Algoageは、「次の当たり前を生み出す。」をミッションに掲げる、“事業創造会社”です。
2021年12月に“第一の柱”としてリリースした「DMMチャットブーストCV」は、Algoageの旧ビジョンでもある「誰もが簡単に、最良の意思決定ができる世界。」を体現することを目指して生まれました。
「DMMチャットブーストCV」は現在の私たちにつながる多くの経験をもたらしてくれたばかりでなく、主力事業としてさらなる成長と進化を続けています。
LINEを活用したコンバージョン(CV)獲得手段のひとつではなく、“チャットマーケティングソリューション”として、お客様のビジネスに貢献できる存在となるために――。
この「広告から“好告”へ」では前編(#01)/ 後編(#02)の2本に分けて、「なぜDMMチャットブーストCV事業に取り組むのか」「DMMチャットブーストCVが目指す本質的な価値とは何か」を事業責任者の成田が語ります。
目次
- 成田穂高 / 自己紹介
- はじめに
- 私がインターネット広告業界で感じた3つの課題
- 1. とにかくガムシャラに事業立ち上げに向き合ったサイバーエージェント時代から得た問いの姿勢――「その事業は本質的か?」
- 2. 「インターネット広告=鬱陶しい」という現実
- 3. マーケターの仕事は本当に「手段の運用」なのか?
成田穂高 / 自己紹介
DMMチャットブーストCVの事業責任者をしております成田です。 ソフトバンク、サイバーエージェント、Rettyの3社を経験した後、2022年7月にAlgoageに参画しました。プロダクト部、事業開発を経て、現在では執行役員と「DMMチャットブーストCV」を扱うチャットマーケティング事業の事業責任者を務めています。
サイバーエージェントではアプリ領域のリターゲティングのDSPを新規事業として立ち上げ、Rettyではメディアの広告マネタイズに責任者として携わりました。デマンドサイドとパブリッシャーをそれぞれ実務で経験できたことで、インターネット広告のエコシステムについて知見と理解が深められたと感じています。
はじめに
私がなぜ今、DMMチャットブーストCVという事業に取り組んでいるのか。それは「広告」を「好告」に変えたい、つまり「ユーザーにとって本当に価値のある接点を作りたい」という想いがあるからです。
この記事の前編(#01)では、私がマーケティング業界で経験を重ねる中で感じた課題について、後編(#02)では、その課題に対してDMMチャットブーストCVがどのようなアプローチで価値を創造しているかをお伝えします。
私がインターネット広告業界で感じた3つの課題
1. とにかくガムシャラに事業立ち上げに向き合ったサイバーエージェント時代から得た問いの姿勢――「その事業は本質的か?」
社会人になって約8年が経ちますが、振り返るとどの会社でもそれぞれ濃い時間を過ごさせていただきました。その中であえて最も濃かった経験をあげるとすれば、“事業創造”に初めて関わったサイバーエージェント時代です。
私は学生時代から「事業の旗振りがしたい」と漠然と思っていたのですが、サイバーエージェントでは運よくその機会をいただけたのです。入社2ヶ月目のタイミングで、当時の上司から「新規事業立ち上げるけどやってみるか?」と声をかけていただき、詳しいこともよくわからないままにとりあえず「はい」と即答したのが、事業責任者0歳児が誕生した瞬間でした。
実はまだCTR(クリック率)もCPC(クリック単価)もCPA(顧客獲得単価)もよくわかっていなかった当時の私に、この抜擢をしてくださったサイバーエージェントには本当に感謝しています。
その後の1年と数ヶ月は本当にあっという間でした。アプリ向けのダイナミックリターゲティングの新規事業を創るという、1社目での法人営業とは全く異なる未知の領域。「インターネット広告」も「新規事業の立ち上げ」も「プロジェクトマネジメントの仕方」もわからない、「わからないだらけ」の状況を埋めるため、泥臭く、ガムシャラに、一心不乱に事業開発に向き合いました。
約1年半後、知識やスキルを磨く日々とチームメンバーの協力の甲斐あって当初の売上目標を達成。この経験は、私を事業責任者0歳児から小学生くらいまで成長させた、今につながる基盤となる大切なものです。
一方で、今の自分が過去に戻ったとして「同じアプローチをしていたのか?」と自分自身に問うた時に明確にNOな観点があります。それは「そのプロダクト(事業)は“本質的なのか?”という問いを自分自身に投げかけ続ける」というところです。
決して、当時自分が立ち上げた事業が本質的じゃないというわけではありませんが、振り返ると「より本質的なモノにするためには何をしなければならないのか?」という観点が今よりも弱かったと感じます。
リターゲティングという概念に対する議論は当時からありました。「リターゲティングしなくてもユーザーはCVするのでは?」とその必要性を疑問視する意見もあります。この問いに明確な答えを出すのは難しいと私は考えていますが、少なくとも「これは違う」と思うのは、「広告評価をよくするために、直接CVする人にあえてリターゲティングしにいく」という考え方です。当時も決してこの考え方に固執していたわけではありませんが、時にはこの考え方が頭をよぎり、実践したい気持ちや、実際にそうした方法を取った部分もあったことは事実です。結果として目標は達成したとはいえ、自分自身が納得し、自信を持って「このプロダクト(事業)は本質的で意味あるものです!」と言える状態まで昇華させ切ることができずに終わってしまった面があると思っています。
本質的であるか?という問いに対して自信を持てる状態を作れていれば、事業をもっとグロースさせることができたはずだと今なら自信をもって言えます。
2. 「インターネット広告=鬱陶しい」という現実
当時と比較すると、自身が携わる業界や事業について客観視や俯瞰して見ることができるようにもなりました。
ここ十数年でのCookieやIDFAなどをはじめとしたテクノロジーの進歩により、インターネット上で人々を特定、つまりターゲティングできるようになりました。広告評価のしやすさなどから、企業の投資は合理的な説明が可能なインターネット広告に向き、その市場規模も急速なスピードで伸びています。
技術革新や業界規模の拡大は喜ばしいことと感じる一方で、インターネット広告に対する世間からの印象は、「たくさん表示されてウザい、鬱陶しい」「追いかけられている気がして怖い」といったネガティブな意見が多くを占めていることに大きな課題感を抱いています。
そして、過去の自分はその状況の一端を担ってしまったのではないかという想いも持っています。
3. マーケターの仕事は本当に「手段の運用」なのか?
別の角度のお話になりますが、いわゆる「マーケターのお仕事ってなんなんだろう?」と考えることがあります。
その前にまずマーケティングの定義について考えてみます。
フィリップ・コトラー氏によると「マーケティングとは、顧客ニーズを予測し、それを満たすために価値を創造し、伝達し、提供するプロセスである」
また、西口一希氏は「マーケティングとは、顧客を科学し、価値を定義し、事業を構築すること」としています。
マーケティングの定義は多様であり、社会とともに変化もしていますが、多くの場合、経営や事業が主語になるレベルの抽象度として定義されることが多いと感じます。
では世の中においてマーケターという言葉がどのように使われているか?に目を向けてみると、例えば、
・顧客の新規獲得が得意な人
・新規獲得するための手段となる媒体運用が得意な人
のようにかなり狭義なものとして定義されていると私は感じます。これはデジタルマーケティング業界の急成長とともに、「上流の戦略レベルを考える人」と「その戦略を実行する人」の分業化が進み、さらに実行する手段が多様化したことから、各手段に特化した深い知識を持つエキスパートとしての実行者が求められ、相対的にその人数が増えたことによって、「実行者」が「マーケター」と定義され始めたことが原因である可能性が高いのではと考えています。
さらに、AIを含むテクノロジーの進化とともに手段はますます日進月歩している現在、上流の設計が曖昧だったとしてもある程度効果が出る(集客の効率が上がる)状態を容易に得られることも少なくないのではないでしょうか。先に述べたようなマーケターの定義が一般化し、特定の手段を元にKPIの設計がなされていると、そのKPIを達成するために自社がどのような人に何を届けているサービスなのか?、という上流の設計をせずとも、手段さえ使いこなせれば目標達成できる――私はその現状に強い危機感を持っています。
成果が出ることは素晴らしいことではありますが、そこにサステナビリティは存在しているのでしょうか?
当たり前ではありますが本来、事業やサービスというものは、誰かの痛みや困り事を解決する手段であることを再認識する重要性が上がっていると感じます。