急成長を続けるベトナム・ハノイ。
2025年のGDP成長率は前年比8%超、今年の国家目標は10%超とも言われています。
その勢いのある現場で私が学んだのは、語学力や知識以上に、
「想定し、確認し、最後に責任を持つ」現場力の重要性でした。
みなさん、ご無沙汰しております。
現在APEXにて研修を行っている谷です。
3回目となる今回は、2025年11月〜12月の約2か月間、
2箇所目の研修地となったベトナム・ハノイでの仕事と生活についてお伝えします。
1. ハノイでの研修が始まって
約2年間住み慣れたマレーシア・クアラルンプールを離れ、
ハノイに入ったのは10月31日でした。
到着当日の夜には、オフィススタッフやガイドの方々による歓迎会。
宗教的背景からお酒の機会が限られていたマレーシアとは異なり、
ベトナムではお酒と料理を囲む文化が根付いており、
「国が変わった」ことを強く実感した瞬間でした。
翌日には住居の内見・契約、日曜に引っ越し、月曜から出社。
非常にスピード感のあるスタートでした。
同じ東南アジアでも、環境は大きく異なります。
特に印象的だったのが気候です。
ハノイは亜熱帯気候で四季があり、
11月は本来過ごしやすい季節ですが、
小雨と曇天が続き、想像以上に肌寒く感じました。
常夏の環境から来た私にとって、この変化は想像以上。
新しい環境への緊張も重なり、決して順調な立ち上がりではありませんでした。
ベトナムの居酒屋「ビアホイ」での歓迎会
2. ハノイでの仕事の特徴
―「現場力」が問われる環境―
業務内容は、ツアーケア・インスペクション・資料作成が中心です。
ただし、ハノイオフィスはすでに情報が蓄積されており、
新規開拓よりも「情報の更新」と「関係構築」が主軸となります。
この点は、立ち上げフェーズだったマレーシアとの大きな違いでした。
ハノイで最初に任されたのは、ホテルのインスペクションと資料作成。
これまでと異なり、基本は一人で対応します。
営業担当への挨拶、確認ポイントの整理、現場でのヒアリング。
繰り返す中で、「どこを見るべきか」が徐々に見えてきました。
また、ツアー前の打ち合わせにも参加し、
“同行して学ぶ”段階から、
“準備し、自発的に動く”段階へと変化したことは大きな成長でした。
■ 忘れられない「確認ミス」
業務に慣れ始めた頃、ある出来事がありました。
ツアー前に事前にレストランへ入り、
座席配置、メニュー、アレルギー対応等を一通り確認。
問題はないように見えました。
しかし当日、お客様から
「このメニュー、内容が違うのでは?」という指摘。
確認すると、メニュー自体の表記に誤りがありました。
幸い提供前に気づき、大事には至りませんでした。
ですが、この出来事で痛感しました。
「確認した」ことと、「正しい」ことは別である。
書面や事前情報を信じるだけでなく、
自分の目で、現地で、実物を確認する。
それができていなかった自分に気づかされました。
この経験以降、
「慣れた頃こそ、もう一段深く確認する」
という意識を持つようになりました。
3. 暮らしの中で感じたハノイ
―成長と制限が同時に進む街―
小雨や曇天、PM2.5の影響もあり、
到着当初は気分が沈む日もありました。
しかし、だからこそ日常の中の変化に目を向けるようになります。
「今日は歩いて帰ろう」
そんな小さな選択を重ねる中で、
街の構造や空気感が自然と理解できるようになっていきました。
深刻な大気汚染により湖の対岸が霞んでハッキリと見えないことも。。。
ベトナムは、前年比8%超の成長を続け、
さらに10%超を目指す勢いのある国です。
街中では建設ラッシュが続き、
人々の活気からもそのエネルギーを感じます。
一方で、成長と同時に「整備」も進んでいます。
ハノイでは規制が比較的厳しく、
多くの店舗は23〜24時に閉店。
さらに、かつてベトナムの象徴とも言えた
路上のプラスチック椅子文化も、
2027年までの露上商撤廃に向けた取締りにより、
徐々に姿を消しつつあります。
この変化は、ベトナムが次のフェーズへ進んでいることを示しています。
街にはフランス統治時代の建築が残り、
ホアンキエム湖周辺には
ノスタルジックな雰囲気が広がります。
また、生活面では通貨の桁の大きさに苦労しました。
500,000VNDという数字は、日本円感覚では直感的に理解しづらく、
金銭感覚が一時的に麻痺することもありました。
一方で食文化は非常に魅力的です。
日本人になじみ深いフォー一つとっても、
フォー・クオン、フォー・チエンなど多様な形があり、
食を通じて文化の奥行きを感じることができました。
フォーの生地で具材を包んだハノイ名物「フォー・クオン」
揚げフォーにあんをかけたローカルB級グルメ「フォー・チエン」
日本に支店を構えるフォーの名店「フォー・ティン」本店
4. 旅行会社視点:ハノイが向いているツアー
ハノイを代表する観光地といえば、
世界遺産ハロン湾です。
奇岩が広がる景観は圧巻で、
日帰りから宿泊まで幅広いプランに対応可能。
団体旅行との相性も非常に高いと感じました。
市内では旧市街や歴史的建造物、戦争博物館など
郊外では古都ホアルーなど、
ベトナムの歴史と文化を体系的に学ぶことができます。
さらに、タンロン工業団地には170社以上の日本企業が進出しています。
観光・教育・ビジネスのすべてを組み合わせられる点で、
ハノイは非常にバランスの取れた都市だと感じました。
観光客に大人気の「トレインストリート」
5. 最後に
わずか2か月の滞在でしたが、
ハノイでの経験は「現場力」の本質を教えてくれました。
同じ場所でも、旅行者として訪れるのと、
働き、暮らすのとでは見え方が大きく異なります。
その違いをどう価値に変え、ツアーに落とし込むか。
それこそが、私たちの役割だと感じています。
APEXでは、立場に関係なく現場に立ち、任され、考える機会があります。
その中で培った現場力を、今後は手配や見積といった
「旅を形にする工程」にもつなげていきたいと思います。
次回予告
次回は、2026年1〜3月に研修を行った
カンボジア(プノンペン・シェムリアップ)での仕事と暮らしについてお届けします。