伸びている会社の話を聞くと、思い切りのよさが印象に残ることが多いと思います。人を一気に増やした。新しい拠点を出した。大きな投資を決めた。結果が出た後から見れば、どれも果断な決断に見えます。
私たちが顧客の経営に入るとき、そして自社のことを考えるときに置いているのは、少し違う前提です。成長は、勢いではなく規律でつくる。今回は、この考え方についてお話しします。
焦って打った手は、高くつきやすい
売上を伸ばしたい局面ほど、先に固定費を積みたくなります。体制が回り切る前に人数を増やす。案件の見通しが立たないうちに大きな投資を決める。うまくいけば景色が変わりますが、外れたときの傷は深く、戻すのに時間がかかります。
固定費は、増やすのは一瞬で、減らすのは簡単ではありません。この非対称性を軽く見ると、成長のための投資が、そのまま会社の体力を削る側に回ります。
だから私たちが数字を見るとき、最初に確かめるのは「想定どおりにいかなかった場合でも、この会社は耐えられるか」です。守りは、攻めの反対側にあるものではなく、攻めるための前提条件だと考えています。
規律とは、打たないことではありません
誤解されやすいのですが、これは慎重にいこうという話ではありません。規律とは、打たないことではなく、打つ時を見極めることです。
条件が揃ったと判断できたなら、そこは迷わず投じます。それまで余力を残しておくのは、その時のためです。逆に、なんとなくの勢いで資源を少しずつ漏らしていると、本当に勝負すべき場面で使える手が残っていません。
いつでも動ける状態を保ちながら、動くべき時に一気に動く。私たちが規律と呼んでいるのは、この状態のことです。
分岐点は、先に数字で決めておく
では、いつが打つべき時なのか。ここを感覚で決めないために、私たちは数字を使います。
どの指標がどの水準に達したら次の投資に進むのか。増員は、案件がどれだけ積み上がった時点で判断するのか。見送る条件は何か。判断の基準を先に置いておくと、その場の空気や勢いに引っ張られずに済みます。基準があるからこそ、達したときに躊躇せずに踏み込めます。
理想から逆算するだけでは、計画は絵になります。いま手元にあるもので届く高さを正直に見て、そこに何を足せば次の高さに届くのかを積み上げる。地に足のついた計画は、実行できる計画でもあります。
顧客に言うことを、自社にも当てる
私たちは、無理のある拡大や根拠の薄い投資には、顧客に対しても正直に意見を伝えます。そうである以上、自社の経営を別の基準で運ぶわけにはいきません。
採用も投資も、勢いだけで決めない。一人ひとりが力を発揮できる状態を保ちながら、次の段階に進む準備が整った時に手を打つ。言っていることと、やっていることを一致させる。これも私たちの考える誠実さの一部です。
規律のある環境は、挑戦しやすい環境です
規律という言葉は、窮屈に響くかもしれません。実際には逆だと考えています。判断の基準が共有され、会社が耐えられる範囲が見えている組織は、個人が思い切って動ける組織です。どこまで踏み込んでいいのかが分かっているから、迷わず前に出られます。
私たちはいま創業期です。この基準そのものを、これから固めていく段階にあります。すでに出来上がった仕組みに乗るのではなく、どの数字で何を判断するのかを一緒に決めていける時期だと思っています。
個人の動き方は速く、会社の意思決定は規律をもって。この両立が、私たちの目指す成長の形です。不完全でもまず動き、結果を数字で確かめ、次の一手に活かす。そういう進め方に手応えを感じる方と働きたいと思っています。
興味を持っていただけたら、一度話を聞きに来てください。