「老舗=保守的」という既成概念を、岸保産業は鮮やかに塗り替えようとしています。創業80年、飲食業界を支え続けてきた確固たる収益基盤を持ちながら、今まさに第二創業期として組織のあり方を根本から変えようとしている岸社長。
アナログな商習慣が残る調理道具・厨房機器の業界に、デジタルの力でゲームチェンジを起こそうとするその挑戦は、まさに安定と挑戦の「いいとこ取り」と言えます。今回は岸社長に、15年の経営でたどり着いた組織の現在地と、次世代の若手に託す熱い期待について詳しく伺いました。
創業80年の老舗が挑む「第二創業期」。停滞を脱ぎ捨て、新しいフェーズへ
アナログな商習慣を「デジタル」でハックする。ニッチな業界だからこそ勝機がある
食事の温かさは、AIには作れない。一生夢中で働ける業界
創業80年の老舗が挑む「第二創業期」。停滞を脱ぎ捨て、新しいフェーズへ
――本日はお時間をいただきありがとうございます!今回は、第一回のインタビューを踏まえた上で、現在の状況や今後の展望についてお聞きしたいです。岸さんが社長に就任されてから、もうどれくらいになりますか?
社長になったのが2010年ですので、ちょうど15年ですね。
――15年ですか!ちなみに、岸保産業は創業からは何年になりますか?
2025年でちょうど80年になります。
――80年、素晴らしいですね。岸さんの代になってから、若手の採用などベンチャー的な取り組みに力を入れている印象ですが、社風や雰囲気に変化はありましたか?
以前は「自分たちがやってきたやり方でまだ伸びる」という自負が強い時期がありました。実際、外見上は右肩上がりに見えても、中身が変わっていない停滞期が5年ほどあったんです。中小企業は組織が管理されないまま膨らむと危うい。今はそこに歯止めをかけ、新しいフェーズに入ったところです。
――「第二創業期」という言葉がぴったりですね。今は具体的にどのような時期だと捉えていますか?
収益基盤はしっかりしていますが、現状に甘んじるのではなく、ベンチャーのように働ける環境を作りたいと思っています。ベンチャーは成功するまでに時間がかかり、給与の支払いが滞るようなリスクもありますが、うちにはそれがない。安定した基盤の上で「ベンチャースピリッツ」を持って挑戦できる。その両立を面白いと感じてくれる人と一緒にやりたいですね。
――社長としては、社員の意見をどんどん実現していきたいと考えているのでしょうか。
そうですね。「やってみよう」という心意気を大切にしています。安定した部署の利益があるからこそ、新しいことに挑戦し、調整もできる。成果を出せば大きなリソースを使える。この「いいとこ取り」の環境を、よりベンチャーに近い方向に寄せていきたいと思っています。
アナログな商習慣を「デジタル」でハックする。ニッチな業界だからこそ勝機がある
――今の時代、IT化や物流の変化、市場の縮小など、業界全体が激変しています。その中でのチャンスをどう見ていますか?
私たちは既存のプレイヤーですが、このニッチな業界で「ゲームチェンジ」を起こすチャンスがあると考えています。失敗を恐れずに「やりたい」という思いがあるなら、たとえ失敗しそうでも「やってみろ」と言える環境でありたい。思いが弱ければ失敗から学べませんが、強い思いがあれば結果につながるはずです。
――具体的に取り組んでいるプロジェクトなどはありますか?
まだ飲食店では電話やFAX、LINEでの注文が多く、それを手入力するようなアナログな工程が残っています。ここをデジタル化し、業界全体の最適化を図りたい。自社が良ければいいのではなく、業界全体を効率化し、より良くしていきたいという思いがあります。
――老舗でありながら、業界をリードしていく覚悟を感じます。
この業界は覚えることが非常に多く、一人前になるのに10年かかると言われています。それが若者が入りづらい一因になっている。せめて調理道具の領域だけでも、ツールを使えば明日から仕事ができるように開放したい。アナログな文化を変え、食の楽しさを支える仕事をもっと面白くしたいんです。
――若手の方々とは、どのような距離感で仕事をされていますか?
人数も少ない中、風通しが良い環境を作っているところです。経営陣が参加する対談や勉強会に、若手を招待して、一緒に見学させることもあります。
――それは若手にとって嬉しい刺激になりますね。
こんな人と一緒に働きたい、というのはありますか?
サービスを追求し、お客様目線の仕組みを一緒に作れる人ですね。「岸保産業で学んで成長し、踏み台にして次へ行く」くらいの気概がある人材に来てほしいし、僕としては、そういう優秀な人が「やっぱり残りたい」と思える会社を作りたいという、いい意味での矛盾した思いを持っています。一度外の世界にチャレンジして、また戻ってきてもいい。
――出戻りもOKな環境で、それでも優秀な人材が残りたくなる会社を作っていくということですね。
食事の温かさは、AIには作れない。一生夢中で働ける業界
――飲食業界自体の魅力についてはどう考えていますか?
食は絶対になくならない仕事です。私たちの仕事はサステナブルであり、未来に続いていくものです。また、この仕事は対面でやり取りをする「人とのつながり」が核にあります。地方へ出張し、現地の食事をいただいて、地域ごとに異なる商習慣や食文化に触れる楽しさもあります。北海道のジンギスカン、宮崎の地鶏...食文化が違えば、必要な調理道具も違います。それぞれに特化した器具を効率よくお届けすることに面白さを感じますね。
――「人とのつながり」は飲食業界を語る上で大きなテーマになりそうですね。
食事は、作るのも人間、最後に食べるのも人間です。今はもちろん機械で作る食べ物もありますが、やはり必ず人間の手は入っていると思うんです。それに、人工知能が発達しても、AIは食事をするわけではない。世の中、あまりにもあらゆる物事の効率化が進みすぎて、心が荒んできている部分もあると思うのですが、飲食業界には必ず食事の温かさが残ります。
僕はそういう意味でも、この業界が好きですね。
――最後に、ベンチャー志向の人があえて老舗である「問屋」に来るメリットを教えてください。
問屋は古くてアナログな業界だからこそ、最新のスキルを投入した時の伸びしろが凄まじいんです。若い人たちが当たり前に持っているデジタルスキルが、すぐに武器になる。最新のものに置き換わっている業界ではプロがいて難しいかもしれませんが、ここはまだ変えていける余地がたくさんある。仕事は、やりたいことを夢中でやっている時が一番楽しいはずです。ゲームの次のステージを攻略するような感覚で仕事を楽しめる、そんな人生を送ってほしいですね。ただたくさん働くのをよしとする風潮ではありません。高市首相は「働いて、働いて、働いて」と言っていましたが、私たちは「楽しんで、楽しんで、働いて」という、ワクワクする仕事の面白さを味わってほしいなと思います。
――夢中になってワクワク働ける、最高の働き方だと思います!本日はお時間をいただきありがとうございました。
ありがとうございました。
ストーリーを読んで、岸保産業の挑戦を支える仲間と働きたいと思った方へ
岸保産業株式会社では一緒に働く仲間を募集しています。 「話を聞きに行きたい」ボタンから、ぜひお気軽にお話ししましょう!