街中でよく見かける、鮮やかな緑の水菜。 私たちのトラックに積み込まれるその1束には、実は目には見えない「深み」が詰まっています。
もし、あなたがドライバーのお仕事を通じて「ただの配送以上の価値」を見つけたいと思っているなら、ぜひこの水菜の裏側を知ってほしいのです。
唯一「つくれない」ものと向き合う。Tさんの「土の処方せん」
今日知ってほしいのは、茨城県の大地でみず菜を育てる、Tさんの物語です。
「人間はいろんな物を創造するけど、唯一創造できないのが土。ウチらができるのは、土を知ってコントロールすることです」
そう語るTさんの「土作り」は、まるで熟練の医師のようです。
「食いしん坊」な野菜への配慮: みず菜は土の栄養(窒素)をたっぷり吸い上げる性質があります。しかし、吸いすぎると「えぐみ」や「固さ」が出てしまいます。
土への処方せん: 過去の失敗から、肥料のやりすぎが土を壊すことを学んだTさん。今は畑ごとに「土壌分析」を行い、その時々の土の状態に合わせた「処方せん」を出すように、緻密に肥料を調整しています。
手作りの「特製ごはん」: 肥料も自家製です。もみがらや大豆かす、コーヒーかすなどを発酵させ、土に優しく栄養を与えています。
そうして育ったみず菜は、濃すぎる緑ではなく、透き通るような「フレッシュなグリーン」になります。その色は、苦味がなくシャキシャキで、子どもたちがパクパク食べる「おいしさの証」となるのです。
あなたが運ぶのは、その「お手伝い」の最終工程
Tさんは言います。「私たちがするのは、みず菜が育つお手伝い。自分たちがやったことが良かったかどうか、最後まで見届けたい」。
その「最後を見届ける」バトンを受け取るのが、ドライバーであるあなたです。
「このみず菜、色が薄いけど大丈夫かしら?」
もし組合員様に聞かれたら、あなたは自信を持って答えられます。
「これは、Tさんが土の栄養をプロの目で見極めた証なんです。えぐみがなくて、お子さんでも生で食べられるんですよ」
届けるだけの人と、その「理由」を知って届ける人。
組合員様にとって、どちらから受け取る野菜がより美味しく感じられるかは、言うまでもありません。
私たちのドライバーのもとで働くからこそ、得られる達成感がある。
「重い荷物を運んで大変だね」
と言われることもあります。
でも、Tさんが土と対話し、愛情深く見守ってきた「命」を預かっていると思うと、ハンドルを握る手に自然と誇りが宿ります。
効率だけでは味わえない、この仕事の「手応え」。
それは、誰かの「一生懸命」を、誰かの「喜び」へ直接手渡すことができる、この仕事ならではの特権です。