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Xデザイン学校ベーシック受講記録総まとめ 〜サービスデザインのHow〜

2年前にXデザイン学校でUXデザイン・サービスデザインを学んだので、その時に学んだことを中心に、最近の気づきも加えながら、サービスデザインのステップについて書いてみようと思います。

サービスデザインのステップ
<STEP1>企業の変革の方向性を掴む
<STEP2>ユーザーの購買欲求の変化を発見する
<STEP3>ユーザーを可視化する
<STEP4>ビジネス(サービス)を構想する
<STEP5>新たに生まれた欲求実現シナリオを設計する
<STEP6>STEP1〜5を繰り返す

それぞれのステップでのポイントを考察していきます。

<STEP1>企業の変革の方向性を掴む

■実施の流れ
0.クライアントの既存市場の調査
1.ビジネスインタビュー
2.ビジネスモデルキャンバス作成
■ポイント
・既存のアセットを正と負に分ける
・「これは負のアセットだ」と言い切る大局観を持つ

STEP1でのポイントは、クライアントの既存のアセットを正と負に分けることです。

ただそれはそう簡単なものではなく、「このアセットは負だ」と言い切れるということは、「このクライアントはこのままでは10年後には立ち行かなくなる」と言い切れるレベルで、クライアントの主戦場である市場がゲームチェンジしていることを理解していなくてはならない。

そのためには、大局的に、長期的な視野で物事が見れていないと難しいことだと思います。なので、前提として、視座高く、視野広く、考える力が必要になります。

0.クライアントの既存市場の調査
ビジネスインタビューで的確な情報を引き出すには、ある程度、既存市場への理解が必要になります。少なくとも、既存市場の市場規模、推移、顧客ニーズ、競合、トレンドくらいは理解しておいた方がいい。その上で、多少なりとも仮説を持って、深くインタビューができる準備は必要です。

1.ビジネスインタビュー
その上で、ビジネスインタビューに臨みます。
ただ、今振り返ってみると、ネットでもわかるような情報を引き出しても意味がない。クライアントにとっても時間の無駄。なので、ネットでわかる情報から、ある程度ビジネスモデルキャンバスを作成して、クライアントや市場への理解を深めて上で、インタビュー項目を絞り込み、深く聞ける準備を行います。

仮説も複数持ち、仮説をぶつけてみることも有効だと考えます。
そうすると、インタビューで理解したい内容としては、

・クライアントのビジョンやこだわり、信念
 →繰り返し語られる言葉に宿っていそう。
・ビジネスモデルキャンバスを完成させる上での不足情報
・準備した仮説の検証

そんなことが必要なのかなと思います。

さらに自社のサービスデザインに取り組む中で感じたことは、「こだわり」「信念」を言語化する難しさ。ここは社長1人で考えても、すっきりする言葉を発見するのはなかなか難しい。サービスデザイナーやコピーライターと相互編集することで、よりしっくりする言葉を見つけられます。

2.ビジネスモデルキャンバス作成(as is & to be)
ここでas isのビジネスモデルキャンバスを書く目的は「クライアントのビジネスの本質を掴む」ため。書くことで、その企業のビジネスの流れが掴め、現在どんな価値を提供することで市場で勝ち残ってきているのか、どんなアセットが日々蓄積されてきているのかを理解できるようになります。

その上で、to be(あるべき姿)に向けた、ビジネスモデルキャンバスを描いていく。

ここはひとまず大きく妄想を描いていくことが大事なんじゃないかと思う。いま行き詰まって変革できていない企業に対し、演繹的・分析的なアプローチでは構想できない。まずは大きく仮説を描くことが大事で、3,4つくらいのビジネスモデルキャンバスを描いて、変革の方向性だけでも掴めると良いのかなと思います。

ここまでできて、次にユーザー調査に移っていく、そんな流れかなと思います。

<STEP2>ユーザーの購買欲求の変化を発見する

STEP1では、企業側の視点でビジネスの方向性を探りました。
STEP2では、顧客側の視点でビジネスの方向性を探っていくステージになります。

ここが自分でできるようになりたいと思ったこともXデザイン学校に通う目的の1つだったので、ここは深く考えてみました。

■実施の流れ
3.定性調査でユーザー動向の情報収集
4.情報分析で新たな着眼を得る
5.インサイトの発見
■ポイント
・キーワードは「広く、その後、深く」
・まず、場のルールを掴む。
・場のルールの仮説を立てると、違和感のあるユーザーの行動に目がいくようになる。そこをエスノグラフィックインタビュー、デプスインタビューで理解を深め、ルールへの理解を深める。

3.定性調査でユーザー動向の情報収集
定性調査の方法は、以下3つ。
・参与観察(エスノグラフィ)
・行動観察(フィールドワーク)
・インタビュー(グループ、デプスなど)

参与観察もいつかやってみたいですが、まだ未経験なので割愛します。

行動観察の流れ
① 場のルールを掴む
② 違和感に問いを立て、インタビューを行う
③ 違和感を解消し、ルールの理解を深める

「場のルールを掴む」とは、その場のルールの全体像を掴むことであり、繰り返し取られているユーザーの行動を掴むこと。それを掴むためには、個々の行動に注目し過ぎないことが大事です。

俯瞰的にユーザーの行動を見ながら、自分のフィルターを通さずに、あるがままに見る。そのためには、まず慣れないうちは、とにかく勝手な解釈を入れずに、事実情報をできる限り多く集めることが重要だと思います。

少し慣れてきて、場のルールが掴めるようになってくると、そのルールからは外れているように見えるユーザーの行為に問いが立つようになるはず。そうすれば、その人にインタビューで深掘りする。そうすることで、より場のルールへの理解が深まっていくと考えています。

4.情報分析で新たな着眼を得る
5.インサイトの発見

情報分析の手法
・KA法
・価値マップ
・パターン・ランゲージ
・上位下位関係分析

次の段階は、フィールドワークやインタビューで得た一次情報を元に、分析を進めていくステージになります。

分析手法は様々ご紹介いただきましたが、この分析手法を使う過程で重要なことは、

・概念化
・二軸四方(新たな切り口を見つける)
・カテゴリ分けではなく、価値でグルーピングする
・とにかく手を動かしながら考える

です。

この中で、最近特に意識していることは「とにかく手を動かしながら考える」姿勢です。一度、考えていることを何かに表してみる。付箋に落とすのもいいし、絵や図解をしてもいい。いまのベストは、miroで付箋に落としてから、後で構造化することです。

つまり、

自分の思考プロセスの中にデザイン思考を習慣化させることが重要

じゃないかと思いました。

また、これは普段やっている研修の受講生への行動観察でも言えることですが、概念化した後にもう一度現場に行って例外を探すといいです。概念化した考察が正確に表せていれば特に矛盾なく行動が起きると思いますが、もし例外があれば、概念化した考察をさらに深めるチャンスです。

その時に、せっかく分析したのに、、とならないように、いつでも現場から学ぶ姿勢を忘れないことが大事です。常にブラッシュアップすることを恐れないことが、サービスデザイナー、UXデザイナーに求められる姿勢ですね。

<STEP3>ユーザーを可視化する

■実施の流れ
6.ペルソナ作成
■ポイント
・構造化シナリオのためにペルソナをつくる

ここでは<STEP2>の分析を用いて、ペルソナを明確化します。ペルソナを明確にする目的は、<STEP5>のシナリオの中を、この人物像が動いた時に、おかしなところがないかを確認するため。だとすると、<STEP5>での検証において使えるレベルの情報が必要となります。

なので、<STEP5>を意識して、ペルソナの粒度を決めていくことが重要ということかなと思います。

つまり、いまあるペルソナのフォーマットを埋めるだけの作業にならないように、必要な情報を考えながら、ペルソナを設定することが必要です。

ここは物語を自分で描くつもりで、キャラクターの設定を意識するといいです。どの粒度でキャラクターを設定すればこのキャラクターは動きだすのか。これを考えることが大事です。

<STEP4>ビジネス(サービス)を構想する

■実施の流れ
7.ビジネス(サービス)を構想する
■ポイント
・技術からサービスを構想しない
・あるべき姿を描いてから何ができるかを考える
・ビジネスの収益性・実現性とユーザーニーズのバランスをとる

Xデザイン学校の山崎先生は「技術からサービスを構想しない」と仰っていました。私が別で学んでいる編集学校では「与件からはじめる」と言っています。

技術ややりたいことから発想してしまうと、発想が固定化されてしまう。

そうではなくて、まずは与件から始めること。そして、ユーザーのビジョンを実現するためにどう自社が関われば良いかを考えること。それがサービスの構想に繋がってくるんだと思います。

<STEP5>新たに生まれた欲求実現シナリオを設計する

■実施の流れ
7.構造化シナリオの作成
8.ストーリーボード、ワイヤーフレームの作成
9.ウォークスルー評価
10.オズの魔法使い
■ポイント
・小説のように物語を描く。ペルソナを矛盾なく動かす。
・アクティビティシナリオとインタラクションシナリオを分けて書く

ここでは物語を書きます。

物語の5要素は
・ワールドモデル
・ストーリー
・シーン
・キャラクター
・ナレーター
です。

サービスデザインにおける物語の5要素で置き換えると
・ワールドモデル(サービスの世界観)
・ストーリー
・シーン(顧客接点)
・キャラクター(ペルソナ・自社・ステークホルダーすべて含む)
・ナレーター(ペルソナの一人称で語った方が、ペルソナの世界観に入りやすそう)
です。

その5要素を盛り込みながら、設定したペルソナが、自分のビジョンを獲得するまでの物語を描いていきます。

大事なことは、「この人、そんなことしないよね?」とならないように矛盾なく描くこと。小説でも漫画でも「このキャラクター、そんなこと言わないよね、やらないよね」と読者に思われたら、その世界に入り込めないのと同じ。

物語を描き、自分が設定したペルソナは本当にそう動くのか?そんな自分たち都合でペルソナを動かさず、リアルを追求すること。そのあたりが物語を描いていくセンスだと考えます。

そして、Xデザイン学校では、「自分自身が体験的に考える」ことが大切だと仰っていました。

常に知的好奇心を持ちながら日々過ごすこと。誰かになりきって、その人の世界観を自分の中に取り込むこと。そんな姿勢が大事なんだと思います。

<STEP6>STEP1〜5を繰り返す

サービスデザイン、UXデザインを進めていく上で一番大事なことは、常に仮説検証を繰り返すこと。そして、仮説検証を繰り返して、必要な時には必要な場所まで戻れるように設計していくこと。それが大事です。

どんなに熟達してきたとしても、一発で良い解にたどり着くことは少ない。それはサービス開発も、いま私が進めているキャリア開発も同じ。

なので、

ここまでのプロセスを何度も何度も書き換えながら、よりピッタリくるサービスを考えること。そんな粘り強く、何度も修正を続けられることがUXデザイナーに求められる資質

かなと思いました。


■まとめ

元々、UXデザインを使った経験学習の方法を模索しようということで、2年前にUXデザインを学び始めました。そして、現在では、キャリア支援にUXデザインを持ち込んで、ユーザー1人1人にあった、キャリアの体験をデザインするということにチャレンジしています。

弊社では、サービスデザイナーと共に、パラレルキャリア開発支援のサービスデザインを行なっておりますが、ひとりひとりのキャリアに伴走してくれるUXデザイナー(副業)を探しています。

ぜひキャリア支援、人材育成に興味のあるUXデザイナーの方がいらっしゃれば、ぜひお話させていただけますと嬉しいです。

株式会社ビータップでは一緒に働く仲間を募集しています
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