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密着!AMIが鹿児島県の離島(下甑島)で遠隔聴診対応ビデオチャットシステムのデモを実施

私たちAMI株式会社(以下、当社)は、"急激な医療革新の実現"をミッションに掲げ、超聴診器※1(心疾患診断アシスト機能付遠隔医療対応聴診器)の研究開発や、遠隔医療サービスの社会実装を目指す研究開発型スタートアップです。Wantedlyでは、皆さんに「AMIってこんな会社なんだ」と知ってもらえるように、イベント登壇や研究開発の取り組みの様子などを発信しています。


こんにちは。事業企画部の髙群(たかむれ)です。

5月某日、事業企画部の杉山と髙群は、鹿児島県の西方に位置する離島、下甑島へ向かうフェリーに乗船していました。目的は、当社が開発する遠隔聴診対応ビデオチャットシステムを用いて下甑島の下甑手打診療所と島内の集落を繋ぎ、「遠隔聴診」の実地検証をすることです。

今回の記事では、下甑島での実地検証の様子を、現地で見えてきた課題や住民の声を織り交ぜながらお届けします。

下甑島で遠隔医療デモを実施することになった背景

下甑手打診療所の齋藤先生に聞いたところによると、現在約4,000名の島民に対して5つの診療所で島の医療を支えており、入院施設があるのは上甑の診療所と下甑手打診療所の2箇所のみとのことでした。

甑島(こしきじま)とは
鹿児島県薩摩半島から西へ約30キロ。東シナ海に浮かぶ上甑島・中甑島・下甑島と縦に3島を連ねる甑島は、国定公園にも指定された風光明媚な離島です。
出典:こしきしま観光局

齋藤先生が勤務する下甑手打診療所は、医師3名で下甑島全体をカバーしていますが、甑島での医療にはいくつか課題があります。例えば、専門の医師に相談したい場面で相談できる医師がいないであったり、地理的制約が大きいため集落へ向かうにも時間がかかってしまうなどが挙げられます。

また、専門スタッフの配属や人材採用にも難しさがあります。

齋藤先生は離島医療の問題を解決するために、ICT技術により進化した遠隔医療を取り入れることができないか、ということを考え、当社の遠隔医療に関するソリューションに興味を持たれました。そして、先日齋藤先生が来社した折に当社が取り組む遠隔医療を紹介したところ、是非使ってみたいという運びになりました。

当社としても現地の通信環境や導線確認を含めたデモンストレーションを行いたい、と伝えたところ快諾をもらい、今回下甑島への訪問に至っています。

齋藤先生が鹿児島オフィスに来社したときの記事はこちら


地域包括医療の拠点 下甑手打診療所への訪問

写真左から、髙群(AMI)、齋藤学 所長(下甑手打診療所)、杉山(AMI)

齋藤 学 医師プロフィール

2000年順天堂大学医学部卒業。千葉県総合病院国保旭中央病院で研修後、沖縄県浦添総合病院に救急医として勤務。2014年合同会社ゲネプロを設立。2017年オーストラリアへき地医療学会とコラボしたRural Generalist ProgramJapanをスタート。2020年4月より薩摩川内市下甑手打診療所所長。


院内に入って最初に目にしたのは・・・

下甑手打診療所 患者待合フロア

患者待合室に、下甑島手打診療所の基本理念がありました。
(※Dr.コトー診療所の絵が気になるとは思いますが、次回作で詳しくご報告します。お楽しみに!)

“下甑手打診療所の”基本理念”。
下甑島における地域医療の拠点施設として地域包括医療を推進し
「離島住民の医療に対する不安」の解消に努めます。

冒頭にお伝えした離島医療の課題と、基本理念に掲げている「離島住民の医療に対する不安」解消のためには、島内の移動コスト削減と出張診療の質を向上することが重要だと考えました。

そこで、今回のデモンストレーションでは当社の遠隔聴診技術を用いて各集落(内川内集落、瀬々野浦集落)の診療所やコミュニティセンターと手打診療所を繋ぐ計画を齋藤先生と立てました。

天候はあいにくの雨でしたが、私たちの心は熱く晴れ渡っていました。

それでは実際のデモンストレーションの様子をお伝えします。


内川内でのデモンストレーション

甑島のマチュピチュ 甑島で唯一の山上集落 内川内(うちかわうち)

山間に点在するこの内川内集落は、海抜240mほどの高さにあり、急峻な傾斜地に住宅が点在しています。集落内の歩道は非常に勾配がきつく、ご高齢で足が不自由な方には、転倒するリスクが非常に高いと感じました。また、筆者も転倒しそうになる場面が多々ありました。

内川内集落でのデモンストレーション


内川内コミュニティセンターで遠隔聴診を実施している様子

内川内コミュニティセンターでは、定期的に出張診療が行われています。
数名の住民に協力してもらい、手打診療所と内川内コミュニティセンターを繋ぎ、遠隔聴診デモンストレーションを実施しました。

医師:「この聴診器(電子聴診器)※2を当てると遠くの病院の先生が心音を聴いて診てくれるんですよ。」

患者:「よく聴こえるね。これが病院に送られているの?遠くの病院に行かなくても診てくれるならいいね。」

と当社のサービスに興味を持ってくださいました。

そのまま患者の自宅へ訪問診療に向かいます。

患者の自宅で遠隔聴診を実施している様子

訪問診療では、遠隔聴診ビデオチャットシステムと聴診機器を用いて心音聴取及び見える化を行いました。

協力してもらった患者のご家族からは、「診療所に行かなくても(心音を)聴いてもらえるのはすごくいい取り組みですね。将来的には病院に行かなくても自宅で最先端の治療が受けれるといいなと思います。」とお褒めの言葉をもらいました。

今後の展望

『へき地医療をめぐる旅』(三輪書店)【著】齋藤 学(薩摩川内市下甑手打診療所所長)

今回、下甑島でデモンストレーションを実施したことにより、現地の通信状態や導線などが確認できました。また、現地の医師や住民のみなさんから、貴重な意見・感想を聞くことができました。通信環境や遠隔聴診対応ビデオチャットシステムを用いた聴診への慣れといった課題もありますが、実地検証の回数を重ね、課題解決を目指します。

そして、いつでも、どこでも質の高い医療を受けることが出来る環境を構築し、多くの人により良いサービスが提供できるよう私たちも日々研鑽していきます。

今回のデモンストレーションに協力いただいた下甑手打診療所の齋藤先生をはじめ、医局の先生やメディカルスタッフの方々、地域の方々に深く感謝しています。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

それでは皆さん、さんば!(甑島方言:さようなら)

※1「超聴診器」は医薬品医療機器等未承認のため、販売、授与できません。

※2 デモンストレーションでは医療機器認証を取得済の電子聴診器を使用しました。

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