3ヶ月前まで「これは無理だろう」と思っていたことが、今では当たり前にできるようになっています。できた瞬間はあんなに驚くのに、少し経つと、最初から使えていたかのように手になじんでいく。
最近、AIと仕事をしていると、この感覚の繰り返しだなと感じます。
思い返せば、これまでも「これはすごい」と思わされるITの波が何度もありました。パソコン、携帯電話、スマホ、iPad。そして2017年ごろ、AIの可能性に直面したとき。
私が初めて触ったパソコンはPower Macintosh 6200で、Photoshopを動かすのにも一苦労でした。今思えばよくあのスペックでやっていたなと思いますが、当時は自分の手で画像を加工できるだけでとにかく面白かった。
新しい道具が出るたびに驚き、使い倒すうちに、それがある前提の生活に変わっていく。今起きているAIの変化も本質は同じですが、そのサイクルが圧倒的に早くなっています。
文章を書く、画像を作る、翻訳する。そうした作業の枠を超えて、最近驚かされるのはその「文脈の理解力」です。
「この2人の関係性が好きな人には、こういう切り口が刺さる」 「この作品を紹介するなら、ここを一番見せたい」
少し前までは、作品やファン心理を熟知した人間にしかできない領域だと思っていました。けれど、作品の背景や意図を丁寧に伝えて対話してみると、AIから「そうそう、それ!」と思えるような打ち返しが来るようになった。
この「わかってる感」まで出せるようになってきたのは本当に大きな変化です。そして今や、それすらも仕事のスタートラインになりつつあります。
もちろん、いつでも完璧な答えが出るわけではありません。それでも、任せられる領域は私の想像を超えるスピードで広がっています。
これからは、アイデアさえあれば自分の手で何でも挑める時代です。経験や技術が足りないと諦めていたことにも、最初から飛び込んでいける。
ただ、一方で時代が変わったとも感じています。
SNSを見ていると、日毎のようにどこかで炎上が起きている。それを見ていると、「もし自分がやって炎上したらどうしよう」と不安になるのも当然です。新しいこと、目立つことを試すのが、以前よりずっと怖くなっているのかもしれません。
振り返ると、このピリピリした変化は2018年あたりから徐々に始まり、今ではすっかり社会の主流になってしまいました。うちのインターン制度が始まった2015年ごろにあった、あの良い意味での「大らかさ」や「大ざっぱさ」とは少し違って、今の空気にはどこか息苦しさがあります。
慎重になるのも、失敗を恐れて足がすくむのも、あなたが悪いわけではありません。時代の空気がそうさせているんです。
だからこそ、私たちが運営する「ちるちる」や研究所の現場では、失敗を恐れずに打席に立てる環境を作りたいと思っています。
「こんなのがあったら面白いのに」で終わらせないこと。
好きな作品と出会って「もっと評価されるべきだ」と思う。SNSを見ていて「自分ならこういう企画にするな」と思う。
その「続き」を、安全な環境で試してみるんです。
作品を深掘りして紹介文を書き、アイキャッチ画像を作る。海外にも届きそうなら外国語展開を探る。AIがあることで、ひとつの思いつきから手を伸ばせる範囲は一気に広がりました。
たとえば最近も、ちるちるの掲示板にある「こんな作品を探しています」というユーザーの声起点で、SNSの紹介企画を立てました。そこから「季節のイベントや記念日と絡められないか?」と、投稿のタイトルの付け方やタイミングまで詰めていく。
海外向けのコンテンツでは、翻訳文と書影を並べた画面を見て「これで本当に読みたくなるか?」と何度も作り直します。幼馴染ものなら、友達関係のままいくかもどかしい距離感をどう言葉とビジュアルで表現するか。テーマごとにトーン&マナーをガラッと変えてみる。
こうした仕事には、リサーチ、ライティング、デザイン、翻訳といった多様なスキルが必要です。これらを全部勉強してから始めようとしたら、何年あっても足りません。でも今は、AIを頼もしい相棒にしながら、実際の制作プロセスの中で身につけていけばいい。
自分のアイデアが、実際に人の目に触れるところまで持っていく。
世の中のプレッシャーが強い時代だからこそ、学生のうちに「リスクの管理された安全な現場で、自分の企画が誰かに届く快感」を味わってほしいと思っています。
友達と話して盛り上がったネタを、記事やSNS投稿に落とし込んでみる。見知らぬ誰かから反応が返ってくる。予想外のところでバズることもあれば、手応えがあったのに全く読まれないこともある。
その打席に立って初めて、「次はどこを改善しようか」という思考がリアリティを持ちます。
見出しを変えるべきだったか。作品の切り口がズレていたか。文章が長すぎたか。そもそも、自分が一人で盛り上がっていただけだったのか。
アイデア出しも、修正の手伝いも、AIに頼めばいい。出てきたものに対して違和感を拾い、またAIと対話しながらブラッシュアップしていく。その試行錯誤のプロセス全体が、あなたの「企画」になります。
ひとつの文章や画像が完成するだけでも嬉しいものですが、それがユーザーに届いた瞬間の面白さは別格です。そこまで打席に立てるのが、実際のメディアやSNSを運用している現場ならではの強みです。
だからこそ、一緒に働きたい人のイメージも変わってきました。
昔は「指示された作業を正確にこなせること」を重視していました。もちろん正確さは今でも大切ですが、マニュアル化できる作業をAIに任せられるようになった今、人間に求めているのはそこではありません。
今一緒に働きたいのは、「失敗を怖がりすぎず、自分で発想してまずは手を動かしてみることを面白がれる人」です。
「こういう企画、どうですか?」 「勝手に試作を作ってみました」 「やってみたら、こっちの切り口の方が面白かったです」
そうやって前のめりに仕事を楽しめる人。
最初から綺麗な企画書を書く必要なんてありません。拙くてもいいから小さく形にして見せてくれれば、世に出す前の段階で私たちがチェックし、フォローできます。「何を調べ足せばいいか」「どこを直せば安全で面白くなるか」を一緒に議論できるからです。
AIを活用した制作手法やリスク管理も、私自身が実験しながらチームに共有できるよう言語化しています。新しく入る人も、その知見をベースに自分のやりたい企画へ最短距離でアクセスできます。
入社初日から自分のアイデアを仕事に持ち込める。経験が浅くても、AIや周りのサポートを使って企画を安全に世の中に届ける。そうした環境だからこそ、早い段階から実務に貢献しながら、圧倒的なスピードで成長できます。
就活のとき、「私はこれを作り、ここまで届かせる経験をしました」と胸を張って語れる実績を。
企画を立て、必要な情報を集め、AIを駆使してコンテンツを作り、権利や炎上リスクなどをチェックして世に出す。そして数字を見て次の打ち手を考える。
この一連のサイクルを一度でも回したことがあれば、エンタメの仕事というものがグッと手元に引き寄せられるはずです。
自分はリサーチが好きなのか。言葉を研ぎ澄ますのが得意なのか。ビジュアル作りに夢中になるのか。数字を追うのが好きなのか。それも、実際に手を動かしてみないとわかりません。
これまでサンディアスで揉まれた学生たちの多くは、BLに強い出版社をはじめ、大手出版各社やトップ企業へと羽ばたいていきました。正直、私が新卒だったら手も届かなかったような企業ばかりです。
もちろん本人の努力の結果ですが、学生時代に実務の現場で自走した経験、自分の頭で考えて動いたエピソードを持っていたことは、間違いなく強力な武器になっています。
これから入ってくる人にも、ここでどんどん実験して、できることを増やしていってほしい。「それ、学生時代にやってました」と言える経験を持って社会に出てほしいと思います。
AIでできることは、これからもどんどん進化していきます。今私たちが驚いていることも、皆さんが社会に出る頃には「当たり前のインフラ」になっているはずです。
社会の息苦しさや炎上への不安はあるかもしれないけれど、その中で「これもできるかも」「じゃあ、やってみよう」と勇気を出して手を動かせる人と、私は一緒に仕事がしたい。
プレッシャーのある中で新しい企画を出していくのは大変だし、パワーがいることです。でも、応援します。ぜひがんばって一歩を踏み出してみてほしい。
エンタメが好きで、自分の手で誰かをワクワクさせてみたい人。 思いついたアイデアを、世の中に問いかけてみたい人。
そんな学生の皆さんと、サンディアスで一緒に働けるのを楽しみにしています。