リリースから3年。代表の牧野が語る、パトスロゴスの現在地「HR共創プラットフォームは、いまどこまで現実になったのか」
「HR共創プラットフォーム」という構想を掲げてから数年。パトスロゴスの事業は、いまどこまで現実のものとなってきているのでしょうか。
この数年で起きた変化は、単なる事業の拡大にとどまりません。複数のSaaSに分散したデータを一か所に集約し、標準化する――。その発想は、SaaSの利便性を高めるだけでなく、AI時代における競争力にもつながっています。
今回は代表取締役CEOの牧野に、共創プラットフォームの現在の手応えや、創業から現在に至るまでの変化、そしてAI時代におけるサービス価値について伺いました。
「どうつなぐか」から「どう集めるか」へ。市場の視点が変わってきた
——構想を掲げてから数年が経ちましたが、いま振り返って、どのような手応えを感じていますか。
かなり手応えは感じています。特に、この数年で市場の空気は大きく変わってきたと思っています。最初の2、3年は、大企業ほど「まだ同じ規模の会社が入れていないから、もう少し待とうか」という空気がありました。ただ、先行導入が進む中で、「あそこが入れたなら、うちも入れよう」という流れに変わってきています。いまは急速に拡大していると感じています。
——その変化は、どのような点に表れているのでしょうか。
以前は、SaaS活用といえば「どうつなぐか」という見方が一般的でした。ただ、実際に企業の運用を考えると、単にデータをつなぐだけでは足りません。データが各サービスに分散したままだと、結局どこに何があるのか分かりませんし、複数の画面を見ながら業務を進めなければならない。お客様が本当に価値を感じるのは、部分的な連携ではなく、”ここ一か所を見れば業務が回る”状態なのだと思います。そこへの理解が、導入を通じて一気に進んできたと感じています。
——設立当初に描いていた想定と比べて、現在の進捗をどう見ていますか。
大きな方向性としては、想定どおりです。というより、未来を考えたときに「これしか答えがない」と思って始めた事業でした。もちろん、どんな問題が起こるかまでは事前にわからないので、進め方は途中でかなり変えてきましたが、事業は想定どおりに拡大しています。
——進め方を変えてきたとのことですが、具体的にはどのような部分でしょうか。
たとえば、最初は共創パートナーであるSaaS企業側が順次プラットフォームへの接続を進めてくれる形も想定していました。ただ、それだけではお客様が求めるスピードに追いつかない。そこで、私たち自身のエンジニアの力も使いながら、こちらからつなぎに行く動きを強めてきました。このように、構想自体を変えたわけではありませんが、実装のスピードを上げるためのやり方はかなり変えてきたと思います。
SaaS連携の先にあるのは、AI時代を支えるデータプラットフォーム
——パトスロゴスが一貫して重視してきたことは何だったのでしょうか。
私たちが重視してきたのは、「つなぐ」のではなく「集める」という考え方です。iPaaSのように、データの受け渡しを行う仕組みは世の中にあります。ただ、それはデータをつないでいるだけで、データそのものは各サービスの中に残ったままです。その状態では、結局どこに何があるのか分かりませんし、両方を見ないと業務が完結しないことも多い。これでは、お客様にとって本当の意味で便利だとは言えません。
私たちは、HRデータを一か所に集約し、しかも標準化することを重視してきました。そうして初めて、どのSaaSから見ても同じ意味で使えるデータになりますし、お客様にとっても「ここを見れば運用が回る」という状態をつくることができます。そこが一番大きな違いです。
——単にデータを集めるだけでなく「標準化」まで必要になるのはなぜでしょうか。
各SaaSは、それぞれ異なる設計思想でつくられています。コード体系も違えば、同じ人事データでも持ち方や意味づけが異なることがあります。そこをそのまま並べただけでは、データが集まっていても実際には使いにくいのです。そのため、共通の意味を持つ形に整えていく必要があります。私たちは長い間、こういう形に集約しようという考え方を積み上げてきました。そこにデータが集まることで、ようやく意味を持ったデータ基盤になるのです。
——その「意味を持ったデータ基盤」という考え方は、今後のAI活用も前提にしたものなのでしょうか。
まさにそうです。AIにとって本当に重要なのは、アプリケーションの数ではなくデータです。しかも、複雑で分散したままのデータでは、AIはそれを読むことができません。なので、AIが読めるフラットで標準化されたデータ構造を、最初から前提にしてきました。これはSaaS時代にも必要な基盤ですが、AI時代になるほど、その意味はさらに大きくなると考えています。
——そうしたデータ基盤が整ったとき、AIの活用はどのように広がっていくと考えていますか。
今はSaaSをつないでいますが、今後はAIエージェントをどんどんつないでいくことになると思っています。そのときにも中心に必要になるのは、やはりデータの基盤です。AI時代の価値は、機能の多さではなく、AIが読めるデータをどれだけ握っているかで決まっていきます。私たちは、その前提になるデータプラットフォームの位置をしっかり取ることが一番重要だと考えています。
——その変化は、どれくらいの時間軸で起こると見ていますか。
5年先の話というより、もっと近い未来だと思っています。世界中でAIへの投資が進んでいますし、その投資を回収しようと思ったら、生産性の向上につながっていくしかないはずです。そうした流れの中で、私たち自身も社内の業務をAIネイティブに見直していかなければなりません。今の仕事をそのままAIに置き換えるのではなく、AIがある前提でどう業務を組み立てるかを考え直すことが必要だと感じています。
顧客の生産性向上に、どこまで本気で向き合えるか
——共創パートナーとは、どのような関係性を築いているのでしょうか。
単につながる相手としてではなく、提案や導入まで含めて一緒に価値を届けるパートナーとして関係を築いています。私たちが共創パートナーのSaaSを販売することもできますし、全体をまとめて提案する役割も担っています。私たちは営業や導入コンサルティングの機能も持っており、領域全体を把握したうえでお客様に提案できるので、共創先から見ても意義のある関係になっているのではないかと思います。単につながるだけではなく、提案や導入まで責任を持つことが、関係性の意味を大きくしているのだと思います。
——事業が伸びている中で、今いちばんの課題は何でしょうか。
需要に対して、組織と実装力が追いつくかどうかです。市場からの期待は非常に大きいです。一方で、そのスピードに応えきれなければ、成長そのものを自分たちで抑えることになってしまいます。未経験の方を育てる仕組みはすでにありますし、実際にその中で人も育ってきています。ただ、今の変化の速さは、その育成の時間だけでは間に合いません。そうした状況もあり、HRプロダクトの開発に携わってきた方や、人事系システムの導入に関わってきた方など、経験をお持ちの方も相当優遇しますので是非このタイミングで加わっていただきたいと思っています。
——今後1〜2年で、経営として最も重要になるテーマは何でしょうか。
お客様の生産性向上に、どこまで本気で向き合えるかだと思っています。結局のところ、私たちがやるべきことはそこに尽きます。AIもそのための手段の一つですし、プロダクトの進化も、導入のあり方も、すべてはそこにつながっていなければ意味がありません。ここから先の1〜2年は、そのテーマをどこまで具体的な形に落とし込めるかが重要になると考えています。
——このフェーズでは、どんな方が力を発揮しやすいですか。
経験は大きな武器になります。ただ、それ以上に大事なのは、頭の柔らかさと、自分で考え続けられることだと思います。AIネイティブな時代には、知識の量そのものより、「そもそもこの業務はどうあるべきか」を問い直せる人のほうが強いのです。結局のところ、AIでできないところを人がどう判断するのかが大事になります。過去のやり方をなぞるのではなく、AIがある前提でどう変えるかを考えられる方には、とても合う環境だと思います。