【SP対談】成長の鍵は自立自走!日テレのデジタル戦略からClaN誕生までの秘話に迫る!
プロフィール
太田正仁/Ota Masahito
日本テレビ放送網株式会社 社長室 室次長
株式会社ClaN Entertainment 社外取締役
アックスエンターテインメント株式会社取締役、株式会社ウィークデー取締役を兼務。
メーカーSEなどを経て、株式会社リクルートにて住宅事業のインターネット化(現SUUMO)、モバイルポータル事業(R25式モバイル)立ち上げになどに従事。日本テレビにて日本初の番組無料配信事業立ち上げ、Hulu事業取得、ロジックロジック社とスキルアップビデオテクノロジー社を買収・合併し株式会社PLAY設立などに従事。現在は新規事業部門の責任者として10事業のマネジメントに携わる。
ClaN Entertainmentでは通年で協力いただける社員を募集しております!
今回はClaN設立当時の話をするのに欠かせない社外取締役の太田に、代表の大井がインタビューします!
ネット上では「なりたい自分」になれる
大井:まずはClaNと太田さんの関係性を教えてください。
太田:ClaNの事業がまだ日本テレビにあった頃に新規事業部門の部長をやっていて、ClaN立ち上げ初期の、人数が2~3人のときから見てきました。現在、ClaNでの肩書は社外取締役です。
大井:太田さんとの出会いは実は日本テレビに入社する前で、配信事業に興味があった内定者時代にHuluに訪問した時でした。
太田:当時、日本テレビとHuluのシステム開発プロジェクトと、兼務をしていましたね。
大井:私の中では日本テレビでデジタル戦略の核を担うという意味で、初めて自分のロールモデルに出会ったという印象がすごくありました。日本テレビにいながら放送外ビジネスができることの魅力を強く感じていましたね。
太田:転職してきてHuluを買収してから2~3年経ったところだったね。テレビ業界の中では珍しい働き方をしていたと思うよ。
大井:当時は新規事業部もなければ、ICT戦略本部という日本テレビの中でデジタルを推進していく部署もなかったですよね。
太田:インターネット事業局というネット系を扱う部門がある中で、日々の実務だけじゃなくて、次世代の日テレを支えていくような大きな仕組みを作ろうとICT戦略本部を立ち上げた感じですね。
大井:その後、入社後のギャップで色々と苦しみ、一度しかお会いしたことのなかった太田さんに連絡させてもらいました(笑)その時に、一回しかない人生なんだから自分の好きなようにやったらいいとアドバイスをもらい、少し拍子抜けしたところもありました(笑)。ただ良い意味で日本テレビらしくない点も含めて親近感が湧いたことを覚えています。
太田:そんなこともあったね(笑)
大井:その後日本テレビでVTuber事業を立ち上げますが、事業に対する最初の印象はいかがでしたか?
太田:昔アバターが出てきた時に、世界が変わるなと。持って生まれた現実の自分に影響されない全く違う自分になれるというのが、人の根本的欲求を突いているなと思った。DeNAさんとアバター関連の仕事をした時に、現実の自分ではない理想の自分になりたい人たちのリアリティを感じたんですよね。ビジネス的な観点でも、デジタル系のグッズはリアルな生産やロジまわりが不要なので、これは成立しやすいなと感じていました。VTuberはそういった人の根本的要求へのアプローチや解決する課題が全く一緒で、さらに進化した形だと考えてました。
大井:バーチャルなコンテンツをテーマにした事業に対してはポジティブだったのですね。
太田:これはベットするべきだと思いましたね。
成功の鍵は「決断力とスピード感」
大井:事業を立ち上げるまでは良かったものの、その後1~2年は拡大にかなり苦戦していました。その時期はどう思っていましたか?
太田:自分が元々考えていた世界観とは違って、タツノコプロとのコラボからスタートしたので、日本テレビとしてはじめるとキャラクタービジネス寄りになってしまうのかと多少残念に思っていました。ただ、そのやり方で結果が出なかった時に、大井たちが今までのやり方に固執せず、他のアプローチを真剣に考えていたので、打ち手は全部やってそれでダメなら引けばいいと考えていました。アイディアは沢山出ていたし。
大井:あの時はかなり追い込まれていましたからね(笑)その後新規事業部ができた事もあり、ClaN設立までの約1年半は太田さんが部長の部署で事業運営をしていましたが、その時はどう見ていましたか?
太田:引き継ぐまでは、新規事業なのに黒字化を要求しすぎてどの事業も小さくまとまっていて、これは根本的に変えなければと売上拡大の方針に変更しました。ただ、大井たちは必要と判断すれば、遠慮することなくコストをかけて挑戦していて、それが成功要因になっていると思います。キャラクタービジネスからV-Clanというプラットフォームのビジネスにシフトして、それをベースにイベントやBtoBtoCのビジネスに拡大していったのがすごく良かったと思うね。
大井:当の本人は、とにかく事業を継続させないとという思いで必死だったので、ここまで俯瞰で見れたことはなかったです(笑)
太田:新規事業って立ち上げ時のビジネスモデルに固執してしまうことが多い。事業はフレキシブルに変化しなければならないのに、違うことをやろうとすると「当初はこういう計画だったじゃないか」と色々なところから突っ込まれて、変えていくのに大きな負荷がかかる。大井たちはそこを厭わず進んでいった決断力やスピード感がすごく良かったと思います。
大井:普段中々褒められないので恥ずかしいですね(笑)会社にするという選択肢は、当時太田さんからみてどうでしたか?
太田:事業が自立自走できないうちからどうやってEXITするかという話になりがちなので、売上利益がちゃんと出るまではウチでみておこうと思ってました。ただ、事業がいきなり伸びて急に多くの人員が必要になった時に、日本テレビではフレキシブルな採用ができないから、分社化して採用権限を自分たちで持つしかないなと。
大井:成長スピードに合わせてフレキシブルな採用をしていくことは大きなポイントだったと思います。前例もほとんどない初めてのケースでしたが、設立にあたって裏話などありますか?
太田:やはり前例が非常に少ないことや、社長の若さなどから、社内でも一部不安視する声はあがっていましたね。ゼロイチで会社を立ち上げるのはものすごく大変な作業だし、会社設立に対する知識も、経験があるわけではなかったから浅かったし。別の会社の事業部門として独立させようという意見もありました。一方で、経験が浅くても若い人が社長になれるという事例は、日本テレビの企業価値アップに繋がるという話もあって、経験の浅さや若さが逆に推進力にもなりました。
遠慮のない、自立自走できるチームへ
大井:ClaNを設立してから半年以上が経ちましたが、カルチャーやそこで働く人など、今のClaNはどういう風に見えていますか?
太田:いい意味で遠慮のないチームだなと思います。日本テレビだと管理面がどうしても強くて色々なことに迎合しがちだけど、ClaNは迎合したり周囲を伺うよりも、こうすべきだと意志を持って進んでいく人が多い。
大井:そこは私も含めて、自分達が信じた道を進んでいくという意志が皆に強くあると思います。
太田:トップがいなくなっても成り立つ企業カラーを作ることが大切だよね。トップが代わっても、そこにいる人達のマインドや働き方のコアな部分が、脈々と続くような会社。その時その時のトップの方針で仕事をするのではなく、遠慮なく自分の意志をもって仕事をする人たちによって会社が成り立つ形がよいと思います。
大井:そういった会社に成長させるために、今後ClaNにはどんな人にジョインしてほしいですか?
太田:自立自走できる人。会社や上司の意向を見るのではなくて、世の中を見て仕事をする人。さらに言うと、世の中の上っ面で起きていることではなくて、起きていることの本質や、関わっている人たちの本当のニーズを見に行ける人に来ていただけるとありがたいですね。
大井:非常に共感しますし、採用でも重視している点です。またClaNに期待していることはありますか?
太田:親会社にぶら下がるのではなく、会社自体が意志を持って自立自走できるロールモデル的な会社になってほしいですね。日本テレビの良いところだけを吸収して、それ以外は自分達の意志で形を作っていってほしいと思います。
大井:一つのイメージですが、サイバーエージェントの子会社でありながら自立自走しているCygamesさんのような存在になっていけたらなとは思っています。また私自身に期待することはありますか?
太田:会社の文化を意識的に創っていって欲しいね。会社の文化を創るのは立上げた人たちの大きな役割。会社のカラーや方向性は口に出し続けていかないと中々浸透しないので、しつこく伝え続けることで、大井がいなくなっても脈々と続くような文化にしてほしいです。
大井:意外と、自分が思っている以上に伝わっていないものですもんね。
太田:あとは人を大切にしてほしいです。会社の一番の肝は人だから。会社の勢いがいい時は人が集まる。でも「この人たちと一緒にやりたいんだ」というような、お金とか地位とか目に見えるものではないところで繋がりが持てないと、会社が厳しい時にバラバラっと人が離れていってしまう。人材を駒だと思うようなトップでは強固な組織はできない。自立自走する個々の人が会社そのものを形成するような集団になって欲しいと思います。