はじめに
現在、私たちの開発チームでは、AIを単なるツールではなく、エンジニアリングを加速させる「パートナー」として定義し、積極的に導入しています。
新しい技術スタックに挑戦する際、かつてはドキュメントの海に溺れる時間が不可避でした。しかし、AIをフル活用することで、そのプロセスは劇的に変化しています。今回は、C# ASP.NET CoreとReactを用いた新規プロジェクトにおいて、私たちがどのようにAIと並走したのかをご紹介します。
エンジニアをブーストする、2つのAI活用術
私たちは現在、大きく分けて2つのアプローチでAIを活用しています。
1. ナレッジ・アシスタント(Side Assistant)
一つは、ChatGPTやGeminiを「いつでも質問できるシニアエンジニア」として使う方法です。
- コードスニペットの生成
- 実装方針の相談
- 複雑なエラーの解決策の提示
2. インエディタ・エージェント(Agentic Coding)
もう一つは、Cursorに代表されるAIエージェントによるコーディングです。これは単なる補完ではありません。エンジニアが意図(Spec)を伝え、AIがそれを元にコードの構造そのものを構築していく、まさに「AIがハンドルを握り、エンジニアがナビゲートする」開発スタイルです。
「バイブス」ではなく「ベストプラクティス」を求めて
今回のプロジェクトでは、バックエンドに C# ASP.NET Core、フロントエンドに TypeScript / React (Vite) を採用しました。
ここで重要だったのは、AIに「適当に動くもの」を作らせる(いわゆるVibe Coding)のではなく、**「最もクリーンな設計」**を導き出すためのガイドとして活用した点です。
- Docker構成の最適化: 開発環境と本番環境の差異を埋めるためのDocker設定。
- 言語固有の癖を克服: C#のモダンな書き方や、ViteとReactの連携における落とし穴。
これらをChatGPTやGeminiに深掘りして質問し続けることで、最短距離で堅牢なアーキテクチャを構築することができました。
Cursor (GPT-5.2) が見せた、驚異的なオートメーション
今回の開発で最も衝撃的だったのは、既存の静的サイト(Notion + render.soで構築)からコンテンツをReact側へ移行するプロセスでした。
1. 自己増殖するナレッジ
まず、Cursor(GPT-5.2モデル)に対し、現在のプロジェクトの「アーキテクチャ・ドキュメント」を作成するよう指示しました。これにより、AIが自ら構築した知識をコンテキストとして保持し、次回のセッションでも迷いなく開発を継続できる環境を整えました。
2. 95%の完成度を誇るクローニング
次に、既存サイトのコンテンツをReactコンポーネントとして移植するタスクを依頼しました。驚くべきことに、最初のプロンプトだけで全体の約95%が正確に移植されました。 残りのわずかな欠落も、追加の対話を通じて修正。手動であれば数日かかる作業が、わずか数時間、数プロンプトで完了したのです。
おわりに:AIと共に、エンジニアリングの「その先」へ
AIはエンジニアの仕事を奪うものではありません。むしろ、定型的な作業や情報の検索から私たちを解放し、**「より良い設計とは何か」「ユーザーにどんな価値を届けるか」**という本質的な思考に集中させてくれる存在です。
私たちは、最先端のAIエージェントを使いこなし、開発スピードと品質を極限まで高めていくチームであり続けたいと考えています。