こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
このnoteでは、起業を志してベンチャー企業に新卒入社したのに、結局17年も所属してしまった結果、38歳6ヶ月にしてやっと起業した人間のヒューマンストーリーという名のポエムブログを書いています。
7月は、改めて「経営者の時間の使い方」について考えさせられる月でした。最近、経営者の方々の発信を見ていると、AIを前提とした新しい時代の働き方に、アジャストしていかなければならないのだと強く感じます。
そこで今回は、「1万時間の法則」を信じてきた僕が、AI時代のゲームルールにどう向き合うのか。そして、効率化が進む時代にあえて人を採用する意味について振り返ってみたいと思います。
目次
1万時間によって作られた土台
「1万時間の法則」とは、ある分野で一流になるには、約1万時間の学習や実践が必要だという考え方です。
僕はこれまで、この法則を念頭に置いて仕事に取り組んできました。人生を振り返ってみても、各フェーズの仕事にそれだけの時間を費やしたからこそ、一定の成果を残すことができたし、それによって信頼を得てきたという自負もあります。
たとえば、20代前半は営業として働きまくりました。大手企業に入社した人が新入社員研修を受けている頃には、既にものすごい数のお客様とコミュニケーションをとっていたほどです。人事になってからは、社員との面談や候補者との面接を重ねました。ここでも、ものすごい数の人とコミュニケーションをとりました。
こうした経験が自分の土台になっているからこそ、僕は今も「1万時間の法則」を重要視しています。
AI時代に変わる1万時間の意味
僕は一貫して人事の仕事をしてきましたが、前職では人材紹介をやっていたわけではありません。だからこそ、シンシア・ハートを起業して人材紹介モデルを作ろうと決めたとき、まずは自分自身が人材紹介に1万時間を投下しようと考えました。
1日8時間働くとすれば、1万時間をこなすためにはおよそ3年かかります。ひたすら自分で量をこなすところから始めて、およそ2年半が経ちました。あと半年くらいは、このまま続けようと思っています。
一方で、この7月は「このままでは良くない」ということも同時に感じました。AIが登場して、ゲームルールが変わったからです。他の経営者のアウトプットを見ても、ノウハウの獲得だけに時間をかけるより、AIをいかに使いこなすかが重要になってきていると実感しています。
特に、優秀な人ほど、今ある仕事にAIをどう活用するかではなく、次の一手を探すためにAIと壁打ちをしている印象があります。剣道の素振りのように、ひたすらそれを繰り返す中で、クリティカルなものを掴むイメージです。
もちろん、僕はこれまでかけてきた時間によって得られたノウハウをオペレーションに組み込み、サービスとして提供してきたので、それ自体が無駄だったとは思っていません。しかし、新しいゲームルールにまだアジャストできていない自分がいることも、まざまざと感じました。
生産性だけでは拾えないもの
AIの有用性を実感した一方で、こんな時代であっても、人を採用することから逃げてはいけないとも改めて思いました。
当社では、組織としての固定費がかかり始める前にAIが出てきてくれました。また、トップラインを伸ばすために、ガンガン人を採用するモデルにはしたくなかったという思いもあったので、立ち上げ当初から生産性を意識して経営してこられたと思っています。
ただ、最近になって、AIが活躍しやすいのは、ある程度、事業の型ができている会社なのだと感じています。僕たちのように、やっていることがすべて新規事業のような会社では、「これをやればいい」ということが決まっているわけではなく、臨機応変な思考が重要だからです。
例えるならば、「間に落ちるボールをいかに拾うか」というイメージです。そういうタイミングである以上、どうしても人の力は必要なのだと思います。
効率化の盲点
改めて人を採用することの大切さを考えたときに、頭に浮かんだのは「業務委託の方に期待を持ちすぎてしまった」という反省でした。
もともと僕は、基盤となるオペレーションを整えた後は、業務委託の方に仕事をお任せするのが最も効率的な体制だと思っていたんです。しかし、実際には、事業を進めながらオペレーションを構築し直していくことが必要でした。会社やチームの形は、その中で得られる気づきや学びを一人ひとりが吸収して出来上がっていくんですよね。
その点、業務委託の方は、委託された業務のプロフェッショナルであって、組織づくりという長期的なビジョンに対してコミットする役割ではありません。
僕は経営者なので、自分が採用や人事の制度づくりを業務委託で依頼されれば、クライアントの業績やビジョンといった部分まで踏み込みます。ついこうした自分の感覚を普通だと考えてしまったために、「業務委託の方と社員は同じ存在ではない」という当たり前のことを見落としていました。
企業フェーズと採用のミスマッチ
もう一つの反省は、自社のフェーズを考えることなく採用を進めてしまったことです。
同じ業務委託の方でも、0→1のカオスの中で輝く人と、ある程度整った環境の中で1→10に伸ばすことが得意な人は違います。また、本人の「好き」と「適性」も違います。
本人が前向きに取り組もうとしてくれていたとしても、今の会社のフェーズと噛み合わなければ、どうにもならない部分もあるんですよね。
今までたくさんの採用に携わってきたにもかかわらず、自社の採用ではこんなミスをしてしまうのかと、かなり反省しています。
矛盾を受け止める器
今、僕は、かつて誰かから聞いた「役職や立場が上がるということは、いかに矛盾を受け入れるかだ」という言葉を思い出しています。
一般メンバーでいるうちはミッションが限定的です。そのミッションを頑張ればいいという、非常にわかりやすい仕組みですね。
ところが、役職が上がると、そうはいきません。片方の手では短期目標を目指し、もう一方の手では長期目標を見据える。片方の目で経営を睨み、もう一方の目で現場を見るといったことが必要になってきます。
前職で人事の管理職を務めていたときも、経営陣が「採用が一丁目一番地で、最も重要だ」と言っているにも関わらず、現場からは「急な商談入ったから、採用面接はリスケで」と言われるようなケースが多々ありました。
こうした矛盾に、多くの管理職は苦しめられます。ですが、二枚舌を使ってどちらにもいい顔をしたり、どちらか一方を選ぼうとしたりするのはナンセンスです。
大事なのは、その矛盾をまるごと受け止めることです。そうしているうちに、自分の器の直径は少しずつ広がっていきます。それができる管理職や経営者ほど成長していけるのだと、僕は捉えています。
SNSと現実の乖離
もう一つ、AIをめぐる発信を見ていて感じていることがあります。
最近、SNS上には「AIでコスト削減」「人の仕事はAIで代替できる」と謳う投稿があふれています。しかし、今後、いかにAIが「作る」「整える」「考える」といったことをできるようになっても、コミュニケーションをとることは、人にしかできないものとして残るはずです。
だからこそ、こうした投稿がバズっている裏で、優秀な経営者たちは、この時代に捕まえるべき人材を、ちゃんと捕まえにいっているんです。そんな会社が、これからの時代を勝ち抜いていけるのだと思います。
また、Claude CodeなどのAIツールでアプリを量産して、「すごい儲けられそうじゃん」「余裕で億ぐらい稼げるんじゃ?」なんて言っている人も見かけます。
でも、AIで形だけを作っても、顧客インサイトを掴めていなければ、結局サービスは伸びません。ペルソナの奥には、一人ひとりの人間がいて、それぞれが人間ならではの欲望を持っています。そこに届かないものをAIでいくら作っても、事業として形にはならないんですよね。ここ数年、自社のプロダクト開発に向き合う中で、改めてそう感じています。
今月のまとめ:矛盾を抱きしめて進む
1万時間を費やしつつ、AIで効率化を進めること。業務委託の方に仕事を任せつつ、自社の今のフェーズに必要な人を、正社員として採用すること。7月に考えたこれらの悩みも、経営者の抱える矛盾なのかもしれません。
正直、「未熟やわ、自分は」と思うこともあります。ただ、いろいろな経験をしながら、少しずつ気づけることも増えてきました。
このAI時代でも、1万時間をかけるからこそ見えてくるものは、やはりあると思います。そして、AIや業務委託の方の力を得ながらも、人にしかできないことをしっかりとやる。その中で生じる矛盾も抱きしめながら、これからも進んでいきたいと思います。
メンバーを募集しています
当社では、引き続きメンバーを募集しています。COO候補をはじめ、キャリアアドバイザーや求人ライターなど、さまざまなポジションがあり、副業やフルリモートといった働き方も選べます。
まずは業務委託という形からスタートすることもできますので、当社のビジョンや、僕自身の生き方、思いに少しでも共感してくださる方がいらっしゃったら、以下のWantedlyからお気軽にご連絡ください。Wantedlyに掲載している以外にも、協力いただきたい業務はたくさんありますので、まずはカジュアルにお話ししましょう。ご連絡をお待ちしています。