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【社員インタビュー】キャッシュレス決済を支える社会インフラの構築 ─「IT×金融」の未来を切り拓くインフラエンジニアたちの挑戦─

「IT×金融」の世界は今、大きな変革の時代を迎えている。DX(デジタル・トランスフォーメーション)が加速し、決済システムにも、そしてそれを作るエンジニアにも大胆なイノベーションが求められているのだ。そうした変化を象徴する企業であるNTTデータ フィナンシャルテクノロジーの決済システムを担当するインフラエンジニアたちに、金融システムの作り方、仕事の醍醐味を語ってもらった。


変化の対応から、変化をリードする存在へ。確かな技術力をベースとした提案力が求められる

クレジットカードの決済を支えるシステム構築は、24時間365日に1秒たりとも休みなく働くミッションクリティカルなもの。一方で、枯れた技術をオンプレミスで慎重に運用するイメージも強いだろう。実際、堅牢性の高いシステムが求められるのは事実だ。しかし、デジタル決済システムの多様化に伴い、近年のシステム構築の現場には旧態依然とした「お堅い」イメージはもはやない。


NTTデータ フィナンシャルテクノロジー(以下、NTTデータFTと略称)は、NTTデータグループの金融・決済分野の中核会社であった2社が統合して2022年4月に誕生した金融系テクノロジー企業だ。今回話を聞いた決済イノベーション事業部は、国内最大のキャッシュレス決済総合プラットフォーム「CAFIS」における決済プロダクト開発を担っている。インフラエンジニアとしてキャリアアップができる国内有数のビジネス環境がここには揃っている。

アプリケーション開発に留まらずインフラ構築にも強みがありインフラ事業の成長率は著しい。風通し良くチームビルディングを行っていけるインフラエンジニアの存在が、その原動力となっている。開発した後の保守・運用・リプレースも含めライフサイクル全般を担い続けるカルチャーが根付いており、DepOpsが注目される前から、インフラエンジニアにはそうした考え方が自然に身に付いている。

決済イノベーション事業部のこれまでの実績は、身近なシーンに多数見かけることができる。コンビニATMを利用した入出金や振込み、クレジットカードやスマートフォンを利用したキャッシュレス決済などが代表例だ。クレジットカード決済がより安全・安心・便利なものになるためには、彼らの仕事が欠かせなかった。そして決済システムの開発手法には変化が訪れている。NTTデータグループは工程に期待される役割分担があり、NTTデータが企画したシステムを、その子会社が設計・構築・テスト・運用を行うという流れがありました。


「しかし昨今はクレジットカードだけでなくさまざまなキャッシュレス決済が普及しつつあります。従来型の工程分担や開発手法のみでは市場変化のスピードに柔軟に対応できない。そのため、私たちはクラウドやアジャイルなど、新しい開発手法を取り入れるとともに、企画・要件定義など超上流を目指して提案力を高めるようになりました」と語るのは、同社テクノロジー&ソリューション事業部(取材当時決済イノベーション事業部)の緒方 武哉氏だ。

▲株式会社NTTデータ フィナンシャルテクノロジー 課長 緒方 武哉氏

「クレジットカードに代表される決済システムは安心してご利用頂くための堅牢性が重要でありその部分で、お客様から大きな評価を頂けています。しかしこれからは加盟店様のニーズを捉えながら、スピード感を持って開発することが大切です。示される業界仕様を単に形にするだけでなく、お客様の真のニーズを見抜き、それを実現するための新しい開発手法や技術を取り入れる必要があるのです」(緒方氏)


NTTデータのデジタル専門部署とのコラボレーション

NTTデータでもそうした新たな開発手法に積極的に取り組んでおり専門部署を設立してきた背景がある。ミッションクリティカルな決済システムをスクラム開発でクラウド化し、現行システムからの切り替えを瞬時で行った実績も増え始めている。

ここで、NTTデータのエンジニアたちと、デジタルテクノロジーを活用した新しい決済サービスの企画・開発に取り組むのが、NTTデータFT、決済イノベーション事業部の面々なのである。「NTTデータとは長年にわたり信頼関係を築いてきた。システム開発は、むしろ私たちにこそノウハウが蓄積されている。それを見込んでぜひ新しいテクノロジーの上流に入ってきてほしいという期待を強く感じている」と、緒方氏がコラボレーションの背景を語る。


緒方氏は昨年春よりNTTデータのデジタル専門部署にプロジェクト支援として参画中である。そして今、同専門部署にプロジェクト参画して活躍をしているのが、由井 亮氏だ。「従来はクライアントからソフトウェア基盤を作ってほしいという要望を、指示通りに作るのが我々の仕事でした。しかし、今は『こういったソリューションをこういう基盤の仕組みでやってみませんか』という提案もします。逆に、新たにこんなことはできないかとお客さんに相談されて、一緒にイチから開発することも多いですね」(由井氏)

▲株式会社NTTデータ フィナンシャルテクノロジー 課長代理 由井 亮氏

由井氏によると、デジタル専門部署は、その組織風土もさることながら、エンジニアの服装なども異彩を放つ。服装などの多様化が、柔軟な発想や活発なコミュニケーションをもたらし「働きやすさ」を生じる効果が期待されているという。そうした風土の背景には、デジタルペイメントを事業ターゲットに据えるにあたって、NTTグループ外のリソース、例えばWebやゲーム開発が得意なスタートアップや、才能豊かなフリーランスエンジニアなどとの協業が増えてきたこともあるようだ。

「最先端技術を活用するにあたり、これまでの文化から変えていこうということで、デジタル専門部署が作られたと聴きました。私たちもそれに大きく共感しています。デジタルの世界に飛び込んでみて気付いたことは、最初からクラウドネイティブを目指したり、完璧なアジャイルを導入しようとすると、数多くの課題に直面することとなり軌道に乗せるまでが非常に難しい。そこで私は、新しいデジタルのノウハウを浸透させて、現場に新しい開発手法が定着することをミッションとしています。開発現場を熟知しているだけに、泥臭いこともやらなければ」と、由井氏は笑う。


顧客とともに築いてきた。新技術への挑戦と、セキュリティノウハウ

NTTデータFTの新技術への取り組みは、何も最近始まったことではない。十数年前のeコマースの成長期に増加し続ける海外へのトランザクションに対応するべく、日本にEC決済システムを構築する必要に迫られた。そのシステム開発を担ったのが、NTTデータFTのエンジニアだった。

「当時、私たちはUNIXを活用して仮想基盤を構築しました。現代の仮想コンピューティングの走りでした。そして現在このシステムはクラウドに全面移行済みです。他のIT事業者が遭遇したことのないトラフィックに対する処理性能を実現するため、過去実績のある方式だけがベストな選択肢とは言っていられない。その時代の最先端技術をベストと判断することもあります。そうしたお客様との協業を通して、私たちの技術も成長してきたのです」と、由井氏はNTTデータFTに綿々と伝わる技術的DNAを指摘している。


eコマースだけではない。リアルなフィールドでも実績を積み上げて行き、サービスステーションに特化した共同決済システムも同社の技術力の高さを物語る一例だ。「当時NTTデータFTが最初の決済システムをつくり、その仕組みを応用展開して実現しました。クレジットカードを安全に取り扱うためのグローバルセキュリティ基準(PCI DSS)が登場した頃でしたが、メンバーにはセキュリティの専門家もいたので、その知見も活かしながら業界標準の決済システムを構築することができました」と、緒方氏は振り返る。

「この頃から培われたPCI DSSなどセキュリティのノウハウはクラウド時代にも活かされています。大量トランザクションに対する処理性能の実現と同時に、長年センシティブデータを取り扱ってきたがゆえのセキュリティ技術については自信を持っています。こうした私たちのコア技術は、ネットワーク環境や決済端末が変わっても絶対に必要なものです」


次世代型の決済サービスを自らの手で生み出す

これまでのクレジットカード決済システムにも、課題はある。求められているのは、信用照会の迅速化、 カード決済プロセスのスピード化、24時間365日のサービス提供、災害時でも利用可能なシステム、そして高度なセキュリティだ。これらの課題を一つひとつ解決しつつ、デジタル決済システムの変化にも対応していかなければならない。従来の金融系とは別の事業者が競って参入するQRコード決済。銀行業界も負けじとQRコード決済サービスを拡充させはじめている。


クレジットカードだけがキャッシュレス決済の代表ではもはやないのだ。こうした現状を彼らはどう見ているのか。「コード決済やスマホ決済の普及は、私たちのビジネスにとって脅威の側面はあります。専用端末の設置が店舗のスタイルにあわなかったり、手元に現金が入るまでの時間を短縮化することでビジネス効率を追求されているクライアントは、クレジットカードは導入しなくても、こうした新しい決済方式に魅力を感じているはずです。ただ、日本はキャッシュレス決済の普及度では、欧米や中国・韓国に比べれば遅れている。市場全体のポテンシャルは非常に大きい見ています」と、緒方氏は強調する。

由井氏も「コロナ禍を背景に、よりキャッシュレスへの関心が高まり、デジタル決済への移行が進むのは新たなビジネスチャンスでもある。そのなかでクレジットカードについての信用は、他の決済手段に比べても高いと思います」と言う。


ただ、金融系エンジニアの彼らにとって、これまでの得意分野であるクレジットカード決済システムだけが活躍のフィールドではないという意識は強い。「自分たちの得意な分野だけに留まっていたら、私たちエンジニアの活躍の場も狭くなりエンジニアとして成長の機会も失われる。そこでいま社内では、次世代型の決済サービスの開発やマーケット開拓を自らの手で進めよう、そのための技術シーズを生み出そうという気運が高まっています」(由井氏)

これまでは、受託開発としてシステム開発やインフラ構築を実施してきた。これからは、ノンキャッシュのデジタルペイメントに関するサービスを、自ら提供することが目標になる。今まで以上のスキル向上や、従来の枠を超えた仕事領域の積極獲得を目標設定して、新しい海原に乗り出そうとしているのだ。


多様な人材とともに世界をリードする決済環境をつくっていく

これは、デジタル最高責任者である大野CDOが発した掛け声でもある。大野CDOとは社員誰もが気軽に語り合える関係にある。

チャレンジの掛け声に応えるエンジニアに、大野CDOは決してネガティブな反応は示さない。むしろその挑戦をより成功確率の高いものに引き上げるために、真剣な問いかけをしてくる。「従来の延長戦上のビジネスではない挑戦的な企画なのか?当社にとって取り組む意義は果たして何なのか?」など、核心を突かれ気づきを得ることもよくあるという。

今後の日本の消費経済の動向を左右するキャッシュレス決済。その最前線を技術力で担うNTTデータFTのインフラエンジニアたちが、この瞬間どんなチャレンジを見せてキャッシュレスの未来をつくるのか。彼らの飽くなき挑戦に期待したい。


NTTデータフィナンシャルテクノロジー 決済イノベーション事業部では一緒に働く仲間を募集しています
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