TikTok for Business公式クリエイティブパートナーとして急成長するMISMを、代表の羽部氏が「熱」で牽引するなら、その戦略を「冷静」に支えるのが取締役兼BUZZRENTAL事業責任者の野口さんです。MBTIは代表とは対照的な「論理学者(INTP)」で、趣味は読書。しかし、そのキャリアは高卒から無人島イベントを主催するなど、異色の行動力も併せ持つ。
なぜ彼はこのカオスなスタートアップを選び、どのように市場を読み解いているのか。MISMの頭脳とも言える彼が、いかにして「動画広告の民主化」を進め、業界のインフラを目指すのか。その冷静な思考の背景に迫ります。
野口一馬(Kazuma Noguchi) / 取締役兼BUZZRENTAL事業部 事業責任者
2000年生まれ。大学へは進学せず、マーケティングインターンや無人島イベント主催、健康食品カフェの立ち上げなどを経験。事業の失敗から「市場ドリブン」の重要性を痛感し、広告業界で修行中に代表の羽部と出会う。「BUZZRENTAL」のPMFを確信し、立ち上げ責任者としてジョイン。趣味は読書で、最近は天文学史にハマっている。MBTIは「論理学者(INTP)」、ラブタイプは「不思議生命体(FARO)」。
京大受験、プライベートブランド、カフェ経営失敗。僕が「市場ドリブン」に切り替えた理由
ーー野口さんは25歳で事業責任者をされていますが、キャリアのスタートが高卒からと伺いました。大学に進学されなかった理由を教えていただけますか?
実は、高校時代は京大を目指して猛勉強していたんです。でも、現役では合格できなくて。 浪人を経て色々と考える中で、ふとしたきっかけで『サピエンス全史』のような学術的な本をカッコつけるために持ち歩くようになり、 頑張って読んでみたら「読書、めちゃくちゃ面白いな」とハマってしまって。
ーー猛勉強から一転、独学の道に進まれたんですね。
そうなんです。本を読むのが好きになった結果、「わざわざ大学の授業を受けなくても学べるな」と思うようになりました。当時、オンラインのコミュニティーも多様化しており、大学に行かなくても面白い人には会えるし、特段のめり込みたい学問もなかったので、「大学行かないキャリアを開拓してみたい」という気持ちが強くなりました。
ーー大学に進学しない代わりに、かなりユニークな活動をされていたそうですね。
はい。「学歴がないからこそ、ユニークな体験と成果で勝負する」という意識は強かったですね。大学に行かない代わりに何ができるかを考え、上陸できる無人島を探して100人規模のイベントを主催したり、その縁で全国に友人ができたのでヒッチハイクで日本を一周したりしました。
その後も、21歳頃に健康食品カフェの立ち上げ責任者としてプライベートブランドを作ったり、風呂敷のブランドをMakuakeで立ち上げたり。並行して、シェアハウスで出会った仲間が関わる福祉系の会社に参画し、今も理事として携わっています。
ーー色々挑戦されたんですね。
ただ、風呂敷もカフェも、正直うまくいきませんでした。どっちも「やりたいことドリブン」というか、ビジョン先行で、市場感を全然見ていなかったんです。 そこで「ちゃんと市場とか“売れる”っていうことに向き合わないとダメだ」と痛感しました。それで、もう一度ちゃんと修行しようと決めて入ったのが、広告業界でした。
「代表との相性は最悪だと思った」—それでもMISMを選んだ“PMFの確信”
ーーMISMとは、その“修行”時代に出会ったのですか?
そうです。修行を終えたら自分でまた起業しようと思っていたんですが、その修行先の師匠から、羽部を紹介されて。「ちょっと困ってるから助けてあげて」と。 羽部の新規事業の構想を聞いた時、過去の失敗経験から「これは市場のポテンシャルがかなりあるな」と感じました。
ーー「市場のポテンシャル」とは、具体的に?
僕は修行時代に動画広告の運用をやっていたので、動画制作者のニーズを痛感していたんです。とにかく「動画素材が足りない」。 当時、類似サービスは一応あったんですが、料金が高く、使いたい素材を見つけられなかった。結局、自分たちで撮影していました。 なのでPMF(プロダクトマーケットフィット)することはほぼ確信できると。その新規事業こそが現在僕が事業部長をしている「BUZZRENTAL」というサービスです。
ーー事業のポテンシャルは感じつつ、羽部代表個人との相性はどうでしたか?
正直、「かなり相性悪いかも」って最初思いました(笑)。 界隈が全然違うんですよ。代表はアクティブでキラキラしているのに対して、僕は福祉系や本好きの界隈で大人しめ。MBTIも代表はESTPで僕はINTP。本当に真逆で、最初は不安もありました。
ーー(笑)。その不安はどう乗り越えたのですか?
僕自身、仕事にウェットな人間関係を求めるタイプではなかったですし、羽部自身にもすごく「合理性」を感じたので、仕事としてお互いにちゃんと向き合えるなら問題ないなと。 でも、実際に一緒に働いてみると、想像とは違いましたね。もちろん合理的なんですが、それ以上に、僕の成長やキャリア、プライベートな事情にも、彼女はちゃんと向き合ってくれました。
会社ではしっかりしてますけど、経営者仲間の間では結構いじられてる「妹キャラ」だったり、僕の前ではそういう可愛げというか、たまに弱音を見せてくれることもありますし。そういう人間的な部分も知って、信頼関係ができてきた感じですね。
ーー代表の「熱」と野口さんの「冷静」さ、いいバランスですね。
そうかもしれません。羽部も、自分1人の力だけでは天井が見えていて、「遠くへ行くにはチームと向き合わないといけない」というフェーズだと自覚しているんだと思います。
“素材屋”から、業界の「インフラ」へ。成果にコミットするデータ・AI戦略と未来構想
ーー現在、事業部長として「BUZZRENTAL」事業を牽引されていますが、業務内容を教えてください。
「BUZZRENTAL」事業のPL(売上・利益)に責任を持つことです。 それに必要なことは全部やります。営業(商談フロント)、CS組織化、採用、クリエイティブ戦略、データ整備、組織マネジメント、そして最近最も注力しているのが「AIを組み込んだ事業戦略」の再構築です。「BUZZRENTAL」に関しては、僕主導で戦略を進めています。
ーーデータ戦略やAI戦略など、かなり幅広く見ていらっしゃるんですね。
はい。データに関しては、今まではメンバーの「感覚」で意思決定していた部分を、ダウンロード傾向やユーザーのサイト内行動分析に基づき「データドリブン」に変えているところです。 「こういう素材が良さそうだよね」ではなく、「今こういう素材がダウンロードされているから、似た素材を増やそう」という判断ができるように整備しています。
ーー羽部代表も「成果にコミットする」と仰っていましたが、その点ではいかがですか?
そこが最大の課題であり、チャンスです。今までは広告の「成果」データ(CPAなど)までは追えていませんでした。正直、素材を提供して終わり、という側面があったのは否めません。 今後は、クライアントが成果を管理したくなるようなダッシュボード機能などを構想し、AIも活用して「成果の出る素材」をレコメンドできるような、クライアントの成果に深くコミットするサービスに進化させたいと思っています。
ーーまさに「クリエイティブラボ」であり、「インフラ」という構想ですね。
はい。「成果を最短で届けるクリエイティブラボ」というキャッチコピーの通りです。「最短」というのは、まさに業界のボトルネックを解消するスピード感のこと。 縦型動画のトレンドは2週間で終わるのに、動画制作は工数がかかりすぎる。この課題を解決することが、私たちが目指す「動画広告の民主化」にも繋がると考えています。
ーーAIを活用して、具体的にどう進化させていくのでしょうか?
AIでクリエイティブの単価が下がれば、今まで予算がなかった中小企業でも、もっと気軽に動画広告に取り組めるようになります。それが「動画広告の民主化」です。 そのために、今まで分かれていた「BUZZORDER」と「BUZZRENTAL」を、今後はもっと「融和」させていきます。
単に「レンタル素材を提供する」のではなく、「レンタル素材やAIを使い、成果の出る企画・シナリオに基づいた“完成クリエイティブ”そのものを納品する」というスタンスに変わっていきます。 普通の会社が企画から動画を作るのに1ヶ月かかるところを、うちは「爆速で」作る。そのためのデータ戦略であり、AI戦略です。
代表の視座に追いつくために。僕が求めるのは「意見の質」で勝負できる仲間
ーーMISMの組織カルチャーについて、野口さんはどう感じていますか?
それぞれの個々人の自由を尊重する文化かと思っています。お互いの個性をちゃんと尊重し合える人がフィットしますね。 そして、この文化における一番の魅力は「風通しの良さ」です。立場に関係なく意見が言えるので、自分の意見をしっかり持っている人にとっては、すごく働きやすい環境だと思います。僕自身も、部下やインターン生の意見から気づかされることが本当に多いんです。彼らが物怖じせず意見を言ってくれることで、僕も成長させてもらっています。
ーー野口さんご自身の今後の目標を教えてください。
直近の大きな挑戦は、AIという“逆境”とも“転機”とも言える変化を乗りこなし、組織として構想しきることです。今まではPMF(プロダクトマーケットフィット)も難しくなかったので、いかに軌道に乗せるか、という課題に向き合っていました。ですが、変わろうとしているので、いかに軌道を描けるかという課題に取り組もうとしています。そして、代表の目標が上がっていく中で、僕も「ただ自分たちのサービスを伸ばす」という視点から、「市場全体にどう貢献していくか」という、より高い視座で物事を考えていく。それが次の僕の挑戦ですね。
ーー最後に、野口さんはどんな方と一緒に働きたいですか?
羽部(代表)は「燃えてる人」と言っていたかもしれませんが、僕(INTP)の視点で言うと、自分の意見を持つことと、前提を疑い続けることの両立ができる人ですね。自分の意見に固執せず、思考し続けることが楽しいと感じる方と、ぜひ一緒に働きたいです。 …とはいえ、結局は代表と僕でこうもタイプが違うように(笑)、MISMは多様な個性を尊重するカルチャーです。熱量がある方も、冷静に分析するのが得意な方も、それぞれの「自分らしさ」を活かせる場所だと思います。