なにをやっているのか
ZettaJouleが取り組む主な事業内容を4つ紹介します。
■次世代小型原子炉(HTGR)の開発と安全設計
ZettaJouleが中核事業として取り組んでいるのが、高温ガス炉の開発です。これは従来の原子炉とは構造・運用思想ともに異なる次世代型の原子炉で、最大950℃という高温熱を安全に長時間供給できる特徴を持ちます。
従来の原子炉で課題とされてきたのが、炉心の過熱やメルトダウンのリスクです。HTGRでは燃料が溶融しない構造や自然対流による冷却機構を備えており、電源喪失時でも安全性を確保しやすくなっています。当社では、こうした設計思想に基づき、燃料や構造材、制御系などのコア技術を集約しながら一連の設計評価、安全解析、規制対応に至るまで自社で主導的に開発を進めています。
また、このHTGRは小型モジュール設計(SMR)にも適しており、スケーラブルで柔軟な配置が可能です。エネルギー需要に応じて各地に分散配備できる構造は、将来的な再エネ・水素インフラとの相互補完にもつながります。
■クリーン熱をサービスとして提供する「Clean-Energy-as-a-Service」
ZettaJouleの事業のユニークな点は、「原子炉を売る」のではなく熱や電力などのエネルギーをサービスとして提供するビジネスモデルにあります。これを同社では「Clean-Energy-as-a-Service」と呼んでいます。
通常、エネルギー供給には大規模な設備投資が伴いますがZettaJoule株式会社では利用者側にそうした初期コストを求めずに必要なエネルギーを利用した分だけ支払うサブスクリプション型モデルを志向しています。これにより、企業や自治体、産業施設などは設備の所有リスクを負うことなく、高温熱や電力、水素といったクリーンエネルギーを柔軟に導入することが可能になります。
このモデルは、単なる販売にとどまらず保守・運用・ライフサイクル全体を含めた包括的なエネルギーサービスの提供を意味します。ZettaJouleは、将来的には日本だけでなく海外の多拠点にこのモデルを展開することを視野に入れています。
■高温熱を多用途エネルギーへ変換し、産業の脱炭素化を加速
HTGRの特長は、その高温熱を発電以外の多用途に応用できる点にもあります。当社では、この熱を活用して電力に頼らない形での産業プロセスの脱炭素化に取り組んでいます。
具体的な用途は以下のとおりです:
水素製造:高温熱を用いた水素製造により、CO₂を排出しないグリーン水素の安定供給を実現。
アンモニア合成:高温を活かした反応系によって、脱炭素型の合成プロセスを支援。
工業用熱供給:製鉄・セメント・化学品製造などの高温産業に、安定的なプロセス熱を供給。
地域熱供給/海水淡水化:余剰熱を都市部や離島地域の地域暖房・給湯・水処理などに活用。
再生可能エネルギーでは、不安定または対応困難な用途にもHTGRが生成する高温熱を安定かつクリーンに供給することで、これまで手つかずだった分野の脱炭素化を現実に変えていきます。
ZettaJouleのアプローチは、「どうやってエネルギーをつくるか」だけでなく、「どこで、どう使うか」までを含めて構想されており、エネルギーの上流から下流までを俯瞰したシステム設計が特徴です。
■ 国際規制対応とグローバル展開に向けた事業開発
当社のもうひとつの強みは、グローバル展開を見据えた国際規制対応と認証戦略です。原子力分野では、安全性とともに各国の厳格な規制・審査をクリアすることが事業の成否を左右します。
同社には、日本・アメリカ・カナダなどでエネルギー政策や原子力安全基準に精通したメンバーが在籍し、各国の制度に即した設計・認証取得を視野に入れて事業開発を進めています。実際に、海外の自治体・研究機関・企業との連携も積極的に行っており、国際共同プロジェクトや安全審査の国際比較に対応可能な体制を整えつつあります。
これにより、ZettaJoule株式会社は日本国内だけでなく気候変動対策が急務となっている海外市場(特にアジア・北米・中東など)での導入も進めていくことを目指しています。
なぜやるのか
世界中で「脱炭素」が叫ばれる今、再生可能エネルギーの導入は確実に進んでいます。
しかし現実には、天候に左右される不安定さや大規模な蓄電・送電インフラの限界といった課題も山積しています。
特に、工業用熱や水素製造などの電力だけではカバーできない分野における脱炭素は技術的にも経済的にも大きなハードルがあります。
ZettaJouleは、こうした現実に対して「理想論ではなく、社会実装で応える」ことを目指して創業されました。
私たちが選んだ手段は、次世代の原子炉「高温ガス炉(HTGR)」。950℃という高温熱を安定かつ安全に供給できるこの炉は、脱炭素が進まない領域にも直接エネルギーを届ける力を持っています。
私たちはこの技術を、「Clean-Energy-as-a-Service」として必要な場所に必要なエネルギーを届ける新しいインフラモデルへと進化させようとしています。単なる技術開発ではなく、社会の構造に深く根ざした形で現実的な脱炭素化を推し進めたいのです。
そして、原子力という選択肢に向き合うことも、私たちの信念です。安全性と対話を大切にしながら、未来に希望を持てる原子力を社会に届けていきます。
ZettaJoule株式会社は、持続可能なエネルギーの新しい常識を技術と実行力でつくっていきます。
どうやっているのか
ZettaJouleが目指すのは、前例のない規模でのクリーンエネルギー社会の実装です。
私たちはその実現のために、「技術」「事業モデル」「チーム」の3つを一体で設計・構築するアプローチをとっています。
まず、技術面では高温ガス炉(HTGR)という特殊な次世代原子炉をベースに、安全設計から機器仕様や規制対応、安全解析までを社内主導で開発。従来、官主導で進められてきた原子力の分野に民間スタートアップとして異例の切り口から挑んでいます。単に開発するだけでなく、世界中の規制機関と対話を重ねて申請書や設計文書を国際基準で整備しているのも大きな特長です。
事業モデルは、原子炉を売るのではなく熱・水素・電力を提供するClean-Energy-as-a-Service。エネルギーインフラのSaaS化ともいえる発想で、従来の大資本依存から脱却し柔軟で持続可能な供給網の構築を目指します。
そして最大の強みが、多国籍・多分野から集まったコアチームです。原子力、再生エネルギー、金融や海外政策、商社に宇宙工学までバックグラウンドの異なる専門家たちが、ゼロから社会に通用する仕組みを作り上げています。意思決定は速く、役割分担はフラット。大企業でも行政でもない、「自分たちの手で社会を変える」という意志が組織文化の中核にあります。
ZettaJoule株式会社は、ただ技術を作るのではなく社会に届ける仕組みごとつくっています。
未来のエネルギーが当たり前になるために、今日も全員が手を動かし続けています。