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【社長Blog】テクノロジーで物流の課題を解決する。物流不動産大手GLPはなぜ別ブランドでモノフルを創業したか

モノフル代表の藤岡です。モノフルは2017年の創業から今年で4年目を迎えます。社員数も20人弱を数えるほどになりましたが、ミッションである「ロジスティクス・エコシステムの創造」の実現へ向けた挑戦は始まったばかり。今後も志を共にしてくれるメンバーの参画を楽しみにしています。

そこでモノフルのことをもっと知っていただくため、「社長Blog」という形でモノフルについて3回にわけてお話しできればと思っています。初回はモノフル創業の経緯や、その背景にある物流業界が抱える課題についてお話しします。

ECの急成長で顕在化した「宅配クライシス」

モノフルはテクノロジーを活用して物流の課題解決をするため、2017年に日本GLPのグループ会社という立ち位置で設立した会社です。日本GLPは物流施設のデベロッパーとして日本全国の主要都市で物流施設を運営しています。そこで見えてきた物流業界の課題を解決する手段として立ち上げたのがモノフルです。


皆さんは2017年頃、「宅配クライシス」という言葉が話題になったのを覚えていますでしょうか? Amazonや楽天などのECが急成長したことで、運送業者の人的リソースが宅配需要に追いつかなくなって起こった問題です。トラックドライバーは日本に約80万人ほどいるものの、総動員しても十分に荷物が運べないという状況に直面しました。その状況は今も変わっていません。

宅配クライシスが話題になった頃、日本GLPは物流不動産を提供している立場としてテナントの物流会社や荷主から、「トラックが足りない」「人が足りない」「荷物が運べない」といったさまざまな声を聞くようになっていました。いくらお客さまのニーズに合うような物流施設を提供していても、最終的にモノが届かなければ意味がありません。物流業界がサステナブルであるためには、単に不動産を提供するだけではなく、物流業界全体にソリューションを提供していく必要があるのではないかと考えていました。

物流業界のテクノロジー専門部隊を創る

これからの日本は人口が減り、生産性も減少していきます。だからこそテクノロジーを活用した生産性の向上が求められているわけですが、これだけDX(デジタルトランスフォーメーション)が叫ばれる世の中で、物流業界はポツンと取り残されたようにアナログです。やり取りはいまだに電話やFAX、紙と鉛筆の伝票という世界。モノフルとしてできることがたくさんありました。

ですからモノフルは、「新規事業を立ち上げたいけど何をしようか」という新規事業ありきで動き出したのではなく、最初に「物流のソリューション提供ができる会社を創らなければならない」という強い意志があって動き出した会社です。ビジョンを掲げ、どういう形で進めていくかを考え始めたのが2017年のことでした。最初の半年くらいは日本GLPの中に事業企画部という新規事業ユニットを作り、議論を進めていました。

最終的にテクノロジーの会社を日本GLPとは別に立ち上げ、そこで進めていくのがベストではないかという結論に至りました。日本GLPの強みは、物流不動産のデベロッパーとして物流施設という価値を提供することです。テクノロジーの提供はコア・コンピタンスではありません。実際、社内に不動産の人間はいてもテクノロジーの人間はいません。他にM&Aですでにある会社をベースにする案もありましたが、ずばりこの会社というのは見当たりませんでした。そこでビジョン達成のため、スモールスタートでも自分たちでゼロから始める決断をしたのです。

課題はサプライチェーン全体の最適化

モノフルでは、よく「ロジスティクス・エコシステム」という言葉を使います。エコシステムというのは「生態系」という意味ですね。例えばコンビニ業界では、セブンイレブンの工場で作ったものがローソンのセンターに運ばれ、最終的にファミリーマートの店舗で販売されるというのは起こりません。競合に手の内は明かせませんから垣根を越えたシステム連携は起こらず、いかに自分たちの経済圏を強固にするかが重要になっています。

特に企業間物流の場合はまったく違って、A工場で作られたモノがB物流の手でC倉庫に運ばれ、D物流の手でE倉庫に運ばれるということが起こります。最初のモノが工場で製造されてからお客さまの手に渡るまで、1社で完結するということは基本的にありません。旧来の「アナログなやり取り」や「ベテランの勘、経験則」では複雑化、高度化するサプライチェーンへの対応が難しくなっています。

そこで物流業界もDXが急務となり、A社とB社とC社がそれぞれ独自にDXを進めました。その結果、システムが連携せず、「A社とB社では伝票でやりましょう」「B社とC社はFAXでやりましょう」といった形になってしまいました。物流の現場ではDXが進んでいないだけでなく、部分最適が全体最適につながっていないという課題もあるのです。

           モノフルが進める「ロジスティクス・エコシステム」

ロゴや社名に込めた「オープンであること」

モノフルを立ち上げるにあたって、日本GLPのグループ会社であることを前面に出すやり方はしませんでした。日本GLPは物流施設のデベロッパーとしてブランド力がありますから、例えばGLPの名前を冠して「GLPテクノロジーズ」とするのも一つの方法だったと思います。ただそうしてしまうと、日本GLPの不動産の価値を高める会社のように見えてしまいます。それは私たちが目指す姿ではありませんでした。


私たちはGLPのためではなく、あくまで物流業界のためにサービスを提供すると決めています。ですから事業の進め方は「オープンであること」にこだわり、別ブランドにしてロゴも日本GLPを連想させる緑や黄緑を使わずグレー1色にしました。「色の付いていないプレイヤー」であることが大事だと考えています。


ちなみに社名はホワイトボードに書ききれないぐらい考えたのですが、最終的にモノがあふれている状態を意味する「モノフル」としました。もう一つ、「単一の」を意味するモノラルのモノと、「充足する」「完結させる」という意味のフルフィルメントから「単一の仕組みでお客さまの物流課題を解決する」という意味も込められています。

強みを持つ者が手を組み、物流を良くする

2017年の創業からもうすぐ4年、ミッションに共感してくれたメンバーが集まってモノフルは20人弱の会社になりました。そのほとんどが物流や不動産の経験がない別業界出身です。日本GLPの社内にテクノロジー専門のメンバーはいませんので、外から採用して別チームを作る必要がありました。

私たち単独で物流業界全部をデジタル化していくことは困難ですので、優良なサービスを提供している方たちと手を組むことも重要です。モノフルには投資部門もあり、これまでに自動車の走行データを分析する「スマートドライブ」やロボットの遠隔操作技術を開発する「Telexistence」(テレイグジスタンス)、倉庫スペースシェアリングの「souco」、衣料品サブスクの「エアークローゼット」などに出資しています。

その場その場で目的に最適な手段を選択できるのはモノフルの強みであり、カルチャーだと私は考えています。「ここは事業提携で一緒にやろう」「ここは投資先の会社を通して提供しよう」「ここは自社プロダクトで行こう」といった形で、多面的なアプローチを行っています。

こういった進め方をモノフルというできたばかりの会社ができるのは、GLPのグループ会社だからこそと言えます。別ブランドではありますが、「物流を良くする」という目指すゴールは同じ。物流不動産というハードウェアとテクノロジーのソフトウェア、両方の強みを生かして「すべての人に最適な物流」を実現していきます。

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