松本 将司(Corporate Dept.)大学中退後、人材派遣会社・オンラインゲーム会社などの上場企業にて、経営企画、経理財務、人事総務、法務といった管理部門全般に従事。管理部長等の経験を経て、2014年4月にさくらインターネット株式会社へ入社。現在は同社コーポレート本部長を務める傍ら、フリーランスとしてスタートアップのコーポレート業務支援やM&Aアドバイザーとしても活動。2025年よりクロステック・マネジメントに参画。
積み重ねてきた、経営を支える実務と判断
──これまでのキャリアについて教えてください。
大学は中退していて、いわゆる新卒としての就職活動はしていません。
最初に入社したのは人材派遣会社で、当時は社員数20名にも満たない小さなベンチャー企業でした。営業職からのスタートでしたが、会社の規模が小さかったこともあり、次第に経営企画や管理部門の業務にも関わるようになりました。今振り返ると、創業メンバーだったこともあり「会社を成長させるために必要なこと」を一通り経験した時期だったと思います。
30代に入った頃、この環境で積み重ねてきた経験が、他の会社でどこまで通用するのかを一度確かめてみたいと考えるようになり、転職を決めました。次に選んだのが、オンラインゲーム会社です。上場直前のタイミングで入社し、経営企画・経理財務・IR・人事・総務・法務まで管理部門全般を担当しました。やがて管理部門の責任者として、上場後の体制整備や組織づくりを担う立場になりました。事業と組織の両方を俯瞰しながら意思決定に関わる経験を積み、この時期に現在のコーポレートスキルの土台がほぼ固まったと感じています。
その後、別の会社で国内外のM&A案件にもいくつか関わりながら経験を重ね、2014年4月にさくらインターネット株式会社へ入社しました。現在はコーポレート本部長として、経理財務や法務などを中心にコーポレート領域全体を統括しています。またここ数年は、さくらインターネットでの実務経験を活かし、フリーランスでM&Aアドバイザーとしても活動しています。2025年からは、そうした流れの延長としてクロステック・マネジメントにジョインしました。
思想に触れて、「一緒にやりたい」と思えた
──クロステック・マネジメントにジョインしたきっかけを教えてください。
きっかけは、2024年の年末にクロステック・マネジメント代表の小笠原さんから「コーポレートを手伝ってくれないか」と声をかけてもらったことです。小笠原さんが京都芸術大学の教壇に立っていることは知っていましたが、教育DXの文脈でここまで踏み込んだ取り組みをしているとは正直知らなくて、話を聞いてすぐに興味を持ちました。
さらに、創設者・徳山さんの『まだ見ぬわかものたちへ』を読んで、その思想や問題意識に強く共感しました。僕自身、スタートアップの熱量の中で仕事をするのが好きなので、「ここなら、これまで積み重ねてきた経験を再構成して価値を出せるかもしれない」と思いました。さくらインターネットでの仕事も挑戦ではありますが、それとは質の違うチャレンジだな、と。
──小笠原さんとの出会いについて教えてください。
最初の出会いは、さくらインターネットがIoTのジョイントベンチャーを立ち上げたときですね。賃貸物件向けのスマートロック事業をやろうという取り組みで、僕がさくらインターネット側の取締役として関わることになりました。
そのとき、小笠原さんがスタートアップモノづくり拠点のDMM.make AKIBAの総責任者をされていて、週に1〜2回、拠点のあった秋葉原に通って一緒に企画を詰めていました。ホワイトボードにどんどんアイデアを書き出して、授業を受けているような感覚でしたね。「まるで呼吸をするように事業を作れる人がいるんだ」と思ったのを、今でもよく覚えています。教えを請う、という感覚に近かったかもしれません。そういう関係性があったので、今回声をかけてもらったときも自然でしたし、小笠原さんの世界観に共感した人たちが集まっている組織なんだろうなというのはすぐに想像できました。それが素直に楽しそうだな、と思えたんです。
──松本さんから見た「小笠原さん世界観」とは?
言語化が難しいんですが、小笠原さんって自分の価値観がものすごくはっきりしている人なんですよね。ただ、それを誰かに強制しない。「俺についてこい」ではなく、「僕はこう思うよ」と言う。でも、その価値観にすごく説得力があるから、聞いた人が自然と「なるほど」と思って集まってくる。強制じゃないのに、惹きつけられる。
だからこそ、その価値観に共感しない人は、きっとクロステック・マネジメントにはいないんだろうなとも思います。そこがすごく魅力的ですよね。
決まっていない仕事を拾い、コーポレートを前に進める
──現在はどのような業務を担当されていますか?
基本的には、コーポレートの中でスポット的に発生する業務を拾いにいく役割を担っています。現状、コーポレートの業務はどうしても一部の人に集中しやすいため、それを分散させ、チームとして無理なく回る状態をつくることを意識しています。
「まだ担当者が決まっていない」「このままだと取りこぼしてしまいそう」といった業務に入り、組織全体が円滑に回るように支えるイメージですね。例えば、経理はいるものの経営企画の役割が空いている状態で、そこを担うといったケースが多いです。今期の業績見通しや予算進捗を整理し、計画が超過しそうな場合にどう説明し、どう合意形成するかを考える。そうした判断を伴う数字まわりをまとめるサポートをしています。
また、資金繰りなど、「今このタイミングで確認しておかないと判断が遅れる」といったポイントを拾いにいくことにも関わっています。チームの中に明確な担当がいない領域だからこそ、自分が入って整理する。その瞬間に担当する人がいない仕事を受け持つのは楽しいですね。
少し前には、教育DX関連で活用できそうな国の補助金がないかをリサーチするなど、通常業務とは少し異なるテーマにも関わっていました。共通しているのは、「決まった仕事をこなす」というよりも、「今、誰がやるべきか決まっていないこと」を拾いにいくスタンスで動いている点ですね。
縛らないから、強い。未完成を楽しめる組織
──クロステック・マネジメントで感じている魅力を教えてください。
一番大きいのは、「気持ちはフルコミット」というポリシーが、きちんと体現されているところですね。クロステック・マネジメントは業務委託を前提とした組織で、時間的なフルコミットを求めるわけではありません。それぞれの関わり方は違っていても、みんなが本気で知恵を出し合い、一つのことに向き合っている実感があります。
そういう意味で、「気持ちはフルコミット」という言葉がしっくりくる文化だと感じています。たとえば、「わからない」「できない」を責める空気はありません。できる人が自然と前に出て引っ張り、「次は一緒にやろう」と声をかける。そうした関係性が当たり前にある。この循環がある組織は、とても強いと思います。
また、メンバー一人ひとりが自分なりの志を持ち、「今、自分にできることは何か」を常に考えている感覚があります。決められた業務をこなすというよりも、自分から仕事を見つけにいく。組織もガチガチに固めていない。そこがクロステック・マネジメントの強みであり、面白さだと感じています。メンバーが自走する文化を壊さないために、コーポレートとしては「ルールを作らない」という、ある意味で矛盾した挑戦をしています。ルールを作ればコーポレートとしての組織運営は楽になりますが、それが人の自走を奪ってしまうこともある。「守るためのルール」ではなく、「困ったときに参照できるガイドライン」を置く。極力、縛らないコーポレートをつくることが、今のカルチャーを残すためには必要だと思っていますし、個人的にもやりがいのある新しいチャレンジですね。
これまでの経験を活かして、未知な大きな仕事ができたら面白い。そう素直に思える環境が、ここにはあります。