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【ユースケース#8】人流データ×電気自動車

はじめに

こんにちは!インターン生の伊藤です。
今回は、データドリブンな電気自動車(プラグイン車)の充電スポットの最適な設置場所の決定方法を、イギリスでの事例を用いて紹介します。

本邦での電気自動車と充電インフラの普及状況

日本では、2050年までに温室効果ガスの実質排出量をゼロにするという大きな目標に向けて、電気自動車や脱炭素燃料車の需要が増加しています。国土交通省は、2035年までに国内の新車販売の100%を電気自動車にすることを戦略として掲げており、2030年までに15万台の充電インフラを整備する目標を発表しました(急速充電器は3万台含む)。

しかし、現状では充電設備の導入が停滞しているという課題があります。電気自動車の普及には、利用者にとって利便性が高くかつ需要がある場所に充電スポットを設置することが不可欠です。

そのため充電スポットの量だけでなく、設置場所の「質」も要求されます。充電スポットの数や場所が消費者の電気自動車利用および購買意欲に影響を与えるという結果もあり、他の電気自動車が普及する国々では地理情報システムや人流データを活用して、最適な充電インフラの設置場所を決定するリサーチやプロジェクトが行われています。

英国での電気自動車と充電インフラの普及状況

ここからは、充電インフラの“質”に焦点を当てた、イギリス、マンチェスターでのGISを用いた充電スポット設置場所選定に関する事例をご紹介します。

イギリスでは、以下図の通り、路上パーキングエリアで電気自動車の充電器が街中に設置されています。(2022年の電気自動車の新車販売の市場シェア:22.8%

マンチェスターでのGISを用いた充電スポット設置場所選定に関する事例

充電スポットのネットワークが拡大し、電気自動車の技術が日々向上しているにもかかわらず、電気自動車が一般消費者を納得させるのに苦労する理由の一つに、航続距離の不安があります。

これは、電気自動車の所有者が、目的のルートを楽に走れるだけのバッテリー容量があるかどうかを計算する際に感じる不安のことです。

イギリス,マンチェスターでは、電気自動車の所有者が抱える航続距離の不安を解消すべく、地理情報システム (GIS) を活用した充電ネットワークの整備が進められています。

具体的には、①1日の異なる地域での交通量、②市の自治体によって管理された駐車場の場所、③現在の充電スポットの場所、④土地、の計4つの地理データを活用し、急速充電器と普通の充電器の適切な設置場所を決定していきます。

上図は、Pythonを使用して地理データから、急速充電器設置すべき最適な駐車場(赤点)を示したものです。赤点が示す全ての駐車場が交通量の多い道路に面しており、高い需要が見込まれます。また、より多くの充電器を中心部から離れた郊外に設置する必要性も示されています。

このように電気自動車の充電施設の導入を決定するプロセスでは地理的情報が重要となります。

最後に

ここまでご覧いただきありがとうございました。
本記事では、イギリスにおける、充電インフラの整備における地理情報や交通データを活用した事例を紹介しました。電気自動車の普及を促進するためには、充電インフラの効率的な整備が必要です。持続可能なモビリティの実現に向けて、人流データ等を用いた定量的な分析が必要となります。

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