2018年にエンジニアデビューした私が、SES会社を立ち上げた理由
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株式会社Codence代表の西野俊祐です。
私ははもともとRails案件を中心に、Web系の開発現場で何年も手を動かしてきた「現場の人間」です。
そんな私が、なぜSES会社を立ち上げたのか。今日はその話をさせてください。
SESの現場で感じた「違和感」
エンジニアとして現場に出ていたとき、私はずっと小さな違和感を抱えていました。
「なぜ、エンジニアのキャリアを真剣に考えてくれる会社がこんなに少ないんだろう」
SESという業界構造の中で、エンジニアは「単価」で語られることが多い。月単価がいくらで、どの現場にアサインするかが最優先。本人がどんなスキルを伸ばしたいのか、3年後にどんなエンジニアになりたいのか──そういう話は後回しにされがちでした。
私自身、Railsの案件でスキルを磨きながらも、現場の営業担当に「次はJavaの案件あるんだけど行ける?」と聞かれて面食らったことがあります。技術的な成長の文脈なんてまるで無視。ただ「空きがあるから埋めたい」という論理で回っている世界を目の当たりにしました。
こういう経験は、きっと多くのSESエンジニアが共感してくれるんじゃないかと思います。
「文句を言うだけ」の自分が嫌になった
現場の飲み会で、同僚のエンジニアたちと愚痴を言い合う日々。「うちの営業はわかってない」「案件ガチャだよな」──そんな会話を何度繰り返したか分かりません。
でもある日、ふと気づいたんです。
文句を言っている側にいる限り、何も変わらない。
SESの仕組み自体が悪いわけじゃない。問題は、エンジニアのキャリアを「人ごと」として扱う経営者が多すぎることだ。だったら、自分がその経営者になればいい──。
正直、最初は怖かったです。エンジニアとしてコードを書いている方がよっぽど楽だし、安定している。でも「誰かがやらないと変わらない」という気持ちの方が強かった。
受託開発の経験もあった。Ruby on Railsで自分たちのプロダクトを作ることもできた。でも、まずはSESという仕組みの中で、エンジニアが「ここに所属してよかった」と思える場所を作ることが先だと考えました。
Codenceで変えたかった3つのこと
Codenceを立ち上げるとき、私が決めたことは3つあります。
1つ目は、「案件の選択をエンジニアと相談する」こと。
よくあるSES企業では、営業が案件を決めてエンジニアに通達するだけ。本人の意志は二の次です。Codenceでは、複数の案件候補をエンジニア本人に共有して、一緒に選ぶプロセスを大事にしています。もちろん、すべての希望が通るわけではありません。でも「自分で選んだ」という納得感があるかないかで、同じ案件でもモチベーションがまったく違うんです。
2つ目は、「技術の方向性を一緒に考える」こと。
Javaエンジニアとして市場価値を上げたいのか、インフラに挑戦したいのか、マネジメント寄りに進みたいのか。エンジニアによって理想のキャリアは違います。だから私は、メンバー一人ひとりと定期的に1on1をして、「次にどんなスキルを伸ばすか」を話し合うようにしています。これは経営者としてではなく、同じエンジニアとしての感覚から自然に生まれたことでした。
3つ目は、「SESだけで終わらない会社にする」こと。
SESは事業のひとつの柱にすぎません。Codenceでは受託開発にも力を入れていて、SESで培ったスキルを自社のプロジェクトに活かせる環境を作っています。エンジニアにとって「いつかは自社開発に関わりたい」という目標が、同じ会社の中で実現できる。これが、私が考える「SESの正しい使い方」です。
創業して気づいた「経営者の孤独」と「仲間の大切さ」
創業期は、正直しんどいことの連続でした。
エンジニア時代は「コードを書けば評価される」というシンプルな世界にいた。でも経営は違う。営業、経理、法務、採用、メンバーのメンタルケア──やることは無限にあるのに、最初は全部自分一人でやらなきゃいけない。
特につらかったのは、最初の数ヶ月でメンバーがなかなか集まらなかったこと。SES業界では「小さい会社に入るのはリスク」というイメージが根強くて、「面白そうだけど、もう少し大きくなってから考えます」と何度断られたか分かりません。
それでも、一人、また一人と、私の想いに共感してくれるエンジニアが加わってくれました。
最初に入ってくれたメンバーに「なんでうちを選んでくれたんですか?」と聞いたら、こう言ってくれたんです。
「前の会社では、キャリアの話なんて一度もしてくれなかった。西野さんは面談のとき、僕が3年後にどうなりたいかを最初に聞いてくれた。それだけで、この会社は違うって思えた」
この言葉は、今でも私の経営の原点になっています。
AI時代に「人」を大切にする会社であり続けたい
2026年の今、AI技術が急速に進化しています。ChatGPTやCopilotが当たり前になり、コードを書くという行為自体の価値が変わりつつあります。
でも私は、だからこそ「人」の価値が上がる時代だと思っています。
AIはコードを書いてくれる。でも、クライアントの課題を深く理解して、最適なアーキテクチャを設計して、チームで合意形成していく──そういう「人間にしかできない仕事」の重要性は、むしろ増していく。
Codenceでは、AIツールの活用も積極的に進めています。実際に、C#とReactのプロジェクトでAIエージェントを開発パートナーとして導入し、生産性を大幅に向上させた実績もあります。
でも大事なのは、AIを「使える人材」を育てること。そのためには、エンジニア一人ひとりの成長を支える環境が不可欠です。結局、回り回って「人を大切にする」という原点に戻ってくるんです。
これからのCodenceがやりたいこと
まだまだ小さな会社です。でも、小さいからこそできることがあると思っています。
エンジニア一人ひとりの顔が見える。名前で呼び合える。困ったらすぐに相談できる。そういう「温度のある関係性」が、Codenceの一番の強みです。
今後は、SES事業で培ったネットワークと技術力を活かして、受託開発事業をさらに拡大していきます。エンジニアが「SESで経験を積んで、自社の開発プロジェクトでも腕を振るう」──そんなキャリアパスを、Codenceの中で実現できるようにしていきたい。
業界の「当たり前」は、一社では変えられないかもしれません。でも、Codenceが一つの選択肢として存在し続けることで、「こういうSES会社もあるんだ」と気づいてもらえたら嬉しい。
最後に
もしこの記事を読んで、少しでも共感してくれた方がいたら、ぜひ一度話をしに来てください。
コードの話でも、キャリアの話でも、SES業界への愚痴でも構いません。エンジニア出身の経営者として、一人の「元・現場の人間」として、あなたの話を聞きたいと思っています。
Codenceは、あなたの可能性を信じて、一緒にキャリアを作っていける会社でありたい。
そう思って、今日もこの会社を動かしています。