こんにちは。株式会社ピクシス代表の板橋です。
最近、社内で記事生成の仕組みを作っています。
SEOの記事制作には、かなりAIを使えるようになってきました。
検索結果を分析する。競合の記事を調べる。見出しを作る。自社の情報をRAGから取り出す。本文を書く。
これまで人が時間をかけてやっていたことを、かなりの部分までAIに任せられるようになっています。
実際、出来上がった記事も別に間違ってはいませんでした。
検索意図は押さえている。必要な情報も入っている。SEO記事として見れば、それなりによくできている。
でも、1万3000字ほどの記事を眺めながら、社内でこんな話になりました。
「これ、本当に読ませていい記事なのかな」
情報はある。
でも、読みたくならない。
言っていることも正しい。
でも、読み終わったあとに何も残らない。
極端に言えば、ものすごくよくできた説明書のような記事になっていました。
そこで、せっかく作った記事生成の仕組みを、一度かなり根本から見直すことにしました。
この記事では、なぜ僕たちが従来型のSEO記事に違和感を持ったのか、AIで記事を作るうえで何が足りなかったのか、「誰に何を伝えるか」というところまで戻って何を変えようとしているのか、そしてこの議論が今のピクシスの仕事の仕方とどうつながっているのか、5つの話に分けて書きます。
特に、SEO、編集、ライティング、マーケティングに関わっていて、「AIが出てきた今、これまでと同じ記事の作り方でいいんだろうか」と感じている方に読んでもらえたら嬉しいです。
1. SEOの正解を忠実にやったら、1万3000字になった
これまでSEOの記事を作るときは、まず検索結果を見ます。
上位の記事には何が書いてあるのか。
共通している見出しは何なのか。
検索ユーザーが知りたい情報は何なのか。
競合にあって、自分たちの記事に足りない情報は何なのか。
これはSEOとして、かなり真っ当な作り方だと思います。
僕たちの記事生成ツールも、この考え方をかなり忠実に仕組みにしていました。
だから品質はある程度安定します。
ただ、その結果として出来上がったのが、情報をどんどん足した長い記事でした。
網羅性を高める。
抜け漏れをなくす。
競合より詳しくする。
それを繰り返していくと、当然文章は長くなります。
でも社内で話しているうちに、
「そもそも、これを全部読む必要あるんだっけ?」
という話になりました。
ここで初めて、SEOとして正しいかどうかではなく、「一つのコンテンツとして本当に良いのか」を考え始めました。
2. 「この記事で、読んだ人にどうなってほしいんだっけ?」
話していて大きかったのは、この問いでした。
この記事を読んだあと、ユーザーにどうなってほしいのか。
- 知識を身につけてほしいのか。
- 何かに気づいてほしいのか。
- 考えを変えてほしいのか。
- 実際に一歩踏み出してほしいのか。
これまでの記事生成では、「検索順位を取ること」がかなり強い目的になっていました。
でもクライアントが本当に欲しいのは、検索順位そのものではありません。
問い合わせが増えることだったり、予約が増えることだったり、商品が売れることだったりする。
さらに言えば、無理やり問い合わせさせればいいわけでもないと思っています。
たとえば「ソロプレナーになりたい」と考えている人向けの記事なら、良い面だけを並べてサービスへ誘導するのではなく、
「こういう難しさもある。それでもここまで覚悟があるなら、やってみてもいいんじゃないか」
と伝える方が、その人にとっては親切かもしれない。
友達から相談されたときに、自分なら何と言うだろう。
そのくらい相手のことを考えて書く。
そうすると、記事には自然とメッセージが生まれます。
これまでの僕たちの記事に足りなかったのは、情報量ではなく、このメッセージだったのかもしれません。
3. AIに足りなかったのではなく、AIへ渡す前提が足りなかった
最初は、文章生成の品質を上げれば解決すると思っていました。
でも議論しているうちに、問題はもっと前にあることが分かってきました。
僕たちの仕組みでは、先に見出しを決め、その見出しに合わせてRAGから情報を取り出して本文を書いていました。
つまり、記事の骨格が決まったあとにクライアント固有の情報を入れていたんです。
これでは、どれだけ良い情報を持っていても、記事そのものの方向性はあまり変わりません。
そこで、順番を逆にしようと考えました。
最初に見るのはキーワードではなく、クライアントの事業やサービス。
そのサービスを必要としているのは誰なのか。
その人は何を知っていて、何を知らないのか。
今どんな状態にいて、何に興味を持っているのか。
そこから、
「この記事では、この人にこれを伝えよう」
というメッセージを決める。
そのあとで、必要なリサーチをする。
数字、実例、失敗例、逸話、海外事例などを集める。
そこでようやく構成を考える。
この順番なら、同じ「愛媛 観光」というテーマでも、ホテルが違えば記事が変わります。
同じキーワードだから同じような記事になるのではなく、その企業だから作れる記事になる。
僕たちが作りたいのは、そちらでした。
4. 情報を集めるAIから、「発見」を探すAIへ
もう一つ、大きく変えたいと思っていることがあります。
リサーチの目的です。
これまでは、記事を書くために必要な情報を集める感覚が強かったと思います。
でも、それだけでは記事は面白くなりません。
僕たちが欲しいのは、読んだ人が、
「そうだったんだ」
と思える発見です。
成功事例だけではなく、失敗した事例。
一般的にはこう思われているけれど、実際のデータを見ると違った、という話。
ある企業や人物が、なぜその判断をしたのかという逸話。
実際にその立場になった人がぶつかる課題。
そういう材料があると、文章が単なる情報整理ではなくなります。
社内ではこれを料理に例えていました。
ディープリサーチやRAGによって、まず材料を100個くらい集める。
でも、材料をテーブルに全部並べても料理にはなりません。
どれを使い、どの順番で出し、どこで意外性をつくるのか。
そこには編集が必要です。
AIによって情報を集められる量が増えたからこそ、人間が何を選び、どう伝えるかはむしろ重要になっている気がしています。
5. SEOをやめたいわけではない
こういう話をすると、
「もうSEOは考えないんですか?」
と思われるかもしれません。
そうではありません。
検索されるテーマを理解することも、検索意図を考えることも、見出し構造を整えることも、今でも必要だと思っています。
ただ、その順番を変えたい。
検索順位を取るための記事を作る。
ではなく、
まず、人にとって価値のあるコンテンツを作る。
そのコンテンツを必要な人に届けるためにSEOも使う。
僕たちは、そちらの考え方に寄せていこうとしています。
もちろん、これが絶対に正しいかどうかはまだ分かりません。
だから、公開したあとは検索順位も見るし、流入も見るし、問い合わせも見ます。
結果が悪ければ考え直す。
結果として、以前のSEO記事に近い形へ戻る部分もあるかもしれません。
それでもいいと思っています。
過去の正解をそのまま再現し続けるより、一度自分たちなりの仮説を持って試し、結果からまた変えていく方が、今の環境には合っていると思うからです。
この議論は、今のピクシスらしいと思う
今回の話は、記事制作だけの話ではありません。
ピクシスのVALUEは、
Be a Challenger ─ いつも挑戦者であれ
です。
僕たちは、新しいものを使っている会社に見せたいわけではありません。
むしろ大切なのは、一度自分たちで試すことだと思っています。
AIの記事生成もそうです。
最初から「AIで良い記事が作れます」と言うのではなく、実際に作ってみる。
出来上がったものを読んでみる。
「なんか違う」と思ったら、なぜ違うのかをみんなで考える。
そして、必要なら作った仕組みそのものを変える。
今回もまさにそれでした。
正直、まだ完成していません。
ストーリーテリングをどうシステムに落とすのか。
どこまでAIに任せ、どこから人間が判断するのか。
SEOとのバランスをどう取るのか。
まだ考えることはたくさんあります。
でも、こういう答えの決まっていないことを、職種を越えて話しながら作っていくのは、僕は結構面白いと思っています。
これから一緒に考えてくれる人がいたら嬉しい
AIによって、文章そのものを作ることはどんどん簡単になると思います。
だからこそ、
- 誰に伝えるのか。
- 何を伝えるのか。
- 何を調べるのか。
- どの事実を選ぶのか。
- どんな順番なら心が動くのか。
そういう部分に、人間の仕事は移っていくのかもしれません。
僕たち自身、まだその答えを探している途中です。
もしこの記事を読んで、
「SEO記事って、このままでいいんだっけ」
「AI時代のコンテンツづくりを考えてみたい」
「単に記事を書くのではなく、誰かの行動を変えるコンテンツを作りたい」
と思った方がいたら、一度話してみたいです。
今すぐ転職を決めていなくても大丈夫です。
むしろ僕も、こういうテーマについていろいろな人の意見を聞きたいと思っています。
たぶんカジュアル面談でも、面接というより「これから良い記事って何なんでしょうね」という話から始まる気がします。