ソシャゲやハイカジュアルのゲーム会社でプランナーをしている方と話していると、ときどきこんな声を聞きます。
「企画したものがユーザーに届くまでが、とにかく長い」
「気づいたら、見ている数字がガチャと広告の指標ばかりになっていた」
「プロトタイプを作っては畳む日々で、ゲームを"育てる"経験がなかなかできない」
どれも、プランナーという仕事が好きだからこそ出てくる言葉だと思います。
こんにちは、株式会社WAKA(旧EbuAction)です。
WAKAは、世界4億人以上が利用するゲームプラットフォーム「Roblox」を主戦場に、えんとつ町のプペル、東京メトロ、東京都福祉局など、企業・自治体・IPのRoblox活用を支援しているコンテンツスタジオです。
えんとつ町のプペル:IPの世界観をRoblox上に立ち上げ、グローバル展開を支援
東京都福祉局:行政のコミュニケーション基盤としてのRoblox活用
Robloxの上でゲームを企画する仕事は、ソシャゲともハイカジュとも、少し景色が違います。ただ、言葉で説明してもなかなか伝わらないので、この記事では、WAKAでゲームプランナー業務を担っているKの、ある月曜日を追いかけてみます。
※Kの1日は、すべて実際にある業務でできています。ただ、Kについては少しだけ事情があるので、種明かしは記事の最後に。
10:00|出社。月曜の朝は「答え合わせ」から始まる
Robloxには独特の文化があります。大型アップデートは、土曜日の米国ゴールデンタイムに、世界中の人気ゲームが一斉に行うのです。日本時間だと日曜の早朝。だから月曜の朝は、土曜アプデの結果がまるごとデータで見える「答え合わせの日」です。
Kはまずダッシュボードを開きます。Visits(プレイ数)はどれだけ動いたか。新規ユーザーはどの国から来ているか。先週仕込んだ改善で、継続率は変わったか。
自分が企画したゲームが、週末のあいだに世界中でどう遊ばれたのか。それが月曜の朝いちばんに分かる。Kいわく、1週間でいちばん楽しみな時間だそうです。
継続率(リテンション)は、類似ゲームのベンチマークと比較しながら確認できる(画像出典:Roblox Creator Documentation / CC BY 4.0)
10:30|アナリティクスの深掘り。思ったより、ずっと細かく見える
Robloxに触れて多くの人が驚くのが、プラットフォーム標準のアナリティクスの細かさです。
継続率やプレイ時間はもちろん、オンボーディングをどこまで突破したか、コアループを1周し終えたユーザーが何%いるか、どの国の・どのデバイスのユーザーがどこで離脱したか。ソシャゲなら自前でログ基盤を組んでようやく見られたレベルの分析が、最初から手元にあります。
ちなみにRobloxユーザーの約80%はスマホです。この日のKは「チュートリアル2画面目の離脱、スマホだけ高くないか?」という仮説をメモして、定例に持っていきました。
企画して、出して、数字で振り返って、次を打つ。このループが週単位で回るのが、この仕事のリズムです。運営プランナーの経験がある人なら、この振り返りの解像度はかなり気持ちいいはずです。
11:00|チーム定例。数名だから、決まるのが早い
WAKAの案件は、基本的に1プロジェクト数名単位。プランナーのKと、PM、エンジニア、CGデザイナーという小さなチームです。
朝の数字と仮説を共有して、今週の打ち手を決める。「それ、今週入れよう」まで15分ほど。企画書→レビュー→会議体、という段取りに慣れている人ほど、最初はこの速度に少し戸惑うかもしれません。そのぶん、自分の仮説がすぐ形になって、すぐ数字で返ってきます。
12:00〜13:30|昼ごはんと、「遊ぶのが仕事」の時間
午後の頭は、インプットの時間です。Rotrends(Robloxの分析サイト)で同時接続ランキングを眺め、直近3ヶ月にリリースされた中で伸び続けているゲームをチェックし、海外で話題の新作を実際に遊びます。
WAKAには「流行っているのに面白くないゲームは存在しない。面白さが分からなければ、分かるまで考察する」という考え方があります。世界で流行っているゲームを遊んで、なぜウケているのかを言語化する。これがそのまま企画の引き出しになります。
世界中のゲームを遊ぶことが、堂々と業務のうち。ゲームプランナーになった原点を思い出す時間かもしれません。
14:00|新規案件の企画0→1。「制約」を「個性」に変える
午後は、新しいクライアント案件のコンセプト設計です。
そもそも、なぜブランドのゲームを作るのか。広告なら数秒でスキップされてしまう相手にも、ゲームなら届くからです。ブランドの魅力をエンターテイメントに翻訳すれば、そのブランドに本来興味を持たなかった層が、夢中で遊んでいるうちに自然とブランドの世界に触れている──「観る広告」ではなく「遊ぶ体験」として、ブランドとの出会いそのものをデザインできる。これがこの事業の面白さであり、プランナーの企画がその中心にあります。
その上で、ブランド案件のゲーム企画でWAKAが大切にしている原則があります。ブランドの持つ特徴を「制約」ではなく「個性」に変えること。ブランド要素を制約として扱うと、どうしても自由に作られたゲームに見劣りしてしまう。逆に、そのブランドにしかない要素をゲームの核に置けたとき、世界のどこにもないゲームになります。
たとえば炭酸飲料なら、「爽快感」や「弾ける」という感覚をコアアクションに翻訳できないか。キャラクターに少しクセがあるなら、そのクセこそが「追いかけられると怖いけど、なぜか笑ってしまう」存在にならないか──そんな順番で考えていきます。
そしてもうひとつ、Robloxならではの問いがあります。ソシャゲの企画が「どうすれば続けてもらえるか」から始まるとしたら、Robloxの企画は「どうすればその場が盛り上がるか」から始まります。Robloxは、友だちと同じサーバーに入って一緒に遊ぶことが大前提のプラットフォームだからです。
逃げる・追いかける、協力して運ぶ、集めたものを見せ合う。プレイヤー同士のコミュニケーションが自然に生まれる「動詞」を核に、ゲームサイクルを組み立てていく。この設計感覚は、ソシャゲともハイカジュとも違う、この仕事のいちばんワクワクするところだとKは言います。
16:00|仕様書とRoblox Studio
企画が固まったら、詳細仕様に落とします。画面遷移、操作仕様、UI/UX。エンジニアとデザイナーが迷わず開発に入れる精度で書く。ここは、ソシャゲで鍛えた仕様の緻密さがそのまま活きる部分です。
開発中の別案件は、Roblox Studioで実装ビルドを自分でプレイして確認します。企画意図どおりの体験になっているか、プランナー自身の手で確かめる。ときどきスマホでも遊びます。ユーザーの8割はスマホなので、あの画面サイズで成立しているかどうかは、いつも意識しています。
17:00|社内テストプレイ会。盛り上がるかどうかは、みんなで入ると分かる
夕方、開発中のゲームにチームの全員で同時に入ります。
一人でチュートリアルを検証するのではなく、みんなで入って「これ、盛り上がる?」を確かめる。誰かが変な動きをして笑いが起きる。取り合いになって白熱する。通話が自然と騒がしくなった瞬間、「この企画は合っている」と分かります。逆に静かになったら、どこかに穴がある。
数字が出る前に、手触りで分かる。みんなで遊ぶことが前提のプラットフォームならではの、検証のかたちです。
18:00|次のアップデートを仕込む
Robloxのゲームは、リリースしてからが本番です。米国準拠のシーズナルイベント(サマー、ハロウィーン、クリスマス…)に合わせた月次アップデートを企画し、サムネイルは複数パターンでABテストを設計します。
3〜4ヶ月でつくって、世界に出して、数字を見ながら育てていく。企画・仕様・進行管理・分析・グロースまでが、ひとつながりで自分の手の中にある。この「全部を持てる」感覚が、この仕事の芯にあるものだと思います。
19:00|退勤。帰りの電車で、今日もRoblox
帰り道、スマホでRobloxを開く。世界のユーザーと同じ環境で遊んでみるのも、大事な市場調査のひとつです。
ソシャゲ・ハイカジュの経験は、Robloxでどう活きるか
どちらが上、という話ではありません。ゲームプランナーとして使う筋肉が違う、という話です。
- 開発期間:数年単位の開発を経験してきた人にとって、3〜4ヶ月でリリースまで到達する距離感は新鮮だと思います
- チームサイズ:数十人の分業から、数名で企画からグロースまで。担当範囲が「機能」から「ゲーム全体」に変わります
- 企画の起点:運営カレンダーやマネタイズ設計から、「その場が盛り上がるか」へ。コミュニケーションからゲーム性を逆算します
- 見る数字:ARPUやCPI・ROASから、Visits・継続率・ファネルへ。広告費で獲得する数字ではなく、面白さとレコメンドで伸びる数字です
- 市場:国内中心から、世界4億人へ。日本のプランナーが持つ運営の緻密さは、この市場ではまだ希少です
ソシャゲ出身の方なら、KPI設計・仕様の緻密さ・運用の体力がそのまま武器になります。ハイカジュ出身の方なら、量産で鍛えたスピードとトレンド感覚の先に、「作って育てる」フェーズがあります。
Robloxの知識は、入社時点ではなくて大丈夫です。流行っているゲームの遊び方から情報のキャッチアップ方法まで、社内に型があります。
正直なところも書いておきます
RobloxのマーケティングやゲームPFとしての活用は、まだ誰も正解を持っていない領域です。決まったマニュアルはなく、一次情報の多くは英語圏にあり、トレンドの移り変わりも速い。クライアントワークである以上、予算・納期・ブランドコンプライアンスという条件の中で面白さを成立させる工夫も必要です。
型が用意されていないことをストレスに感じるか、「自分の企画がこの領域のスタンダードになるかもしれない」と面白がれるか。ここは正直、向き不向きがあると思います。後者の方なら、かなり楽しめる環境です。
最後に、Kについての種明かし
冒頭で「Kには少しだけ事情がある」と書きました。
種明かしをすると、Kは特定の誰か一人ではありません。いまWAKAのゲームプランナー業務は、PMと、一部は代表の野田が兼務で担っています。この記事は、その実際の業務を一人のプランナーの1日として再構成したものです。書かれている仕事は、すべて本当にある仕事です。
そして、これだけ面白い仕事なのに、専任のゲームプランナーはまだいません。
兼務でも案件は回ります。ただ、兼務のままでは、ゲームを「伸ばし切る」ところまで手が回らない。企画の0→1からリリース後のグロースまでを専任で握って、この仕事のいちばんおいしいところを持っていってくれる人を探しています。
だからこの記事は、正確にはこう読み替えてください。
これは、WAKAの1人目の専任ゲームプランナーになる、あなたの1日です。
募集について
- ポジション:ゲームプランナー(正社員)
- 想定年収:500〜800万円+賞与
- 勤務地:目黒・五反田駅付近(2026年9月にオフィス移転予定。現オフィスは渋谷)
- 必須:ゲーム会社でのプランナー実務経験2年以上
- 歓迎:KPIを実際に伸ばした実績、ハイカジュアル/カジュアルゲームの企画・運営経験、Roblox・UGCプラットフォームへの関心
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まずはカジュアル面談で、実際のダッシュボードや開発中のゲームをお見せしながら話せたらと思います。
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