「フルリモート希望」は、もう珍しくない
IT・Web・DX領域でキャリア相談をしていると、リモート勤務を希望する方はかなり多いです。
・通勤時間を減らしたい
・自宅で集中して働きたい
・地方から首都圏の案件に関わりたい
・家庭や生活とのバランスを取りたい
・働く場所に縛られずにキャリアを作りたい
この希望自体は、とても自然です。
リモートワークは、働き方の選択肢として定着しました。
ただ、ここで一つ整理しておきたいことがあります。
リモート可と、フルリモート確約は別物です。
求人票で「リモート可」と書かれていても、実際には週数回出社が必要なケースがあります。
「案件によりリモート相談可」という表現もあります。
一部リモート、ハイブリッド、必要に応じて出社。
このあたりをすべて同じ「リモート」として見てしまうと、仕事選びの判断を誤りやすくなります。
公開求人で見ると、フルリモート確約は少数派
公開求人ベースで見ると、フルリモート確約の案件はかなり少数派です。
もちろん、検索条件や媒体によって数字は変わります。
ただ、2026年6月時点の公開求人をざっくり見ると、次のような傾向があります。
全職種・一般中途求人
doda全体では、公開求人307,697件に対して「フルリモート」に該当する求人は5,867件。
単純計算では、約1.9%です。
ただし、これはキーワード検索ベースです。
「フルリモート」という言葉が求人内に含まれている件数であり、厳密に完全在宅を確約している求人だけではない可能性があります。
それでも、全体の中ではかなり少数派です。
IT・Web系でも、フルリモートだけで探すと狭くなる
IT・Web系は、他業界よりリモート勤務との相性が良い領域です。
それでも、フルリモートだけに絞ると、選択肢はかなり絞られます。
Greenの公開求人で見ると、職種別のフルリモート該当率はおおよそ以下の通りです。
・バックエンドエンジニア
8,024求人中、フルリモート1,177求人
約14.7%
・フロントエンドエンジニア
3,205求人中、フルリモート586求人
約18.3%
・PM、リーダー
4,341求人中、フルリモート567求人
約13.1%
・Webディレクター
988求人中、フルリモート77求人
約7.8%
IT・Web系でも、フルリモートが多数派というわけではありません。
特にPMO、Webディレクター、社内SE、情シス、DX推進のように、関係者との調整や業務理解が重要になる職種では、フルリモートよりもハイブリッドや出社前提の案件が出やすくなります。
フリーランスはリモート可が多い。でもフルリモートは別
ITフリーランス案件では、リモート可の比率はかなり高くなります。
Freelance Boardの2026年6月調査では、掲載案件523,724件ベースで、働き方の内訳は次の通りです。
・フルリモート
24.8%
・一部リモート
56.4%
・常駐
18.8%
つまり、フルリモートと一部リモートを合わせた「リモート可」は81.2%あります。
ただし、ここでも大切なのは、リモート可とフルリモートは違うということです。
フリーランス案件では、正社員求人よりリモート可の選択肢は広がりやすいです。
一方で、完全在宅のみで探すと、やはり全体の4分の1程度に絞られます。
リモート可は多い。
でも、フルリモート確約は別物。
ここは分けて考えた方がいいです。
テレワーク経験者は増えた。でも全員がフルリモートではない
国土交通省の勤務実態調査でも、雇用型就業者の直近1年間のテレワーク実施率は全国16.8%、過去にテレワーク経験がある人でも25.2%というデータがあります。
これは「フルリモート率」ではありません。
テレワークを一度でも実施した人も含まれます。
つまり、全産業で見ると、完全在宅で働き続けている人は、この数字よりさらに少ないと考えるのが自然です。
コロナ禍で一気に広がったリモートワークは、今も重要な働き方です。
ただ、企業側の運用は少しずつ変わっています。
完全フルリモートよりも、必要に応じて出社するハイブリッド型に寄っているケースが増えています。
フルリモートだけに絞ると、何が起きるのか
フルリモートだけに絞ると、まず案件数が減ります。
これは単純な話です。
見られる求人が減る。
応募できる案件が減る。
競争率が上がる。
条件が合うまで待つ時間が長くなる。
それだけではありません。
案件数が減ることで、キャリアの選択肢も狭くなります。
たとえば、次のような経験です。
・要件定義
・基本設計
・顧客折衝
・PMO、プロジェクト推進
・社内SE、情シス支援
・DX推進
・新規システム導入
・AIツールやSaaSの現場定着
・業務フロー改善
こうした仕事は、オンラインだけで完結することもあります。
ただ、現場の状況を見たり、関係者と直接すり合わせたり、会議前後の小さな相談から課題を拾ったりする場面もあります。
そのため、企業側は完全フルリモートよりも、ハイブリッドや必要に応じた出社を求めることがあります。
ハイブリッドまで広げると、見える案件は変わる
フルリモートだけに絞る人と、ハイブリッド勤務も選択肢に入れられる人では、見える案件が変わります。
▼フルリモートだけを希望する場合
・選べる案件数が限られる
・競争率が高くなりやすい
・既に経験がある技術や工程に寄りやすい
・上流工程や顧客に近い案件が見えにくくなる
・条件に合うまで待ち時間が長くなることがある
▼ハイブリッド勤務もOKな場合
・案件の幅が広がる
・設計や要件整理に近い案件も見やすくなる
・PMOやDX推進などの選択肢が増える
・顧客や現場部門に近い経験を積みやすくなる
・次のキャリアにつながる役割を得やすくなる
▼フル出社もできる場合
・さらに案件の幅が広がる
・立ち上げフェーズに入りやすい
・現場に近い課題を拾いやすい
・関係者から信頼を得やすい
・推進役やリーダー寄りの経験につながりやすい
出社できる人が偉い、という話ではありません。
事情があって出社が難しい方もいます。
その場合は、その条件の中で最適な案件を探すべきです。
ただ、もしハイブリッドや出社も選択肢に入れられるなら、最初から閉じない方がいい。
働き方の条件を少し広げるだけで、出会える案件は変わります。
働き方だけで、キャリアを決めない
フルリモートは働きやすいです。
これは間違いありません。
ただ、働きやすさだけで案件を選ぶと、キャリアの広がりを見落とすことがあります。
エンジニアやIT人材の市場価値は、働く場所だけで決まるわけではありません。
・どんな技術に触れたか
・どんな工程を担当したか
・誰と仕事をしたか
・どんな課題を解決したか
・どんな役割を任されたか
ここが数年後のキャリアに効いてきます。
フルリモートで働きたい。
でも、キャリアも止めたくない。
そう考えるなら、フルリモートかどうかだけではなく、その環境でどんな経験が広がるのかまで見た方がいいです。
フェローシップDX事業部の考え方
フェローシップDX事業部では、IT・Web・DX領域の経験者を対象に、正社員・フリーランス双方のキャリア支援に取り組んでいます。
私たちは、リモートワークを否定しません。
・フルリモート可能なプロジェクト
・リモート相談ができるプロジェクト
・ハイブリッド勤務のプロジェクト
・オンサイトで現場に入り込むプロジェクト
さまざまなプロジェクトがあります。
ただし、プロジェクトによって条件は異なります。
だからこそ、私たちは「フルリモート確約」とは言いません。
その代わり、
・これまでの経験をどう活かすか
・どんな工程に広げたいか
・どんな働き方が現実的か
・どの条件は譲れないのか
・どの条件なら相談できるのか
・その選択が数年後のキャリアにどうつながるのか
を一緒に整理します。
フルリモート希望の人にこそ、選択肢を狭めすぎないでほしい
フルリモート希望は、悪いことではありません。
ただ、公開求人の数字を見ると、フルリモート確約案件は少数派です。
IT・Web系でも、フルリモートだけで探すと選択肢は狭くなります。
フリーランス案件ではリモート可は多いものの、フルリモート確約はその一部です。
だからこそ、最初から「完全在宅のみ」で閉じないことが大切です。
ハイブリッドOKなだけで、案件の幅は広がります。
出社も選択肢に入れられるなら、さらにチャンスは広がります。
働き方は大切です。
でも、働き方だけでキャリアを決めてしまうのは、少しもったいない。
・どこで働くか
・どう働くか
・何を経験するか
・どんな役割に広げるか
このバランスで考えることが、これからのIT・Web・DX人材には必要だと思っています。
フェローシップのWantedly募集一覧も、ぜひご覧ください。
気になる募集があれば、Wantedly上からエントリーをお願いします。
参考データ
・doda公開求人検索 2026年6月時点
・Green公開求人検索 2026年6月時点
・Freelance Board 2026年6月調査
・国土交通省 テレワーク人口実態調査