こんにちは!株式会社NTTデータ フィナンシャルテクノロジー(以下、NTTデータFT)決済イノベーション事業部です。
オンプレミスとクラウド、レガシーとモダン。私たち決済イノベーション事業部の第五担当は、新旧さまざまな技術やシステムに関わる組織です。「SRE・インフラを担うチーム」と「サービスを開発・提供するチーム」があり、それぞれの強みを活かしながら決済サービスを支えています。
今回は、サービス開発・提供を担うチームで課長を務める、西村 正輝さんへのインタビューをお届けします!
『INFOX』をはじめとする既存サービスを支えながら、培ってきた資産やノウハウを次のサービスへつないでいく。西村さん自身のユニークなキャリアも振り返りつつ、レガシーとモダンの両方を経験できる仕事の面白さや、これから目指す決済体験、生成AI時代のエンジニア像について語ってもらいました。ぜひご覧ください!
西村 正輝
決済イノベーション事業部 第五担当 課長
2008年新卒採用入社。
入社後はINFOX付帯系開発、CafisArch端末アプリ開発、Servicenowを利用した顧客向け運用管理システム構築を経験。
2021年1月よりINFOXに関わるシステム全般の開発・維持及び新規サービス企画・開発を担う。
オンプレミスとクラウドを行き来する、ハイブリッドな組織
――西村さん、本日はよろしくお願いします!はじめに、西村さんが所属する第五担当について簡単に紹介してください。
西村:第五担当には、大きく分けて2つの軸があります。一つはSRE・インフラを担う部隊、もう一つはお客様向けのサービス提供や開発を担う部隊です。さらにその中でサービスや役割ごとに細かく分かれていて、私は『INFOX』をはじめとする決済サービスの開発・提供を担っています。
――素朴な疑問ですが、なぜ性質の異なる「SRE・インフラ」と「サービス開発」が同じ第五担当にあるのでしょうか。
西村:それは、第五担当の成り立ちが関係しています。前の担当部長がもともと基盤部隊を率いていた方で、「新しいことをやりたい」と第五担当を立ち上げたんです。そのときに集めたのが、SREの前身となるインフラ・基盤系のメンバーと、アプリケーション系のサービスを持つチームでした。
それぞれが成長してきた結果、今も2つの軸を持つ組織になっています。同じ担当ですから、困ったときにはお互いに声をかけて助け合っていますよ。
――第三担当や第四担当とは、どのような違いがありますか?
西村:あくまで私の捉え方ですが、第三担当はオンプレミス基盤、第四担当はクラウド上でのアプリケーション開発が中心です。それに対して第五担当は、オンプレミスとクラウド、両方のシステムを所掌しています。特定の技術や基盤に閉じないところが、第五担当の特徴かなと。
――レガシーとモダンを横断する、ハイブリッドな組織なんですね。
西村:そうですね。特に、現在企画・開発を進めている新しいサービスでは、完全にモダナイズされた構成にしていて。AWS(Amazon Web Services)上でさまざまなリソースを使って開発しています。採用している言語も、TypeScriptやGoなど比較的新しいものが多いですね。
今後、オンプレミスのシステムをモダナイズしてクラウドへ上げることもあれば、逆に「本当にクラウドが最適か」と考え直す場面もあり得ます。そのとき、まったくノウハウがない状態からスタートするのではなく、更改やサービス要件に応じて最適な選択ができる。オンプレミスとクラウドを行き来しながらシステム全体を見られるのは、第五担当ならではの面白さだと思います。
先が分からないから面白い。「コードを書かない」エンジニアのキャリア
――現在の業務は後ほど詳しく伺いますね。ここからは、西村さんのキャリアについてお聞きします。まずは入社の経緯を教えてください。
西村:私は2008年に新卒で入社しましたが、大学と大学院では農学を専攻し、長野で山の洪水を研究していました。就職活動では業界を絞らずに幅広く選考を受け、そのうちの一社がNTTデータネッツ(NTTデータFTの前身組織の一つ)でした。
最終的にこの会社を選んだのは、「面白そう」と思ったからです。複数社から内定をもらいましたが、そちらはある程度、将来を想像できてしまって……。先が分からない世界に飛び込む方が面白いと思い、入社を決めました。
ITについては、内定後に勉強を始めた程度。実は入社してからも、自分でコードを書く仕事はほとんどしていないんですよ。NTTデータFTのエンジニアとしては、珍しいタイプだと思います。
――入社後は、どのような仕事を経験してきましたか?
西村:最初の7年ほどは『INFOX』関連を担当しました。今もINFOXに関わっているので、出戻りみたいなものですね。当時はいちエンジニアとして、店舗からの問い合わせを受けるコールセンター向けのアプリケーションや、カード会社が端末の情報を登録するWebサイトなどの開発・維持保守を担当していました。
アプリケーションだけでなく、システム更改に伴うサーバーやデータベースの構築も一通り経験しましたね。地方に新しいコールセンターを立ち上げる際には、ネットワークからセンターそのものの構築まで経験。2013年頃にはクレジットカードのタッチ決済の導入にも携わっています。当時はまだ国内で利用できる店舗が数店舗程度で、本格導入に向けた業務仕様の策定にも関わりました。
――今では広く普及している決済方法に、黎明期から関わっていたのですね。それにしても、開発部隊にいながら、ご自身ではコードを書かなかったのはなぜですか?
西村:入社した時期が、ちょうど海外へのオフショア開発が広がり始めた頃だったんです。若手時代はずっと委託先とやりとりして、「何をつくるかを定義し、海外で実装されたものを評価する」役割が多かった。コードを読むことはあっても、自分で書く機会はほとんどなかったですね。
ただ、ネガティブな気持ちはなくて。私はコードを書くこと自体にこだわりがないタイプなんです。最終的に目的が達成できればいい。それに、データベース周りやSQL、アプリケーションを動かす環境づくりは、若手時代にかなり鍛えられました。
――これまでのキャリアの中で、特に印象に残っている出来事はありますか?
西村:『CAFIS Arch』(※)の端末アプリケーションや、決済を動かすフレームワークの開発でリーダーを務めたことですね。当時はAndroidアプリだったのですが、私はAndroidに馴染みがありませんでした。それでも仕様を決め、フレームワークの修正方針を整理しなければならない。お客様に謝罪や説明に伺うこともあり、かなり苦労しました。
ただ幸いなことに、各領域でコアな専門性を持つ優秀なメンバーが集まっていて。みんなで議論しながら方向性をつくっていく時間が、すごく楽しかったんですよ。私はビジネスやサービスの観点から「こうした方がいい」と考え、技術のスペシャリストは、それをどう実現するかを考える。パズルのピースがはまって、自分一人では出せない答えにたどり着くような感覚がありました。めちゃくちゃ大変でしたが、それぞれの強みを出し合いながら進める面白さを実感するプロジェクトでしたね。
※現在の『ADAPTIS In-Store マルチ決済ターミナル(A)』(以下、マルチ決済ターミナル(A))
――やや炎上気味というか、難航するプロジェクトの立て直しも経験されたと聞きました。
西村:どこまで話していいか難しいですけど(苦笑)。リリースが迫っているのに試験が進んでいない案件など、厳しい状況のプロジェクトに途中から参加したこともあります。
その中で痛感したのは、全体を見てチームの向きを揃える“交通整理”の大切さです。進捗が芳しくない案件では、各々が自分の所掌は見ていても、全体にとって最適解かを考えられていないことが多い。「お客様にサービスを提供する」という目的は同じなのに、バラバラの方向に動いてしまうんですよね。
いろいろ大変なこともありましたが、振り返ると学びが多いですし、困難を乗り越えた経験が今の自分を支えているとも思います。つらい状況に直面したとき、「やれば終わる」「あのときに比べればマシだ」と思えるかは、大きな分水嶺になりますから。
終わるサービスと始まるサービス。両方を経験できるタイミング
――ここからは、現在の仕事について深掘りしていきます!改めて、どのような業務を担当しているかお聞かせください。
西村:お店に行くと、店頭に決済用の端末がありますよね。その決済端末からの取引情報を中継するセンター(以下、INFOXセンター)を中心に担当しています。センター内にはオンライン系をはじめ複数のサブシステムがあり、その維持・開発が業務の柱です。加えて、蓄積した資産やノウハウを活かした新しいサービスの企画も進めています。
――“INFOX”と検索するとカード決済端末が出てきます。その取引情報を中継している、ということでしょうか。
西村:半分正解ですね。INFOXセンターでは、旧来のINFOX端末に加えて、後継にあたる『マルチ決済ターミナル(A)』(旧『CAFIS Arch』)の取引情報も扱っています。端末から送られてきたデータを集約して『CAFIS』へ中継し、結果を返す。取引情報が全部センターに集まるので、加盟店向けの取引レポート提供なども担っています。
なかなか複雑なので、この記事を読んでいる方は「決済取引を中継するセンターを担当しているんだな」くらいの理解で大丈夫ですよ。
――概要は理解できました。聞くところによると、INFOX端末は2029年にサービスを終了する予定だとか。
西村:そのとおりです。INFOX端末は終了に向かうので、既存領域の一部はシュリンクしていきます。ただ、端末がなくなるからといって、INFOXセンターに蓄積された仕組みや、これまで培ってきた決済業務のノウハウまでなくなるわけではありません。
不要になった資産は減らし、残すべきものを見極めて新しいサービスへつなげていく。終わりゆくサービスと新しく始まるサービスを同時に経験できる、貴重なタイミングとも言えますね。
――そんなINFOXセンターを担う、西村さんのチームについて紹介してください。
西村:私を含めてプロパー社員が11人で、協力会社のメンバーまで含めると20人程度のチームです。大きく分けると「INFOXのオンライン系」「コールセンターやWeb系のシステム」「新しいサービスの企画・開発」の3つ。既存サービスを守る役割と、新たな価値を創造する役割が共存しています。
――チームの雰囲気はいかがですか?
西村:比較的若いメンバーが多く、活気がありますね。チームをリードする課長代理が2人いて、その下には入社7年目前後の若手が多くいます。みんなでワイワイやりながら、助け合って仕事を進めています。
それと、働き方の自由度が高いのも特徴です。どうしても出社が必要な場合もありますが、基本的にはテレワークの頻度は本人に任せています。出社を中心にしているメンバーも、ほとんど出社しないメンバーもいますよ。
――新卒入社の社員からの配属希望も少なくないそうですね。
西村:年によりますが、今年は希望者が結構多かったですね。年齢の近い先輩がたくさんいて、テレワークもしやすい。加えて、決済という仕事の身近さも感じてもらえているのかなと。自分が携わるシステムや端末が、世の中でどう使われているのかをイメージできる。これは私たちのチームに限らず、決済イノベーション事業部で働く大きな魅力だと思います。
「つくらずにつくる」。拡張性を武器に、次の決済体験を描く
――新しいサービスを企画・開発しているとのことですが、内容が気になります。可能な範囲で教えてください。
西村:いくつか進めていますが、一例を挙げると、既存の『INFOX』や『マルチ決済ターミナル(A)』以外の決済サービスの取引情報も集めて、ワンストップでお客様に提供する構想を進めています。仕組みの異なるサービスを横断するので、間をつなぐ部分は柔軟性の高い“ハブ”にしておく必要がある。そういう新しい仕組みを、今まさに考えているところです。
設計思想として念頭に置いているのは、将来的な拡張性です。柔軟な土台を先につくっておけば、後から新しいものが加わっても、大がかりな開発をしなくて済む。その結果、お客様へ価値を届けるまでの時間を短くできます。
かつて「つくらずにつくる」という言葉が出てきたときには、ずいぶん揶揄されていました。でも、今こそ大事な考え方だと私は思います。その背景には、決済サービスを取り巻く競争環境が大きく変わってきたこともありますね。
――どういうことですか?
西村:我々のサービスは、昔はとても斬新で、業界をリードする存在だったと思います。でも今は、後から参入した会社が新しいサービスを次々につくり、正直に言うと私たちの方が遅れている部分もある。そこに追いつき、追い越していかなければなりません。私自身は「オールドルーキー」のような心構えでいます。
昔の決済は「今までできなかったことができる」だけでも大きな価値がありましたが、今はもう「あって当たり前」のインフラになっています。「止まらない」「安定して動く」を守りながら、その上にどんなプラスアルファの価値を乗せられるのか。それが問われるステージに移っています。
――決済サービスに求められる価値が変わってきている、と。
西村:はい。今はまだ、正解はありません。「より良い決済体験とは何か」という定義からスタートして、それを届けるにはどんなシステムやサービスが必要かを考えていく段階です。
だからこそ、これから入る人にとっても面白いと思います。決められたとおりに運用するのではなく、新しく考える余地がかなりありますよ。
――NTTデータFTは「つくる」会社ですが、ビジネス自体の企画も考えているのですね。
西村:求められる領域は上流へ広がっています。ただ、それでもNTTデータFTらしさは変わらないと思っていて。私たちはシステム開発をベースに、現場から積み上げてきた会社です。技術を知っているからこそ、「本当に実現できるのか」「どういう構成なら現実的か」とフィジビリティを見ながら企画できる。これは、私たちの大きな強みだと自負しています。
「どうつくるか」を変え、「何をつくるか」を磨いていく
――今後の展望をお聞かせください。まず組織づくりについて、どうお考えですか?
西村:サービス全体を継続的に最適化できるチームをつくっていきたいですね。そのために、メンバーには原則として複数のシステムを見てもらっています。一つのシステムだけに閉じずに、広い視点で見て、最適化のサイクルを自分たちで回すことができる。そんなチームを目指していきます。
――西村さん自身が特に挑戦したいことはありますか?
西村:当面の大きなテーマは、生成AIを駆使したシステム開発です。会社としても、お客様へ価値を届けるスピードを上げることが求められています。向こう数年は生成AIを活用しながら、より早く、効率的に価値を提供することに挑戦したいですね。
ちょうど2026年8月(※)から、あるプロジェクトで「ほぼ人がコードを書かない」前提の開発を始めます。INFOXセンター内にあるWebシステムを一つ外へ切り出し、新しいサービスとして更改する実案件です。その中で、コードを書く部分をできるだけ生成AIに代替させる方式を採用しています。
※本インタビューは2026年7月に実施
――生成AIをプログラミングの補助ではなく主力として使うのですね。西村さんの発案ですか?
西村:はい。事業環境を考えると絶対に必要だと思い、「Innovation Hub」(略称:iHub(アイハブ))にも相談しながら進めています。
目的は単なる効率化ではなく、「お客様へ届けられる価値を増やすこと」です。たとえば1億円の予算があったとして、更改だけで全部使ってしまえば、つくれる価値は一つだけ。でも開発コストを半分にできれば、残りの5000万円で次の価値提供に着手できます。
――限られたリソースで最大の価値を生み出す。そのためには生成AIの活用が欠かせませんね。AIが普及する中で、エンジニアの仕事はどのように変わるとお考えですか?
西村:開発のスピードが上がれば、次に詰まるのは「何をつくるか」を定義する部分でしょう。「どうつくるか」をAIが大きく担うようになれば、人間は企画や構想の力をこれまで以上に磨かなければなりません。一つのスキルに依存していると、ある日突然取って代わられるリスクもある。だから、これからのエンジニアは複数の柱を持つことが望ましいと思っています。
私自身は、お客様により良い価値を提供するアプリケーションスペシャリストとして、専門性を高めていきたい。一方で、マネジメントも第二の柱として持ち続けていくつもりです。
――これからに向けて、西村さんのチームではどのような人材を求めていますか?
西村:一番重視しているのは、「変化を恐れないこと」です。「これもやろう」「次はあれもやってみよう」と、一緒に挑戦してくれる人に来てほしいですね。
決済領域の経験がなくても問題ありません。私たちのシステムには固有のドメイン知識が大量にあり、社外から事前に知ることは難しい。過去の経験よりも、新しい知識を前向きに学ぶ姿勢の方がずっと重要です。
分からないことも聞きやすい環境ですし、成長できる機会はいくらでもあります。実際、新しいサービスを立ち上げている課長代理の一人は数年前に中途で入ったメンバーですが、今はチームをグイグイ引っ張っていますよ。
――最後に、この記事を読んでいる方、特にNTTデータFTへの就職・転職を検討している方へのメッセージをお願いします。
西村:私たち決済イノベーション事業部には、日本の決済インフラを日々支えるという重要なミッションがあります。加えて、顧客やエンドユーザーの皆さんへ、さらに快適な決済体験を提供していくことも、これからの大切なミッションです。
今あるものに留まらず、どんどん進化していくので、変化を楽しめる方にとって非常に面白い環境だと思います。ぜひ、そういう方と一緒に仕事ができたら嬉しいですね。
――西村さん、本日はありがとうございました!
今回は、第五担当でサービス開発・提供チームを率いる西村さんにフォーカスし、レガシーとモダンを併せ持つ開発環境や仕事の醍醐味、これからの挑戦について紹介しましたが、いかがでしたか?
少しでもNTTデータFTや決済イノベーション事業部について知っていただけたら幸いです。
当社に興味を持ってくださった方は、ぜひ一度カジュアル面談でお話ししてみませんか。
お会いできることを楽しみにしています!
企画・編集:株式会社スリーシェイク 文・撮影:三谷恵里佳