誰もが働きやすい職場へ!ナリコマの考える「ダイバーシティ」とは|ダイバーシティ推進室 室長 櫻井 香織
食事を通して人々に生きる喜びを届けるべく、高齢者福祉施設や医療機関向けに食事サービスを提供する、株式会社ナリコマホールディングス(以下、ナリコマ)。大阪府大阪市に本社を構え、関西を中心に成長を続けています。2025年春からは東京拠点にも力を入れ、全国にサービスを拡大しています。
今回は、コーポレート本部 ダイバーシティ推進室 室長の櫻井 香織がナリコマの「ダイバーシティ」について語ります。
ダイバーシティ推進室は2017年の発足以来、女性活躍推進を皮切りに、全従業員が力を最大限に発揮できる環境づくりに取り組んでいます。
そんなダイバーシティ推進室が進める取り組み、その難しさ、そして目指す未来について、詳しくお話させていただきます。
ナリコマの考える「ダイバーシティ」とは![]()
突然ですが、皆さんが考える「ダイバーシティ」とはどのようなものでしょうか。
一般的に「ダイバーシティ」というと、女性活躍や何かしらの制約がある人に目が向きがちです。しかし、私たちはそれだけではいけないと思っています。
もちろん、制約のある人が働きやすい環境を整える必要はあります。一方で、そうでない人にとっても、より働きやすい環境をつくることが大事です。
つまり、ダイバーシティ推進は「従業員全員が、それぞれが持つ力を発揮してもらうための取り組み」だと私たちは考えています。
本音を言えば、私は「ダイバーシティ推進」という言葉自体、いつかなくなればいい、と思っています。わざわざ「ダイバーシティを推進しましょう」と言わなくても、誰もが尊重され、力を発揮できる社会であってほしいと思うからです。
現在は「ダイバーシティ推進室」という名前の部署として存在していますが、「ダイバーシティを推進する」という役割や言葉は、いずれ特別なものではなくなり、自然に組織の中に根づいていく。そんな状態になるのが理想ですね。
ダイバーシティ推進室の発足、そして女性管理職育成のためのプロジェクト始動![]()
ダイバーシティ推進室は、ナリコマの考える「ダイバーシティ」の実現を目指し、2017年に発足しました。
発足のきっかけは、会長の竹内が「当社の会議の参加者は、ほとんど男性社員しかいない。なぜ女性社員がいないのか?」と違和感を抱いたこと。この違和感をきっかけに、ダイバーシティ推進室が立ち上がり、「ナリコマグループ全体の文化醸成」を担っています。
発足後、様々な取り組みを行ってきた当室ですが、2023年時点では社員の約55%が女性であるにもかかわらず、女性管理職はわずか13%程度にとどまっていました。
そこで、当時はまだまだ進んでいなかった女性の管理職育成へ向け、女性がなりたい姿に挑戦できる環境の実現を目指し、「WWOO!(ウー・Woman + Window of Opportunity(機会の窓))プロジェクト」というプロジェクトを立ち上げました。
このプロジェクトで最初に行ったのが、「女性社員へのヒアリング」です。
私たちは全国の拠点を回り、女性社員にヒアリングを実施。すると、女性社員たちが管理職になることをためらう3つの理由が見えてきました。
一つ目は、「管理職への固定観念」です。
多くの女性社員が「管理職は強い力で人を引っ張っていく人物でなければならない」「リーダーは完璧でなければならない」というこれまでのリーダー像のイメージを持っていました。そして、「そんな人物には自分はなれない、できない...」と感じていたのでした。これは「インポスターシンドローム」と言われ、女性に多く見られる「自分への自信のなさ」につながる点かもしれません。
そして二つ目が、「プライベートとの両立不安」。さらに三つ目が、「管理職は何をしているか分からない」というように、「管理職の役割が不明確なこと」でした。
女性社員向け「管理職育成プログラム」の実施
ヒアリング後、WWOO!プロジェクトの一環として、「女性管理職育成プログラム」という研修を実施しました。
その結果、これまで自信がなく「リーダーなんてできない」と言っていた女性社員たちも、「私にできる形でやればいい」「自分らしいリーダーを目指す」という姿勢に変わり、当初ヒアリングで多く聞かれたリーダーに対する固定観念が薄れていることを強く感じました。
さらに、自ら「管理職になりたい」という女性社員も出てきました。実際に管理職へ昇進する女性社員の数は増えてきており、良い変化が見られるようになっています。
このように、この3年間の取り組みで、女性社員が管理職に挑戦する土壌が少しずつ整ってきたと感じています。
なお、ダイバーシティ推進室が研修を実施する際に意識していることは、「部門を超えたコミュニケーションの活性化」です。
普段、接することの少ない他部門の社員とディスカッションすることで、多様な意見や視点に触れ、視野が広がる。それにより、よりよい改善案やこれまでにないアイディアが生まれるきっかけになればと思っています。
さらに今後は、社外の方との交流の場を増やし、会社を飛び出した視点を知る機会もつくっていきたいですね。
「無意識の思い込み」に気づく
誰もが力を発揮できる環境づくりをしていくうえで大切なのが、「アンコンシャスバイアス」、つまり「無意識の思い込み」について、知る・気づく・意識することです。
例えば、ジェンダーについて。一昔前の日本では、「夫が外で働き、妻は家で家事や育児をする」というように、性別によって役割を分ける考え方が当たり前のようにありました。
しかし昨今は、共働きの家庭が多い社会。結婚や出産後も、多くの女性が働き続けています。それにもかかわらず、「男性だからこう」「女性だからこう」と無意識に決めつけてしまうことが、今なおあるように思います。
問題なのは、その思い込みによって「その人の成長機会が失われてしまうこと」。
例えば、子育て中の女性社員に対して、上司が「子どもがまだ小さいから大変だろう」と思い、負担の重い仕事を任せないようにしているとします。
この場合、上司としてはこの社員を気遣い、よかれと思って「負担の重い仕事はさせないようにしよう」と判断しているのでしょう。しかし、社員本人は本当にそれを望んでいるのかはわかりません。もしかすると、「どちらも全力で頑張りたい」と思っているかもしれないですよね。
こうした無意識の思い込みによって、従業員が本来得られるはずの成長の機会が失われてしまうのは、とてももったいないことです。
だからこそ、「男性だから」「女性だから」と決めつけてはいけない。まずは本人に聞くことが大切です。
このような無意識の思い込みは、ジェンダーに対してだけの話ではありません。外国人や年齢など、様々な思い込みが存在します。
当室では、『「アンコンシャス・バイアス」に気づき、「押しつけない・決めつけない」』という意識を、社内全体に広げているところです。まずは経営層がその重要性をしっかり理解し、ポジションや役割を超えてフラットに「対話」することが大切です。実際に、経営層と従業員が対話する場をつくろうと動き出しています。
そして、管理職層やリーダー層、さらには一般社員層やパート職員まで、すべての層にこの意識を浸透させていきたいですね。
ダイバーシティ推進は企業成長につながる![]()
そもそも当社の根底には、会長の「人を大切にしたい」という強い想いがあります。その想いや文化は、私自身入社時からとても素敵だと思っています。そして、今もなお大切に受け継がれていると感じます。
そうした文化があるからこそ、当室は従業員一人ひとりを大切にし、個々の成長も大切にしたいと考えています。
そして、従業員それぞれが、自分のありたい姿、ライフイベントも含めたキャリアを描き、自己成長・自己実現することで、結果として企業の成長につながっていくのではないでしょうか。
ただし、ダイバーシティ推進は、売上のようにすぐに結果が見えるものではありません。どちらかというと、成果が目に見えにくい取り組みです。
多様な価値観や様々なバックグラウンドを持つからこそ、複雑であり成果が出るまでに時間がかかります。それでも私は、「ダイバーシティ推進を続けることで、企業成長につながる」と信じています。従業員それぞれが持つ力を発揮できれば、それは間違いなく企業の財産となります。
そうした意味で、ダイバーシティ推進は経営にもつながる取り組みなのです。
大切な軸を守りながら、変わらないために変えていく。良いところは残し、これからさらに成長していくために変えていく。
そうした役割を、これからもダイバーシティ推進室が果たしていきます。