- 事業開発・PM
- フロントエンドエンジニア
- 宇宙IT・カスタマーサクセス
- 他28件の職種
- 開発
- ビジネス
- その他
私たち「株式会社 天地人」は、衛星データとAIを活用して社会課題のソリューションに挑む、JAXA認定ベンチャーです。水道管の漏水リスクを検知する「宇宙水道局」などのサービスを展開しています。
本シリーズでは、天地人のことをより深くお伝えすべく、入社の決め手や業界のポテンシャル、仕事のやりがい、チームのカルチャーを掘り下げた社員インタビューを紹介します。
今回は、AIエンジニアとして活躍する川井 輝さんにお話を伺いました。
プロフィール
川井 輝(かわい あきら) / 東京都出身
衛星リモートセンシング&AIソリューション部 AIエンジニア
大学では機械工学・熱力学を専攻。卒業後、老朽化鉄塔の管理保全を目的としたドローンの飛行経路計算ソフトを提供する事業会社へ入社。その後は画像判定AI、医療系AI開発企業を経て、天地人に入社。現在は主に宇宙水道局プロジェクトでのデータ解析や漏水リスク診断を担当。プライベートでは育児に励むかたわら、趣味のDIYにも勤しむ。ペットのうさぎを溺愛。
プログラミングの面白さが「役立つもの」を作る喜びへ
ーーまず、これまでのキャリアについて聞かせてください。
学生時代は機械工学科で熱力学を専攻していました。実験よりも数値解析やプログラミングでの解析が多く、そのときにプログラミングの楽しさを覚えたんです。
最初の会社では、ドローンの飛行経路を計算するソフトウェアを開発していました。電力会社さんの鉄塔点検を効率化するもので、人が登って点検すると1日3〜4件しか回れないところを、ドローンなら1人で何十件も点検できる。今の宇宙水道局の水道管診断と、考え方は似ていますね。
その後、画像でひび割れを検出するAI開発に興味を持って転職し、ここでAIに本格的に触れるようになりました。3社目は医療系で、内視鏡検査の映像で病変らしき箇所を通知するAIを開発していました。
ーー どの企業も社会貢献度の高い事業をされている印象です。
そこはひとつ、企業を選ぶ上での大きな軸です。ただ、転職を考えたきっかけは別のところにもあって。
前職の医療系AI開発は、ひとつの製品が世に出るまで2年くらいかかるんです。「こういう機能があったら役に立つだろうな」というアイデアがあっても、「2年後にやろう」みたいな時間スケールになってしまう。
それに、お客様のフィードバックをいただいて機能を改善するということがなかなかできず、もっと柔軟に、小まめに提供できる環境で働きたいと思うようになりました。
ーーそんな中で天地人を見つけたのですね。入社の決め手は?
僕はエンジニアとして、自分が作ったものがどう使われるかにすごく関心があるんです。作っても役に立たないものって世の中にたくさんあると思うんですけど、そうならないようにするには、お客様との接点が日々あった方がいい。
でも、お客さんと直接話せるAIエンジニアを求める企業って、意外と少ないんですよ。ほとんどが内部でのやり取りだけ。天地人は、思った以上にお客様と対面でやりとりできる機会があるのが魅力でした。
あと、これもそうですけど、エンジニアのインタビュー記事も多いですよね。テックブログは他の企業でもよくあるんですけど、どんな人がいるのかがブラックボックスになりがちなところ、天地人はいろんな人の記事があって情報収集しやすかったのと、活発さや勢いも感じました。
ーー ありがとうございます。この記事も、そのような方々に届くといいなと思います。
天地人のAIエンジニアとして“社会実装の橋渡し役”に
ーー実際に働いてみてイメージとのギャップはありましたか?
概ね一致していて、良いギャップとしては、任せられる裁量が思ってた以上に大きいこと。やりがいがありますね。
それに、開発のスピードはすごく速いです。前職は医療機器だったこともあり、テストだけの部署があるくらい慎重に品質保証をしていました。天地人はスピード重視で、もちろん社内関係者のチェックは入りますが、自分がパッと書いた資料が直接そのままお客さんの目に触れることもあります(笑)。
ただ、これまで少数精鋭で進んできているので、自身が携わっている専門領域に関しては、特定の人にしか分からないノウハウが結構あるんです。知見の共有に時間がかかるのは課題だと感じています。今後、新しいメンバーが入ってきたときのことを考えて、もう少しドキュメント化していきたいと思っています。
ーーある意味スタートアップらしい部分かもしれませんね。川井さんの担当されている業務を具体的に教えてください。
自治体さんから水道管と漏水履歴のデータを受け取って、今後漏水の可能性がある箇所を診断・解析・評価しています。その結果をお客様とのミーティング用の資料にまとめるところまでが一連の流れです。
今、宇宙水道局の案件を50件くらい担当していて、それぞれの自治体に合わせてアルゴリズムの改善や資料のアップデートも進めています。
ーー「エンジニア」というと開発にだけ関わるイメージだったのですが、コンサルティングのような業務もあるのですね。
多くのAIエンジニアは外部のお客様に説明する機会がほとんどないんですけど、天地人ではそこが仕事の中心にあります。
大きなGPUがあってすごいモデルを作る、という研究志向よりも、天地人のAIエンジニアはむしろ、社会実装するための橋渡し役なんです。
AIを作ることだけでなく、その効果をどう説明するか、リスクをどう説明するか。お客さん視点で開発できることは大事だと思いますし、自分のやりたかったこととしてもドンピシャでした。
ーー広島で行われた水道展にも参加されていましたよね。どんな目的で?
いちばんは、お客さんとなる自治体や水道事業体の方々についてもっと広く知りたかった、という理由です。
実際に参加してみたら、水道分野でAIを活用している業者さんや自治体さんが思ったより多かったですね。それと、お客さんへの説明の仕方もすごく参考になりました。
たとえば、僕らが「リスク診断どうやってるんですか?」と聞かれたときに、自治体の方にありのままに全部説明するとやっぱり分かりづらくなってしまう。リスク指標を説明するときも、「それってどういう定義ですか?」となる。でもそれを「この水道管の寿命は56年です」と言い換えると伝わりやすい。
どう噛み砕いて説明するのがいいのか、共通言語を探ることが大事だと実感しました。
▲現場の声を知るために参加した「2025 広島水道展」の様子
宇宙を見上げ、地下を見つめる。多角的な視点の面白さ
ーーお客様と直接向き合っているからこそ、AIだけでなく幅広い知識が必要になるのですね。
そうですね、天地人で必要とされる知識はすごく多岐にわたっています。
水道管が破損する理由を考えると、化学的なものだったり、地震などの物理的な原因だったり。衛星データも必要だし、地質の知識も必要。水道管の材質や歴史といった社会的な背景、人口の増減も関係してくる。AI以外の分野がめちゃくちゃ多いんです。
社内には衛星の専門家も水道の専門もいるので、初心者の気持ちで謙虚に情報収集しようと常に意識しています。得た知見をアウトプットすることも大事にしていて、たとえばこんな画像を自分で作ったりしました(下図。イラスト部分はデザイナーが別途作成)。
そもそもAI業界は進化が早いので、情報のキャッチアップを継続してきたことが今も活きているかもしれません。広島水道展への参加も、その一環ですね。
ーー衛星の話題が出ましたが、「宇宙ベンチャー」という側面への興味はあったのでしょうか?
正直に言うと、宇宙そのものに強く惹かれたというよりは、「宇宙水道局」というプロダクトに惹かれたんです。衛星データはその中の手段のひとつ、という捉え方ですね。業界が違っても、「何をやるか」というプロダクトの方に注目していました。
ただ、今は触れる機会は少ないですが、衛星データを使った解析も我流で試してみたいと思っています。
ーー知識欲が旺盛なのですね。そんな川井さんが、エンジニアとして大切にしている心構えは?
ちゃんと役に立つものを作りたい、というのが根本にあります。作ったエンジニアだけが嬉しいのではなく。
最初は純粋にプログラミングを書くことが好きで、何十時間でもずっと書いていられるという感じだったんですけど、だんだんと作ったものを使ってもらえる状況が仕事である、ということに気づいて。それがすごく励みになるんです。
だからこそ、お客様の現場で本当に使われるAIを、これからも追求していきたいと思っています。
ーー最後に、天地人はどんな人に合う会社だと思いますか?
自分の専門領域に閉じず、お客様に役立つことなら領域を超えて学べる人が合うと思います。
AIだけ、衛星だけ、水道だけ、という働き方は今の天地人では難しいです。でも逆に、それが天地人の面白さです。エンジニアでありながら、“AIモデルの精度”よりも“社会実装”に価値を感じる人には、最高の環境だと思います。
▲ネザーランドドワーフの小幸ちゃん。日々の癒し。