ミャンマー、ベトナム、マレーシア、インドネシア——アジアを中心にプロダクトのグローバル展開に携わってきたプロダクトマネージャーの渡邊さん。新卒から一貫して海外を舞台にキャリアを築いてきました。そんな渡邊さんが、なぜパートナープロップを選び、世界No.1 SaaSという目標に挑むのか。グローバル展開の最前線で得た学びと、これから描くビジョンについて語っていただきました。
新卒でミャンマーのHR企業にクリエイティブディレクターとして入社。ブランディングや新規事業の立ち上げ・推進を担当。その後、複数のスタートアップ企業を経て、株式会社ギフティの海外事業プロダクトマネージャー(PdM)として、アジア領域でのプロダクト展開や、ベトナム開発拠点の立ち上げ・推進を担当。2025年よりPdMとしてパートナープロップに参画し、既存プロダクト開発や新規事業の推進。
X:https://x.com/nabetaro_san
キャリアの原点:海外でのキャリアスタート
—まず、渡邊さんのこれまでのご経歴を教えてください。
大学卒業後、ミャンマーに渡り現地のHR企業でクリエイティブディレクターとして、ブランディングやデザイナーと企業のマッチング事業の立ち上げに携わりました。
その後、コロナ禍とミャンマー国内で発生した軍事クーデターの影響で事業撤退を余儀なくされ帰国しました。
帰国後は、株式会社カミナシにプロダクトマネージャーとして、製造業向けバーティカルSaaSの開発などに従事しました。
その後ベトナムへ移住し「海外市場で日本発のプロダクトを伸ばしたい」という思いから、株式会社ギフティにプロダクトマネージャーとして入社しました。
現地法人の初期メンバーとしてベトナム開発拠点の立ち上げから関わり、エンジニア採用やベトナム人チームのマネジメントを担いながら、マレーシア・インドネシア・ベトナムの各市場向けプロダクト開発を推進しました。
こうした経験を経て「グローバル展開をゼロイチから挑戦したい」という思いから、現在はパートナープロップ株式会社にプロダクトマネージャーとして入社し、グローバル展開を見据えてプロダクト開発に取り組んでいます。
—なぜ新卒でミャンマーの会社を選択されたのですか?
学生時代にアメリカやフィリピンに留学した経験から、「海外で働きたい」という思いを持っていました。就職活動を始めた際、日本の会社に就職するかを迷っていたタイミングで、たまたまミャンマーの求人と出会いました。当時ミャンマーについてほとんど知らなかったのですが、文化、ビジネス環境など未知の要素が多いほど、自分自身の成長機会も大きいはずだと考え、入社を決断しました。
グローバル展開への興味が芽生えた転機
—これまで海外のスタートアップで働いてこられた中で、グローバル展開をどのように進めてこられましたか?
まずは徹底した現地理解です。単にネット上やAIで情報収集するだけでなく、その国の歴史や文化などを現地の人との触れ合いを通して深く理解することを意識してきました。いわゆるフィールドワークと呼ばれるリサーチ手法です。
例えば、現地の人と同じものを食べ、同じ場所で生活し、同じサービスを利用したりなど、現地の人と同じ体験をすることを意識しました。現地の人になりきることで、商習慣を理解し「どのような戦略やロードマップで、この市場で拡大できるか」を考えていきました。
これはマインドセットに近い話かもしれませんが、日本で成功をおさめた多くのIT企業は、日本で通用したモデルをそのままグローバル展開に持ち込もうとします。しかし、海外市場は日本とは全く異なります。だからこそ、現地に合わせてローカライズする戦略が何より重要だと考えています。
—グローバル展開を進める中で、特に印象に残っているエピソードはありますか?
ベトナムで開発拠点を立ち上げていた頃、グローバル企業がインドに巨大な開発組織を驚くほどのスピードで築き上げていくのを目の当たりにしました。年間100名以上のエンジニアを採用し、圧倒的な開発力で、競合優位性を確立していました。私たちが初の立ち上げで慎重に体制を整えていた間に、彼らはまったく別次元のスケールで動いていたことに衝撃を受けました。
グローバル展開においては、ローカライズが不可欠です。しかしローカライズを進めようとすると、当然ながら高い開発力を持つ現地企業との競争に直面します。そこで重要になるのは、単に現地に人員を置くことではなく、グローバル企業としてどう戦うかという戦略をきちんと持つことだと感じました。
さらに今、AIによって世界全体の開発スピードが急激に上がっています。機能を作り込むだけでは差別化が難しくなってきており、どの市場に、どんな切り口で入り、どう体験を設計するか、といった戦略そのものの質が問われています。開発力の格差は今後さらに縮まっていくかもしれませんが、だからこそプロダクト戦略の重要性はむしろ増していくと考えています。
お酒を片手に楽しむ渡邊さん
パートナープロップのグローバル展開の可能性
—グローバル展開は難しいと言われていますが、パートナープロップはグローバルでも戦えるとお考えですか?
可能性は十分にあると考えています。パートナービジネスは、多くの企業にとって成長戦略の重要な選択肢の一つであり、それを支援するPRMへの需要は世界中にあると考えています。
ただし、パートナービジネスの成熟度や商習慣は地域によって大きく異なります。すでに体系的な仕組みを持つ企業が多い市場もあれば、まだその概念自体が浸透していない市場もある。そうした違いを踏まえずに参入しても、なかなか刺さらないと思っています。
だからこそ、「どの市場のどんなパートナービジネスの課題を解くのか」を丁寧に見極めることが先決です。答えはまだ出ていませんが、正しく問いを立てられれば、グローバルでも十分に戦えると考えています。
—グローバル展開を成功させる上で、重要なポイントは何だとお考えですか?
これまでの経験から、重要なポイントは2つあると考えています。
1つ目は、問いを立て続けることです。
グローバル展開で難しいのは、「自分たちが何を知らないか」を知ることだと思っています。日本人が日本市場を深く理解するのでさえ難しいのに、海外となればその難易度は桁違いです。文化・商習慣・競争環境・顧客の意思決定構造、あらゆるものが異なります。そうした環境の中で、現地の情報をハングリーにキャッチアップしながら、問いを繰り返し立て直していくことが不可欠です。
ここで陥りがちな落とし穴が、特定の人物の感覚に依存してしまうことです。重要なのは、チームとして問いを共有し、複数の視点から仮説を検証し、ロジカルに議論できる仕組みを組織の中に埋め込むことです。問いを立てる力を個人ではなく組織の能力にしていく、それがグローバルで戦い続けるための土台になると考えています。
2つ目は、競争より「共創」で市場に入ることです。
グローバル展開というと、自社プロダクトをそのまま持ち込んで市場を開拓するイメージを持ちがちです。しかし現実には、すでに日本より成熟した市場や、強力な現地競合が根を張っている領域は少なくありません。そうした環境で真正面から戦おうとすれば、リソースを大量に消耗するだけで終わるリスクもある。
むしろ重要なのは、現地のネットワークや顧客基盤、信頼関係といったアセットをすでに持っているプレイヤーと協業することで、競争を迂回しながら市場に入っていく戦略です。
代理店を通じた間接販売、現地企業とのアライアンス、M&Aによる一気の参入など、形はさまざまあります。どの形が最適かは市場の成熟度や競争環境によって異なりますが、共通しているのは「自分たちが持っていないものを持っている相手を見つけ、一緒に市場を作る」という発想です。グローバル展開を自前主義で完結させようとするのではなく、現地の力を借りながら登っていく戦略が、特にスタートアップ企業には現実的だと考えています。
夕日を見ながら語り合う渡邊さん
—最後に、これから一緒に働く方へメッセージをお願いします。
最初から世界を市場として見据えた上で事業を作っているスタートアップの初期フェーズに関われるというのは、なかなかない機会だと思っています。
不確実性が高い中で、自分たちの意思決定が事業そのものを作っていく。私たちはその先に、本気で世界No.1を目指しています。日本のIT企業がグローバル市場で存在感を示した事例はまだ少なく、その挑戦の最初期から携われることは、キャリアにとっても非常に貴重な経験になるはずです。