入社からキャリアを重ね、自ら新しい部署の立ち上げを担うようになると、実務の視点は「個人のクリエイティブ制作」から「組織として成果を出し続けるための仕組みづくり」へと移行します。一見、センスやトレンドの感覚だけで左右されるように思われがちなSNS運用の領域において、いかにして客観的なデータに基づいたロジックを組み立てるか。そこがプロとしての介在価値になります。
植田幸嗣へのインタビュー3部作の2記事目となる今回は、彼が直近1年ほどで立ち上げ、現在は安定して成果を出せるようになったSNSオーガニック運用の具体的な実務について詳しく聞きました。
TikTokやInstagramを媒体とした運用において、彼と彼のチームがどのようにリサーチを仕組み化し、クライアントの目的に応じた数値分析を行っているのか。丁寧に積み重ねてきた仕事におけるスタンスについて語ってもらいました。
他社へのヒアリングとインサイト分析。数値を基盤にするリサーチの仕組み
僕たちのチームが担っている主な実務は、TikTokとInstagramを活用した、いわゆる「オーガニック」と呼ばれるSNSアカウントの運用です。広告費をかけて出稿するクリエイティブとは異なり、一般のユーザーに近いアカウントを用いて投稿を行うため、費用をかけずに運用できる点や、見ているユーザーに「自分ごと化」してもらいやすいクリエイティブを制作できるという特徴があります。直近1年ほどでこの部署を立ち上げ、現在は一般社員のメンバー2名と派遣の方1名、そして僕を含めたチームで運用管理や進捗管理、アカウント作成などを行っています。
この実務において、僕が最もロジカルな判断や分析を意識し、力を入れているのが「リサーチ」の工程です。
僕たちのリサーチは、単にSNSの画面を眺めて流行りを探すようなものではありません。SNS運用を行っている他の会社に対して、最近獲得が伸びている動画の構成や、再生数が伸びている投稿についてのヒアリングを頻繁に行い、社内で共有しています。
なぜ他社へのヒアリングが可能なのかというと、もともと広告出稿の業務を通じてLitsと会社同士の関係値があるクライアントがSNS運用を始めたり、あるいは現在、弊社がコンサルタントのような形で提携している会社があるからです。お互いに相互のメリットがある関係性の中で、実際に実績の出ている好調なクリエイティブの構成をヒアリングできる環境を整えています。
こうして得た動画構成をもとに僕たちのチームで検証を行い、実際に再生数が大きく伸びた投稿がいくつも生まれています。そして、ただ「再生数がよく回った」「多くのユーザーにリーチできた」という認知の段階で終わらせないよう、最終的な成果である「獲得」への動線をしっかりと作り込むところまでを、リサーチと検証の仕組みとして進めています。
いくら分析しても伸びないからこそ、並行して徹底するクリエイティブ検証
さらに実務的なデータ分析として、投稿後はTikTok内の「インサイト」という機能を活用して詳細な数値を追っています。
具体的には、視聴してくれたユーザーの性別や年齢といった属性データに加え、どのタイミングで離脱したかが分かる「視聴維持率」、さらには投稿に対する共有数やコメント数といった指標までをすべて細かく分析しています。これらの情報を見ることで、投稿する前に僕たちが予定していたターゲット層にしっかりと動画の内容が刺さっているのか、そして再生数の伸び具合に対して数字の根拠がどこにあるのかを特定することができます。この分析結果を次の投稿に反映させ、クリエイティブのブラッシュアップを繰り返していくことで、日々の運用精度を高めています。
ただし、WEB広告やSNS運用の現場においては、「どれだけ完璧に分析を重ねても、どうしても伸びない」ということが、どうしても一定の確率で起こります。これが僕たちの仕事の現実です。
だからこそ、僕はデータに基づいた分析を行うことと同じくらい、あるいはそれ以上に「プラスアルファでいろいろなクリエイティブ検証を並行して行うこと」を大切にしています。一つの仮説や分析結果だけに固執するのではなく、異なるアプローチの動画や静止画を常に複数検証し続けること。丁寧な量稽古の視点を持って実務と向き合うことが、結果として安定した数字を作るためのリスクヘッジになると考えています。
実店舗の販売増?モールの売上増?クライアントの目的に応じた対話
こうしたデータの管理や分析の実務に加えて、僕たちの仕事ではクライアントとのコミュニケーションが非常に重要な意味を持っています。時には営業のメンバーに同行して打ち合わせに参加し、直接数字や施策の説明を行う機会もあります。
対話をおろそかにしてはいけない最大の理由は、クライアントによって、SNS運用を行う「目的」がそれぞれ全く異なるからです。
たとえば、あるクライアントは「ドン・キホーテやロフトといった実店舗での販売数を増加させたい」という目的で弊社に依頼をしてくださいます。一方で、別のクライアントは「Amazonや楽天といったECモールの中での売上を伸ばしたい」という課題を持って依頼されます。
このように、目指すべきゴールが実店舗での購入なのか、それともWEB上のECモールでの購入なのかによって、僕たちが制作すべきクリエイティブの設計は大きく変わります。「一般のユーザーが商品を紹介しているような動画」という大枠の質感やニュアンス自体は、どちらの目的であっても変わりません。しかし、動画の後半における「訴求」のメッセージ、つまり視聴したユーザーに対して最後にどのようなアクションを促して動画を終えるか、という具体的な見せ方は、目的ごとに大きく変更する必要があります。
クライアントが本当に達成したい目的は何なのか、その本質を対話によって正しく聞き出し、適切なロジックを動画に落とし込んでいく。この丁寧なプロセスの積み重ねがあるからこそ、クライアントの期待に応える運用の成果を出すことができるのだと感じています。
【編集後記】Lits人事・広報より
植田が語ったSNS運用の実務は、個人の感性や「バズ」を狙うような不確実なものではありません。提携他社への実直なヒアリングや、インサイト機能を用いた視聴維持率の徹底的な分析など、すべての施策に客観的な数字の裏付けを持たせるロジカルな仕事です。
Litsでは、これらのデータをチーム内だけでなくクライアントとも迅速に共有できるようダッシュボードツールを最新の進捗を常に可視化する仕組みを取り入れています。
主観に頼るクリエイティブ制作ではなく、明確なデータ分析と丁寧な対話を武器に、お客様のビジネスの成果にコミットしたいという熱意を持った方からのご応募を、私たちは心からお待ちしています。