータ活用やログ分析といった領域では活用の余地が広がっていますし、技術の進化に応じて柔軟に対応していきたいですね。
領域を越えて成長できる環境で、オンプレミスもクラウドも語れるアーキテクトへ
――今後の展望についてお聞かせください。まずご自身のキャリアについて、どうお考えですか?
高野:まずは、そろそろ部長に上がれたらと思っています(笑)。昇進に関しては、主任・課長代理・課長と節目のたびに上司に「来年、私上がれますよね」と確認して、実現してきました。 課長になって4年経ちますし、より大きな組織を運営するという立場で活躍していけたらと考えています。
――昇進に意欲的なのですね。もともと管理職になりたかったんですか?
高野:そんなことはないです(笑)。本来はマネジメントより現場で手を動かす方が好きなんですよ。でも、他の人の役職が上がるのに自分が上がらないのは嫌だし、給料が上がるならキャリアアップしたほうがいい。そういうスタンスです。
――課長として、また次期部長として、どのような組織づくりを目指していますか?
高野:理想は、自分がいなくても回る組織です。各階層が「自分にしかできない仕事」に集中できる状態をつくりたいなと。上の人間が余裕を持ち、抱えていた作業を次の世代に引き継ぐ。この「余裕を生む組織づくり」を世代ごとにリレーしていくのが理想ですね。
そのためにも、まずは私の後任になる課長を複数人育て、彼らが助け合って余裕を持てる体制をつくっていきたいと考えています。
――いま課長の育成についてお話がありましたが、メンバーについてもお聞かせください。第三担当ではどのような人材を求めていますか?
高野:今、一番足りていないのはアーキテクトです。「このシステムはクラウドとオンプレミスのどちらが適しているのか」を判断できる人。それには必然的に両方の知見が必要になります。
両方の経験を持っている人はもちろん歓迎ですし、両方の話をしっかり聞ける人でもいい。そういう人に来ていただきたいですし、社内でも育てていきたいと思っています。
――最後に、この記事を読んでいる方、特にNTTデータFTへの就職・転職を検討している方へのメッセージをお願いします。
高野:応募の段階では、オンプレミスかクラウドかはあまり絞らなくていいと思います。決済イノベーション事業部にはどちらの経験でも活躍できる場がありますから。
第三担当でもクラウド基盤への領域拡大を進めていて、まさに新たな一歩を踏み出すタイミングです。活躍の場を広げたい人や、今のインフラに物足りなさを感じている人に、ぜひ一緒にチャレンジしてほしいですね。
――高野さん、本日はありがとうございました!
今回は、オンプレミス一筋17年のキャリアを歩んできた高野さんにフォーカスし、第三担当の業務や醍醐味、クラウド領域との融合・進化について紹介しましたが、いかがでしたか?
少しでもNTTデータFTや決済イノベーション事業部について知っていただけたら幸いです。
当社に興味を持ってくださった方は、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししてみませんか。
お会いできることを楽しみにしています!
企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳