はじめまして。キヤノンイメージングシステムズ株式会社 代表取締役社長の廣木です。
本日より、社長コラムをWantedlyにて連載させていただくことになりました。
このコラムはもともと、毎月の初営業日に社内向けに発信しているもので、ありがたいことに社員からも好評をいただいております。公開後1時間ほどで200ページビューを超えることもあり、社員との会話のきっかけにもなっています。
当初は、社員に私の考えや想いを伝えることを目的に始めたのですが、今回、より多くの方に当社の雰囲気や価値観を知っていただきたいと思い、社外向けに内容を調整したうえで公開することにいたしました。ぜひご一読いただき、当社の空気感を感じていただければ幸いです。
皆さん、突然ですがドラマはご覧になりますか?
私は普段あまり観ないのですが、2022年に放映された『VIVANT』にはすっかり魅了されてしまいました。続編の撮影が始まったというニュースを聞き、今からとても楽しみにしています。
新潟市を流れる信濃川沿いの「やすらぎ堤」に夏季限定で登場するビアガーデンがあります。ビールを楽しもうとしてタープの下の席に案内され、「テントかぁ」と誰かがつぶやいた瞬間、役所広司さんの顔がふと浮かんでしまうほど、作品にのめり込んでいました。
『VIVANT』はモンゴルの砂漠でのロケや、主役級の俳優陣による演技など、まるで映画のようなスケール感で、日本のドラマの新たな可能性を感じさせてくれました。伏線が巧みに張り巡らされ、最終話に向けてさまざまな展開(=Options)を視聴者が『考察』しながら楽しめる構成も魅力の一つでした。
少し前のことになりますが、当社がスポンサーを務めた「WRO(World Robot Olympiad)新潟大会」、改め「新潟ロボットチャレンジ」に出席し、表彰式でプレゼンターを務めさせていただきました(7月20日(日)、参議院選挙の日でした。暑かったぁ)。子どもたちが試行錯誤しながら何度もチャレンジする姿に心を打たれ、8月24日(日)に東京で開催された全国大会にも応援に駆けつけました。
全国大会は地方大会に比べて参加者・応援者ともに規模が大きく、課題クリア型・対戦型・社会課題解決型プレゼンテーションなど、競技のバリエーションも豊富でした。どのチームも独自のアプローチで取り組んでおり、勝敗以上にその多様性と創造性に感銘を受けました。
当社でも、新入社員研修の一環として、LEGOマインドストームEV3を使ったロボットプログラミングのチーム対抗戦を行っています。以前、その実習の感想を求められた際、私はこう答えました。
「各チームがそれぞれ異なるこだわりを持ち、目的達成に向けて多様なアプローチをしていたことに気づかされました。今日は、成功したチームもあれば、うまくいかなかったチームもあったかもしれませんが、継続して取り組めば、今日失敗したチームが明日には1位になる可能性もあると思います」
目標達成のためのフレームワークとして「GROWモデル」という考え方があります。これは、
- G(Goal):目標を設定し、
- R(Reality):現状を把握し、
- O(Options):選択肢を検討し、
- W(Will):意思を確認する、
という4つのステップで構成されます。
特に重要なのが「Options(選択肢)」です。これには複数系を表す’s’がついています。複数の道筋を持つことで、ひとつの方法がうまくいかなくても、別のアプローチで目標に近づくことができます。
「できません」「無理です」とあきらめる前に、もう少し粘ってOptionsを考えてみる。その姿勢が、やがてイノベーションにつながるかもしれません。
『VIVANT』の演出を手がけたのは、福沢克雄さんというディレクターです。実は私、福沢監督の撮影現場に何度か立ち会ったことがあります。
監督は「ジャイさん」と呼ばれていて、体格も大きく、現場での存在感も圧倒的。まるでジャイアンのような印象から、そのように呼ばれているようです。
撮影手法も非常にユニークで、ドラマとしては珍しく、アングルを変えつつ一つのシーンを何度も撮影していました。演じる俳優の方々にとっては大変なことかもしれませんが、編集段階での選択肢(=Options)が増えることで、より完成度の高い映像作品に仕上げることができるのだと思います。これは、監督が自身の思い描くドラマを実現するための秘訣なのかもしれません。
『VIVANT』の最終話には、続編への橋渡し(Bridge)と思われるシーンがありましたが、その考察が的中し、実際に続編の制作が決定しました。また新たなOptionsを考察できる展開が待っていると思うと、来年の放映開始が今から楽しみです。
(次号は9月22日(月)リリース予定です)
キヤノンイメージングシステムズ株式会社では一緒に働く仲間を募集しています