目次
「事務志望」に対して思うこと
もう少しドリルの話をしましょう
求人票には書いていないこと
さいごに
「事務志望」に対して思うこと
マーケティングの世界には、
「顧客が欲しいのはドリルではなく、穴である」
という有名な考え方があります。
人はドリルそのものが欲しいわけではありません。(工具マニアは別として)
欲しいのは、その先にある穴です。
採用の仕事をしていると、この話を思い出すことがあります。
「事務になりたいんです。」
転職を考えている方(特に接客系からのキャリアチェンジを考えている方)と話していると、本当によく聞く言葉です。
採用担当として失格かもしれませんが、私はこの言葉を聞くと少し考え込んでしまいます。
この人は本当に事務になりたいのだろうか、と。
もちろん、事務という仕事そのものに魅力を感じている人もいます。
誰かを支える仕事が好きな人。
正確な作業が得意な人。
書類やデータを扱う仕事にやりがいを感じる人。
そういう人にとって、事務職は立派な志望理由になり得ます。
一方で、話を聞いてみると少し違うケースもあります。
「体力的にきつい仕事から離れたい」
「土日に休める仕事がしたい」
「将来も長く働ける環境が欲しい」
「生活リズムを整えたい」……
そうした話を聞いていると、欲しいのは事務という仕事そのものではなく、その先にある働き方なのかもしれないと思うことがあります。
それを否定するつもりはありません。
ただ、もし本当に欲しいものが『長く働ける環境』や『安定した生活』なら、その穴を開ける方法は事務職以外にもあるんじゃないかなと思うんです。
だから私は、「事務になりたい」という言葉を聞くたびに、
その人が本当に欲しいものは何だろうと考えてしまう。
もう少しドリルの話をしましょう
これは事務職に限った話ではありません。
給料を上げたい。
リモートワークがしたい。
手に職を付けたい。
資格を活かしたい。
転職理由としてよく聞く言葉ですが、
それらは一見「穴」のようですが、実のところは「ドリル」なのかもしれません。
給料を上げたいのはなぜでしょう。
将来への不安を減らしたいからかもしれません。
リモートワークがしたいのはなぜでしょう。
自分の時間を取り戻したいからかもしれません。
手に職を付けたいのはなぜでしょう。
「この先も食べていけるだろうか」という不安から自由になりたいからかもしれません。
どれも立派な理由です。
ただ、転職活動をしていると、いつの間にか「本当に欲しいもの」よりも「手に入れる手段」の方に意識が向いてしまうことがあります。
ドリルばかり見て、穴を忘れてしまう。
そんなことは意外と珍しくありません。
求人票には書いていないこと
求人票にはたくさんの情報があります。
給与。
休日。
勤務地。
福利厚生。
どれも大切です。
転職活動をする以上、条件を見るのは当然です。
私自身も仕事を探す立場だったら、きっと見ます。
ただ、人が仕事に求めるものは条件だけではありません。
どんな人と働くのか。
どんな雰囲気の職場なのか。
どんな価値観が大切にされているのか。
そういったものは、求人票だけではなかなか見えてきません。
そして厄介なことに、仕事の満足度はこういう部分にも大きく左右されます。
転職活動をしていると、「どの会社が良い会社か」を探したくなります。
でも本当は、その前に考えるべきことがあるのかもしれません。
自分は仕事に何を求めているのか。
成長を優先したい人もいる。
安定を求める人もいる。
収入を重視する人もいる。
仕事以外の時間を大切にしたい人もいる。
どれも正解です。
だからこそ、自分の優先順位が分かっている人ほど、会社選びで迷いにくいような気がしています。
さいごに
当社にも、さまざまな経歴を持つ社員がいます。
異業種から転職してきた人。
未経験から挑戦した人。
働き方を変えたくて入社した人。
理由は本当に人それぞれです。
採用担当としては、もちろん応募が増えたら嬉しいです。
でも、それ以上に嬉しいのは、入社後に「思っていたのと違った」と感じる人が減ることです。
せっかく勇気を出して転職したのに、また転職サイトを開くことになる。
そんな人は少ない方がいい。
だから私は、会社を探す前に、自分が何を求めているのかを考えてみてほしいと思っています。
求人サイトには、今日もたくさんの「ドリル」が並んでいます。
事務職。
高収入。
年間休日120日以上。
リモートワーク可。
どれも魅力的です。
でも、その先にある「穴」は人によって違います。
安心かもしれない。
自由かもしれない。
成長かもしれない。
あるいは、もっと別の何かかもしれません。
穴のことを忘れたまま、ドリルだけを選んでいないでしょうか。