「ブレインフィットネスと就労移行支援を組み合わせることで精神障害のある方の職場定着率という社会課題を解決できるかも。」ニューロリワーク(旧ニューロワークス)の開設を振り返りながらそう語るのは、インクルード株式会社代表の尾崎社長。
今回は尾崎社長に、ニューロリワーク開設の背景についてお話を伺いました。
代表取締役社長 尾崎浩一
2017年11月インクルード株式会社(旧 株式会社イノベイジ)入社。2018年4月ニューロリワーク(旧 ニューロワークス)を開所。事業部長、取締役を経て2021年10月に代表取締役社長に就任。
ーー早速ですが、ニューロリワーク(旧ニューロワークス)の開設にいたった背景を教えてください。
大学卒業後、アパレルショップでの勤務を経て、就労移行支援事業を行う企業に勤務していました。
そこで経験を積む中で、能力や経験があるにもかかわらず、精神疾患によって活躍できない方が多いことは社会にとって大きな損失であると感じていました。
実際、精神障害のある方の職場定着率は低く、1年で約半数(※)が離職してしまうという現状があります。その原因の一つとして「症状の再発」が挙げられます。当時から「どうすれば再発を防げるのか?」と常に考えていました。
そんな中、自分が担当していた方が就労後、早期に離職してしまったことを知りました。生活習慣の乱れから体調が徐々に悪化し、最終的に退職に至ったそうです。その方はスキルも経験も十分で、人柄も魅力的でした。長く活躍されると思っていたので、退職の話を伺ったときはとても残念でした。
と同時に、再発を繰り返さないためには就労スキルの学習だけでなく、心身の健康を整えるスキルを身に付けることが不可欠なのではないかと考えるようになりました。
そこで方法を模索していたところ、インクルード(当時は株式会社イノベイジ)の「ブレインフィットネス」というサービスに出会いました。
※障害者の就業状況等に関する調査研究 (調査研究報告書No.137)
ーー当時イノベイジは認知機能の維持・改善や脳疲労の解消を目的とした脳トレーニングジム「ブレインフィットネス」を運営していました。なぜこのサービスに注目されたのですか?
確かに、脳トレーニングジム「ブレインフィットネス」は障害のある方を対象としたサービスではありませんでしたが、プログラムの内容に目が留まりました。
「ブレインフィットネス」で提供されているプログラムは、東北大学との共同研究や、医師・管理栄養士等の監修を受けて開発された科学的根拠に基づくもので、食事や睡眠、運動、ストレスケアなどの領域から脳と身体の健康に良い生活習慣を身に付けていただくものでした。それを障害のある方にも活かせるのではないかと考えました。
そこでブレインフィットネスという言葉について調べていくと、すでに海外では精神疾患や発達障害の方を対象としたサービスが展開されていることも分かり、「ブレインフィットネスと就労移行支援を組みわせることで精神障害のある方の職場定着率という社会課題を解決できるかも」とピンときました。
そして面接の場で、当時の代表に事業の立ち上げを提案しました。
脳トレーニングジム「ブレインフィットネス」
ーーすぐに入社が決まり、入社後半年足らずで1店舗目を開所されたのですね。
そうですね。入社後は目まぐるしい日々でした(笑)事業所になる物件探し、指定申請などの事務作業、スタッフの採用活動、プログラムの開発などなど…やることが盛りだくさんで、正直かなり大変でしたが、楽しかったです(笑)当時はほとんどの業務を私一人で担っていたので、1分1秒がとても貴重な時間でしたね。
それでも採用面接のときに「ブレインフィットネスを取り入れた事業所の開設」に共感して応募してくださる方が多くいらっしゃり、この事業の可能性を感じました。
採用は順調に進み、非常に優秀なメンバーたちがオープニングスタッフとして加わってくれたので、より一層気持ちが高まりました。
オープニングスタッフの一人として採用された山川さん
ーー実際に事業所をオープンして、どのような気づきがありましたか?
開所してみると、以前働いていた就労移行支援事業所と比べて休職中の方からの利用希望が多く、「リワーク(※)におけるニーズが高い」ということに気が付きました。
リワークの方は就労スキルの学習より、セルフケアの方法を学んだり、再発予防策の立案などを必要とされる方が多いので、「心身の健康を整える方法を身に付ける」という点に力を入れている弊社のサービスがよりマッチしたのだと思います。
そこでリワーク事業への本格的な参入も進めていきました。そちらについては山川さんが詳しくお話ししてくれますので、楽しみにしていてください。
※リワーク…職場復帰(return to work)のことで、主にメンタルヘルスの不調により仕事を休職中の労働者が円滑に職場復帰をするための支援プログラムのことです。医療機関や就労支援機関の運営する施設に決まった時間に通所し、通勤訓練や職業能力回復訓練、体力回復のための運動訓練、再び休職してしまうことを避けるための再発予防プログラムを受けることができます。