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ペイシェントエンゲージメント向上が医療の未来をどう変えるのか

動画制作を主に担当しているMedical teamのインターンとして、3月からContrea株式会社に参画した吉田琳奏です。現在は医学部5年生として、学内での実習に励んでおります。

今回は、Contreaが目指している患者さんとの本質的な対話の礎となる「ペイシェントエンゲージメント」について、川端さん・川勝さんに対談形式で語ってもらいました。

↓↓対談記事第一弾はコチラ↓↓
https://www.wantedly.com/companies/company_6229577/post_articles/557972

Contreaは「医療にかかわる全ての人に安心を」というミッションを掲げ、「安心」を大切にしている医療系スタートアップです。そのミッションを達成するために、テクノロジーで患者さん中心の医療を実現できるよう、「MediOS」という医療者と患者さんのインターフェースとなる基盤プロダクトを提供しています。

川勝さんはセールス部門を担当されており、いわゆる営業としてMediOSのファンを増やし、MediOSの導入が現場の課題解決の入口となるように多数の医療現場で面談をされています。一方の川端さんは、Contreaの代表として複数の部署をとりまとめ、常に会社が進む方向を見据え、社内の仲間とともに適宜方向を修正しながらContrea号を進めています。

元々は別々の場所でご活躍されていたお二人が一緒に事業をすることに至った理由の「ペイシェントエンゲージメント」は、現在MediOSとして提供している動画説明にも深く関わってきています。Contreaが目指す真の「患者さん中心の医療」への挑戦の根底にある「ペイシェントエンゲージメント」の考え方を中心に、夢いっぱい溢れる同志のお二人に対談していただきました。

第二弾も、みなさんよければ最後までお付き合いください。


二人の共通項「ペイシェントエンゲージメント」

ーーお二人とも元は医療業界といいつつも全く違う場所でご活躍されていたと思うのですが、一緒に事業をすることとなったきっかけや経緯は何だったのでしょうか?

川端さん
僕が起業したのが2020年1月で、川勝さんが起業してたのがいつでしたっけ。

川勝さん
2020年の2月ですね。ほぼ同時期に創業してたんですよね。

川端さん
そうですよね。当時はペイシェントエンゲージメントって日本で言ってる人はほぼいなかったので、ペイシェントエンゲージメントとかで調べてるとWISHelath(ウィッシュヘルス)が出てきて、同じことをやっている同士なんか面白そうだなと思って、TwitterのDMでちょっと話しませんかと連絡したのが1番最初ですね。
そこからは、普通に企業家・経営者同士、同じヘルスケア界隈の人たちも交えて、月に1回ぐらいオンラインで集まって、今進捗どうですかとか情報交換したり切磋琢磨しながらやっていたのが、1年ちょっとぐらい続いてた。

川勝さん
そうですね、そんな感じでしたよね。

川端さん
僕は、川勝さんがもう本当にめちゃめちゃ素敵な方で、しかも同じページェントインゲージメントって言っているから、まだまだちっちゃい会社だし、お互いに別々で同じ世界に行くよりも、やっぱり一緒に歩んだ方がそういう世界に早くたどり着くんじゃないかなと思っていたので、一緒に事業やりたいなっていう気持ちでした。そしたら、川勝さんとランチに行った時に、「今までしてなかったんですけど、そろそろ資金調達をしようかな。」と言われて、「いや、資金調達したら、もうにっちもさっちも行かないというか身動きが取れなくなるので、今を逃したら、もう川勝さんと一緒に事業をやるチャンスは一生来ないな」と思って。
それの何週間か後ですかね。ちょっと経ってから、改めてお話させてくださいって言って集まったのが、2021年12月の31日とかでしたよね(笑)。

川勝さん
そうですね。仕事終わったよね〜って空気でしたよね(笑)。

川端さん
大宮の雑居ビルの、なんか2人入ったらもういっぱいぐらいの本当にちっちゃい会議室で、川勝さんに一緒にやりたいと思ってるんですけどっていう話をして、最初はじゃあ業務委託からだったらいいですよみたいな感じで始まったっていうのが、川勝さんとの出会いからの始まりですね。

川勝さん
その通りですね。私も、近しいところはもちろんあったんですけど、当時全く同じペイシェントエンゲージメントについて考えている方とはあまり出会ってなくて、すごく素敵な方だなと第一印象から持っていました。ただ、私ももう自分で事業をやっちゃっていて、川端さんも自分で事業をやっちゃってたから、ここで仲間になるっていう選択肢はないよな、と思ってたわけですよ。残念ながら(笑)。
蛇足になりますけど、あの頃ってなんか仲間が欲しかったじゃないですか、とにかく。やっぱり最初の頃だったから、なんかそういう空気はありましたよね。

川端さん
あの年末に言われた時って、実際心境としてどうだったんですか。めちゃくちゃぶっ飛んだ提案をしているわけじゃないですか。川勝さんも起業家として別に経営してて、社員や業務委託の人とか含めて、1人じゃなくてメンバーもいたわけで。その中でのあの提案は、結構僕はドキドキしながら言ったんですよね。

川勝さん
そうですね。でも、まだ身動きができる自己資本でやっていましたし、自分のコントロールはできてたので、まあ予想してたというか。前にご飯食べた時に、これは探ってきてるな(笑)と。

川端さん
いや、バレてないと思ってました(笑)。

川勝さん
お互いのもついろんな観点から情報共有をしていく中で、一緒に事業をするのは面白いなという気持ちがありましたね。


ーー考えが同じだったという理由で意気投合し一緒に事業を進めていくことになったということでしたが、お二人がペイシェントエンゲージメントにこだわる根元の熱い想いはどこにあるのでしょうか?

川勝さん
私は、お薬・医療機器を作って販売する企業の日本支社に所属してたんですけど、これって元をたどると医療業界とは結構離れていて、企業株主がものすごい機関投資家であるグローバル企業なんですよね。なので、どちらかというと、ものすごい利益を追求されるっていう資本主義社会の巣窟みたいな組織なんですよ。その彼らが作っているめちゃくちゃイノベーティブな薬や医療機器を医療従事者に提供するっていう立場でした。それを15年ぐらいやってる中で、やっぱり多くの患者さんが救われている。その救っている医療従事者が懸命に働いている。これによって自分が社会に貢献してるんだなってことがすごいわかって、それを誇りに思っていたんですけど、何か特定のきっかけがあったわけではなく。徐々に世界は変わってきているけど、現場は置いてきぼりだなと思っていて。いつまでも紙ばっかり残ってるし、いつまでも疲れた先生方がいるし、いつまでも不満ばっかり言ってるような看護師さんがいて。一方、企業ではそれをどんどん変えていくっていう文化があるのに、それがやっぱりなかなか日本の医療業界で浸透しないんだったら、自分でそれをやってみたいなって思ったのが一つですね。

それとは別に、なぜやってみたいと思ったかというと、話をする開業医の先生方は企業家なんですよ。基本的に、自分の資本で自分で借り入れをして、自分の城を作って収入を得る。そういう人たちとか、部長とかになっていく人たちもそうですけど、ある程度権限を持って何かを救おうとしてる人たちを見て、そういう志を持ってやれるんだって思わされてしまったというのが2つ目ですね。

あともう1つ、環境が揃ったっていうこと。プライベートも含めてですけど、まだまだ体は動くので最悪食えなくなったら労働力でなんとかすればいいなと思えるパワーぐらいの時期で、これを逃したらもしかしたらできないかもしれないと思った環境が揃ったのが、 自分でやろうと思ったって感じですかね。

川端さん
僕は、放射線技師として5年近く医療現場で働いてたっていうところから、やっぱり患者さんのエンゲージメントはすごい大事だなと思って。現場では患者中心の医療ってすごく言われるし、実際に医師、看護師さん、薬剤師とか、まあ放射線技師とか、PT(理学療法士)、OT(作業療法士)とかも含めて、本当に患者さんをセントリックにおきながら患者中心の医療っていうところをアナログでめちゃめちゃ頑張ってはいるけど、すごく献身的な側面で成り立っているし、それがやっぱり病院の中でしか行われないじゃないですか。病院の外に出ると、もう患者さんにタッチすることって基本的にできないし、こんなにテクノロジーが揃っているのに、病院の中でしかその医療を提供できないっていうのは、患者中心ではなくて。テクノロジーっていう足かせによって患者さんに対して不利益が生じているなと思って。そこのテクノロジーをもっともっと活用していくことで、患者さんにとってよりよい医療を提供することができるし、それができるようになると医療者側の業務効率化っていうところにも繋がっていって、医療従事者もよりよい環境で働きやすくなるし、より専門的なところに注力することができるようになるなと思って。やっぱり患者さん中心の医療っていうのをテクノロジーを使って実現をしていきたいなっていうのが1番最初のところですね。

かつ、このペイシェントエンゲージメントとかって当時はあんまり言われてなかったですけど、 歴史を見ていくと、患者説明っていうところがパターナリズムから始まって、インフォンドコンセント(IC)になって、シェアードディシジョンメイキング(SDM)っていうのが生まれてきて。患者中心の医療とかペイシェントエンゲージメントを考えると、このSDMって僕はすごくいい世界だなと思ってるんですけど、SDMをちゃんとやろうと思うと、もう負荷がかかりすぎて労働力では賄えない。じゃあ、テクノロジーを使ってそのSDMの世界を作っていきたいなっていうところで、歴史はもうそういう風に動いてきているので、絶対こうなんだろうなっていう重力には逆らえないというか。実際、アメリカとか見てみたら、当時でもペイシェントエンゲージメントとか言ってる企業も調達してる企業も結構あったので、日本が言われてないだけで世界とか見たら全然そっちの方向に落ちていってるんですよね。そこに早めに検知をして、先回りしてプロダクト展開をしていくことができれば、そこには勝ち筋があって、事業的にも面白いなと思ったのでそこに入ったっていうのが理由ですね。

川勝さん
川端さんって、よくあの声が出なくなった患者さんの話をされるじゃないですか。あの話じゃないところで、自分でこういうことをやっていこうって徐々に感じてたんですか。それとも、やっぱりあの話がめちゃくちゃきっかけだったんですか。

川端さん
あれがきっかけではないですね。やっぱりあの話はわかりやすいのでよく言ってるんですけど、すごく複合的な要素があるなと思っていて。

放射線科って、先生たちからするとオアシスなんですよ(笑)。医局にいたら厳しい上の先生がいるから仕事しないといけないんですけど、放射線科って先生たちからすると無法地帯なんで厳しいことは言わない先生ばかりなんだろうなっていう認識なんですよね。だから、読影しに来た時とか突っ伏してる先生たちをよく見てたし、あそこはもう本当限界を迎えた先生たちの癒しの場所なんですよ。そんな時にICで呼ばれるとかなったら、「うわ、またICか。また同じ説明じゃん。」とか、前に本人に話した内容を次は家族に説明しなきゃいけないみたいな話とかを先生同士でされていて、やっぱりすごく医師たちにとっては負担になっている。だけど、患者さんからすると、初めて聞く話だし、すごく大事な人生を左右する話というところで、医師と患者さんの温度感の乖離がめちゃめちゃ大きいんですよね。 その温度感の違いはなんでなのかなと思って話を聞いてみると、やっぱり先生たちからすると同じような内容の説明を何回も繰り返すことになっているので、個別の説明だけに注力できるんだったら全然違うっていう実情を知って。 患者さんからしても、CTの画像とか手術の方法を絵で見せられても結局イメージもつかなくてよくわからないので、それであればその繰り返しの部分を動画とかでわかりやすく説明ができれば、患者さんにとっても先生たちにとってもいいよね、みたいなところもありましたね。

元々は僕は、VRでやろうとしてたりして。自分が撮ったCT・MRIの2D 白黒画像で、普通に実習に来た学生さんとかに、どこに膵臓があるかわかる?って聞いても膵臓当てられないし、右の腎臓どっちだと思う?って言ったら、画像は左右反転してるので普通に間違ったりして。医学を少しかじってる学生でさえよくわかってないのに、患者さんにここにがんがあってとか説明しても絶対わかんないでしょっていうところが、一番最初の起業しようというか。そのCT・MRIの画像が、より自分に近いところで自分が何か作って課題解決できたらいいなと思った時の入り口でしたね。

川勝さん
なるほど。すごく私も思い出しましたね。さっき、医局内での会話っていう話でしたけど、私は医療機器とかを販売していて、それはまさに患者さんのための医療で、患者さんが受益者のはずで、言葉でも患者さんのためって絶対言うんですけど、そこで行われてる会社と医療従事者の対話って、患者さんが置いてきぼりなんですよね。「あの薬をこういう風に使う。その理由は患者さんのため。」っていう話は、あんまり聞こえてこない。もちろん、私たちが見てないところでそういう話はあったと思うんですけど、 医療機器として使うものも決定も、別にそこが第1選択ではないんですよね。それは資本主義構造の中では仕方のないことかもしれないんですけど、そこはすごくやっぱり疑問に思っていました。でも、その中でも光を感じたことがあったのは、患者さんが望めば先生は患者さんの意見を聞くっていうことだったんですよ。でも、患者さんが言える環境とか知識とかがやっぱり整ってなさすぎて、少しお金を持ってる富裕層の方々、インテリジェンスのある方々、そういう環境が揃ってる方々は対等に話ができるんですけど、そうじゃない環境の方がほとんどで。これは一生変わらないまま行くのか、でもそこにチャンスがあるんだったら自分がやるのかっていう。そこで感じた2つは今話していて思い出しましたね。

川端さん
いや、本当に主体性と知識はめっちゃ大事ですよね。それで僕もまた1個思い出したんですけど。最初起業しようと思った時に、医療者側の視点はわかるんですけど患者さん側がどう考えてもわかんないなと思って、患者会にもいろいろ参加してたんですよね。その時に、人参を飲めばがんが治るみたいなインチキ医療に、まだステージ2とかで普通に治療すれば治るような人だったのになぜか引っかかっているのを目の当たりにして。僕らからしたら、いやいやそんなのに騙される人いないでしょとは思うんですけど、やっぱり当事者になると頭パニックになってるし、医療って不確実性もあるから100%治りますみたいなことを医者は言わないからこそ、そういう言い切りとかってやっぱりすごく安心すると思うんですよね。それで、わらにもすがる思いでそこに食いついて、お金をめちゃめちゃ払ってそのインチキ医療を受けるけど、でもそんなので治るわけないので、結局最後はどうしようもなくなって病院に戻ってくる人って全然いるんですよね。そうなった時に、知識がないっていうのはこういうことかって思ったんですよ。やっぱり知識ってすごく大事で、自分の身を守ることにも繋がるし、川勝さんがさっき言ってた主体性ってところにも繋がってくるんで、正しくてわかりやすい医療情報を提供するっていうのが大事だなと。それがペイシェントエンゲージメントの第1歩だなと思ったんですよね。主体性という切り口で、「動画」っていうところから入ってるっていうのが1番大きい理由でもありますね。主体性はこのページェントエンゲージメントのところですごくキーワードになってきますよね。

目指したいものは真の患者中心の医療

ーーペイシェントエンゲージメントの第一歩として動画説明に着目したということでしたが、MediOSを院内のフローに導入することで医療従事者と患者さんの関係性はどのように変化すると思いますか。

川勝さん
そもそもペイシェントエンゲージメントとは何かという話にも繋がってくるんですが、エンゲージメントってあんまり日本だと言わないですかね。最近だと、従業員エンゲージメントとか顧客エンゲージメントとかでよく使われると思うんですけど、私の解釈も含めると、「患者さんが主体的に、自分事としてその決定及び決定のための情報収集、コミュニケーションを関係者とすることができる、かつ、真に自分のための決断がをすることができる」っていうことだと思ってて。いわゆる自分の決定に対する愛着心が出てくるっていう意味でのエンゲージメントですね。

でも、さっきの話にもあった通り、今の医療業界ではその環境がどうしても整ってないですよね。患者さんは情報が足りないし、この世の中、どれが本当の情報かっていう取捨選択も、やっぱり病院に行って先生に聞いて、先生に任せますみたいな世界になってしまう。適切に情報提供するためにその環境を与えたいという医療従事者の先生やフロントの看護師さんの思いが本当はあるけど、労働過多になっていたり、説明を何回もしないといけなかったり、この書類を作らないといけないとかで、それが実現できない環境。 
今は動画がメインになってますけど、あらゆるフローとか患者さんとのタッチポイントで、 そういうものを除いていってあげると、本当の支援だったりとか本当の患者さんとのコミュニケーションに力を割くことができる。 その結果、患者さんが中心の医療を実現できるという、そういう環境を整備できるっていうのが、関係性としては変化するんじゃないかなと。変化してもらいたいなっていう風に思ってますね、

川端さん

同じですね。やっぱり患者さんの不安や意思決定のところに、より注力をすることができるようになるっていうのが、現時点での変化できるポイントかなと思ってます。

動画説明のコンテンツの強みでいうと、動画ってやっぱりすごく制作にコストがかかるんですよね。それをこれだけの網羅率でやってるっていうのは、狂気の沙汰だと思ってます。一つの疾患の中での、どういう病気で、どういう治療法があって、こういう合併症が考えられて、こういう経過を追っていきますよっていうICの網羅性っていうところもそうだし。それによって、実際の現場では説明が大体半分ぐらいになってたりもするんですよね。医師の代替として喋ってくれているっていうところでも網羅率が高くて、診療科も含めて疾患への対応数が多いっていうのは、他になかなかできないことじゃないかなと思うので、そこはすごく強みとしてあると思いますね。

川勝さん
動画という点で言うと、まずその着眼自体が非常にレアというか。川端さんとは、エンゲージメントという概念で、こんな機能があるよね、こういう観点あるよねって話を色々してきましたけど、やっぱり私は動画から始めてないわけですよ。でも、川端さんは、そこに着目して、糸口を見つけてやってきた。ニッチだけど現場で困っていたこと、現場の先生方が実は考えていたけどなし得てなかったことっていうところでの着眼点が、まず稀有であって、でも刺さっているっていうのはあると思いますね。その中でも、啓蒙動画とか疾患や術式の紹介っていうのは多数あるんですけど、IC用の動画っていうのは実はないんですよね。その点でも、ちゃんとICのために作られていて、監修もしてもらっていて、使われているシェーマとか言語にもこだわっているっていう動画はないので、そこも唯一のものかなと思います。

あと、アニメーションっていうのがやっぱりよくて。実際もこういうアニメーションなんですか。って問われることもよくあるんですけど、それが患者さんにはすっと入ってくるポイントでもあるし、ベースになるICの動画があるとはいえ、やっぱり変更するっていうのは医療現場ごとに生じます。その場合、変更の工数を考えるとあの形にしておいた方が、先生側の要望に答えやすいですし。リアルなものだったりすると変更に100万円原価がかかってしまうし、しかもそれを我々が医療現場に提供するにあたってサービス業を介さないといけないってなっちゃうと現場で使えなくなっちゃうので。そういう点でも細かいことですけど、実はイノベーティブであると。ここが、動画でやってる優れたところじゃないかなと思いますね。

川端さん
実際、患者さんからも、すごく分かりやすいっていう風に言っていただくこともあるし。僕が1番覚えてるのは、MediOSをご利用いただいている都内中規模の病院の患者さんの話です。乳がんにかかった経験があって、その病院で白内障の手術をされる予定だった方ですね。乳がんの手術の時は先生が全然説明をしてくれなくて、どういう病気かもよくわからなかったし、どういう手術でどんな経過をたどるかもわからなくて、本当に不安でしょうがなかったと言ってて。で、白内障の動画を見せてもらったら、「これはすごくわかりやすいね。乳がんの時にこういう動画とかで見せてくれてたら、その先生との関係性も変わったと思うんだよね。」と言ってくださったのは、患者さんにとってもすごくポジティブというか、患者さんのためになる動画だっていうところを知ることができて、すごく強みだなと思いました。

医療者向けの動画じゃなくて、ちゃんと患者さん視点というか、患者さん向けに僕たちがわかりやすく作ろうと思っていて、監修医の先生からも指摘してもらうことがあるけど、「これじゃ患者さんには伝わらないと思います」って返してるところも結構あるじゃないですか。 イエスマンにならずに、本当に対等に、患者さんにとってよりわかりやすく伝えるにはどうしたらいいんだろうかっていうのを、常に考え続けて作った結果だなと思うので、そこは本当に強みだと思ってますね。

川勝さん
あとは、お客さんの声で追加すると、大体「動画やってます。」というと、こいつらどういうの作ってきてるんだろうっていうのを試しで聞いてくるケースが結構あって。で、見てもらって印象的だったのは、「まさにこういうの待ってました。」と言っていただいたことがあって、ドンピシャに使えるものを提供できてるんだな、medical  teamが作ってくれてるんだなっていうのは実感しますよね。多くの場合、そういう反応の方が大半ですよね。

medical teamのコンテンツ制作についての詳しい記事はコチラから↓
https://www.contrea.jp/articles/VKPgI3in

川端さん
そうですね。もう本当に、「僕も考えたことあってさ」みたいな感じで言われることもあるし。でも、さっき川勝さんが言ったようにアイデアと実行のところで、やっぱり動画を作るって専門性もすごく高いし、医療者が忙しい中でなかなか片手間では作れない、そのアイデアを実行するのが難しいっていうところだと思うので、本当に痒いところに手が届くっていうところはね、めっちゃありますよね。


ーーマーケティングにおいてはポジショニングが重要になってくると思うのですが、戦略を検討する際に意識されていることは何でしょうか。

川端さん
今、すごく分岐点にいると思ってるんですよ。医療システム自体が今まではオンプレミスで、病院の中でスタッフの人だけが扱っていくっていうシステムだったのが、セールスフォースが出てきていて、クラウド化がどんどん進んできていて、本当に20年前ぐらいのアメリカと同じ構造だと思ってるんですよね。同じことが今、日本の医療業界で起きていると思っているので、その波にしっかり乗るっていうこと。あとは、じゃあクラウド化することでその既存のシステムとは何が1番違うかっていうと、患者さんとのタッチポイントを取ることができて、 患者さんに対してエンゲージメント高められるような施策を打つことがシステム上でできるっていうことだと思うので、まあそこが大きなポジショニングなんじゃないかなと。

川勝さん
めちゃくちゃいろんな視点があるんですよ。ちなみにこれだけで、2, 3時間話せるっていう話なんですけど(笑)。ちょっとユニークな視点で言うと、解決できることっていうのは、これまでの患者さんが中心になり得るための環境とか、エンゲージメントを高めるためということになるんですけど。その中でも、現場の悩みとか課題を細分化をして要素をバラバラにすると、結構いろんな細かいものにブレイクダウンされると。で、MediOSができるのは、そのブレイクダウンされたものに対して、割と個別的にも使うことができるし、広くも使うことができるっていうのは、ポジショニングの1つではあるかなと。そうすると、例えば現場では、泌尿器科の外来のこの部分はまず解決したいから使いたい。それに対して割と小さめの粒度でシステムを検討していただいて、導入いただくことができる。で、それで証明されたら、病院さんはどんどん他の診療科とか、他の機能を追加することができるっていうのが、非常に面白い特徴かなと思うので。医療現場で言うと、病院で入れたときにかなり大きめのシステムをドカッと入れないといけなかったりすることがあるんですけど、その点でも現場に即したポジショニングになってるんじゃないかなと思います。

二人の思い描く理想の医療業界

ーー現在は動画説明がメイン機能となっているプロダクト MediOSで、電子同意書をプレリリースしたりと新たな一歩を常に踏み出しているContreaですが、他の機能も合わせた展望があれば教えてください。

川端さん
いっぱいありますよ(笑)。方向性は変わらず、患者さんのエンゲージメントが高められるような機能を今後も追加をしていきたいと思ってます。

川勝さん
もちろん診療科っていう意味での広がりもそうですし、患者さんのフローにおいて、ご来院、もしかしたらその前から、手術後のフォローアップ、その後のクリニックとか地元の病院に紹介されるまでの広い範囲のあらゆるシーンで課題はたくさんあるので、患者さんの全てのフローを網羅することはちゃんと考えています。

逆に、我々がやってきて面白いなって思うのは、現場の方々と話してると恐ろしいぐらいいろんな発見があって。あ、こんなこと考えてるんだ、こんな悩みがあるんだっていうのが実際に使われてると。なので、むしろ現場の人からどんどん意見をもらいたいですし、この対談が出て、目にした医療従事者の人とかいらっしゃって 「この点もめっちゃ欲しいです。」みたいなのあったら、ぜひ連絡してもらいたいなとは思います。

川端さん
いや、本当にそうで、例えば入院案内のところでも、最初からあんなに困ってるとは思わなかったですよね。

川勝さん
そうですよね。麻酔科もいろんなリサーチを重ねて始めたんですけど、麻酔科で使われるっていうのはこういうことなんだとか、 麻酔管理件数をこういう風に積み上げるために現場はこうやって頑張ってるんだとか、なんかそういうのって本当、始めてみないとわからないことだったので。これからもどんどんその辺りは話をしながら、いろんな機能をつけて、皆さんに貢献していきたいですね。


ーー最後に… どんな人にContreaに来てもらいたいですか?

川端さん
やっぱり純粋に、僕たちはよりよい医療を作っていきたいなと思っていて。よりよい医療を作るのは、医療現場の人たちだけではないと思うんですよね。川勝さんが以前所属してたような医療機器メーカーとか製薬会社とかもそうだし、その人たちがいないと新しい機器とか薬も出てこないし。システムも同じだと思っていて、僕たちがそのシステムで患者中心の医療の実現とかエンゲージメントを高めることで、よりよい医療を作っていくことができる。でも、それはやっぱり僕たちだけでは成し遂げられないし、さっき川勝さんが言ってたように、現場から声をもらいながら作ってるってのはそういうことだと思っていて、現場の人たちと競争をしていると思ってるんですよね。なので、その現場の人たちと一緒に医療をよりよくしていきたいし、社会に貢献していきたい。家族であったりとか、僕たちが年寄りになった時に、よりよい医療を受けられるようにしていくってのは、回りまわって自分のためにもなってくるし、やっぱり今の日本からすると、死ぬまでにこの数十年の間に病院にかかりませんっていう人なんていないじゃないですか。かつ、それを家族にまで広げると、絶対に病院にかかることになると思うので、その時に安心して医療を受けられるように僕たちのテクノロジー側でバックアップをしていくってことに対して興味がある人がいたら、すごく向いてるなって思います。

川勝さん
付け加えると、日本の医療って世界的には稀有な国民皆保険っていう世界に誇れる長寿の国にした優れたシステムがありますよね。それが、人口の構造とかが変化して立ち行かなくなってるっていうのは、昨今ずっとある課題で。でも、その医療システムで培われているノウハウっていうのは、 世界に誇れるもののはずなんですよね。それを大きいところで言うと消してはいけないし、これからの世代である我々が自ら守っていかないといけない。いいものを享受してきた親父たちの世代とは全然違って、自分たちが作り上げないといけないっていうのが本当にあるんですよね。なので、50年後になったら、80いくつになってます、50年後になったら、70いくつになってますという世界を自分たちで作らないといけない。サステイナブルな社会を作らないといけない。 その一助になるのが、我々の今日の活動なんですよね。そういう大きい、40兆と言われる医療の市場で、ちゃんとした仕事をしたいなと思ったら、全然医療に関係なくても日々の自分の体に携わることなんで、そういう志があればすごく楽しんで仕事がチャレンジできる環境なんじゃないかなと思ってます。

先生の治療時間を15分生み出せたら、そこにかけられた医療の教育とか先生に支払われる社会保険料って意味のあるものに転換できるので、 1件MediOSが使われたら社会保障費にこれぐらい良い影響を与えてるんだなって、そんな思いもあるんですよ。そういう点でも、ただ単に利益を追求するための企業ではないというところも面白いんじゃないかなと思います。


編集後記

病院で実習している中でも「患者さんのため」というワードはよく耳にしますし、日常生活でもよく聞く言葉ではありますが、本当の意味でその言葉を提供する医療に落とし込めている人や医療機関って世の中にどれくらいあるんだろうと疑問に思ってしまうほど、理想的な医療を提供することの難しさを感じました。
それと同時に、自分の意思決定をするには「主体性」だけではなく「知識」が必要であること。その知識を与える立場の医師が形式的な部分だけではなく患者さんが本当に知りたいことや、さらに主体性をもって判断できるようになるための要素を対話を通して提供できるような仕事形態にニーズがあると思いました。その医療変革の一角をMediOSが担っていると思うと、お二人の対談を聞いていてわくわくしました。自分も今後、ただの組織の一員としてその病院という閉鎖された特殊な空間の中で提供できるものをただ享受して患者さんに受け渡すのではなく、患者さんと真の意味で向き合える医師になれるよう、視野を広くもち巻き込み巻き込まれの考え方で学生のうちに経験できることをまずは目一杯経験しておこうと思いました!


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