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開発秘話の中にあった。『ユーザーもまだ想像できていない』プロダクトはどう作るのか?の答え

日本を代表する製造業企業が多数導入しつつも、チャーンレートは1%未満という驚異的な数値を記録している人材スキル管理システム「SKILL NOTE」。誰もが手を付けなかった、誰もがサジを投げた課題に真摯に取り組んできたからこそ生まれたプロダクトです。
現在は多くの人たちから支持を集め、確実に規模が大きくなっているSkillnoteですが、代表の山川さんは「理想的なスタートアップの姿ではなかった」「まだ本当にやりたいことは10%しかできていない」と語ります。

・ユーザーからの評価を集めるプロダクトはどうやってできたのか?
・様々な業界から人が集まり、海外進出に至るまでどんな苦労があったのか?
といった話を「SKILL NOTE」の開発秘話を聞いきました。
その結果、
「ユーザーもまだ想像できていないプロダクトを作る」ということはどんなことなのか?
が見えてきました。

「今のままじゃ使えない」リアルな声から方向転換

ーーまずは初期構想の段階からお話を伺いたいです。当時は社名もプロダクト名も違っていたんですよね?

株式会社イノービアという社名で、プロダクト名は「モノづくりプラス」でした。構想を練りだしたのが2009年なので、現社員でもその名前を知っている人がほとんどいません。当時は、製造業向け研修ポータルサイトを提供していました。今のようなスキル管理サービスはなく、ポータルの中にものづくりの技術者が必要な情報を集約した形だったんです。


ーー全く別物だったんですね。開発はどのように進めていったのでしょうか?

開発の前に営業から始めました。いわゆる「作る前に売る」というスタイルで進めていましたね。
当初は私一人でやっていたこともあり、運転資金に開発を行うまでの余裕はなかったため、銀行から借入ようにも門前払いをされてしまい、自己資金を投入するほかありませんでした。

せめてということで、プロダクトを作る前に営業に行くことにしたんです。PowerPointでプロダクトイメージを作って、「こんな画面になって、こんなことができるんです」とプレゼン行脚を行っていました。そこでいただいたお客様のフィードバックを反映し、また次の会社にプレゼンという日々を繰り返して、はじめの受注を得られるまでには、数十社回って半年ほど経っていましたね。

いざ開発を進めるフェーズになると、私自身はソフトウェア開発に明るいわけではないので、知り合いに相談してエンジニアを探しました。当時は言語すらも知らない状況で。PowerPointの画面を見せながら、こんな風に作ってほしいと頼み込んでいました。


ーー初期段階のプロダクトでは、お客様の反応はいかがでしたか?

残念ながら、初期プロダクトの反応は良くありませんでした。

「これだと使えない」「こんな機能が欲しい」と、フィードバックが返ってました。そのフィードバックをもとに改良して、プロダクトを見てもらうと、また新しいフィードバックが返ってきて。初期はずっとこの繰り返しでしたね。数え切れないほどの改良を繰り返しました


ーーお客様の声をもとに改良を加えていったのですね。当時のプロダクト構想と今の「SKILL NOTE」とはかなり方向性が違うようですが、ピボットに至ったきっかけはありましたか?

何度改良を繰り返しても売れない状態が続いて、毎月赤字が続き、この提供価値のままではやっていけないと危機感を覚えていました。
そんなとき、自分の前職である信越化学工業の担当者が変わったんです。それまでの担当者は、私が勤めていた頃の上長でした。「山川がやるなら」と善意で買ってくれていた面も少なからずありました。

でも次の担当者は、前職時代に全く縁がなかった方です。だからこそ、忌憚ない意見をくれて。
「この機能があったら使いたいと思うけれども、今のままじゃ正直言って使いたくない」
と言われました。

この言葉を聞いて、我に返ったんです。なんとか機能を継ぎ接ぎしてやってきたけれども、
本来目指すべきはビジョンである「つくる人が、いきる世界へ」を達成すること
・既存のプロダクトにとらわれていては、本当に製造業の方々に貢献できる製品は作れない。
そう考えて、現在の「SKILL NOTE」の前身となる形にピボットすることを決めました。


ーー自己資金も投入し、毎月赤字の状態。そんな中で大幅なピボットするのはかなりチャレンジングな決断だったかと思います。

追い込まれていたからこそできた決断でしたね。今から振り返ると、あの時の意見を受け入れて本当に良かったと思います。それがなければ、今のプロダクトはありません。
ちなみに、彼が提案してくれた資格管理機能や受講歴管理機能、資格のテンプレートなどは今も残っているんですよ。

ーーお客様の声を聞いたからこそ、今の「SKILL NOTE」につながったんですね。


お客様の声×製造業の土地勘

ーー山川さんにとって、今の「SKILL NOTE」ができた理由は何だと思いますか?

お客様の声を徹底的に聞いたこと製造業の土地勘を持っていたこと、このかけ算だと思います。


ーー2つの理由があると。それぞれの事例を伺うことはできますか?

お客様の声を徹底的に聞いたという点では今も鮮明に記憶に残っている出来事があります。

ある製造業のお客様が導入を決めた際、現場の方々へのプロダクトの操作説明会を開いたんです。
するとパソコンをほとんど触ったことがない方ばかりで。結局、予定していた説明内容の半分も伝えきれずに説明会の時間が終了するという結果に終わってしまい、
「自分たちのサービスを使うのはこの人たちなんだ。そのためにはユーザービリティを徹底的に磨かねばいけない」と心の底から感じましたね。

今もその姿勢は大事にしており、定期的にお客様の声を直接聞く場を設けていますその場には営業やCSだけでなく、エンジニアも参加できます。生の声を聞くと、その後の社内ミーティングで「〇〇さんの悩みって、こうしたら解決できるんじゃないかな」「でもその機能実装をしても〇〇さんから分かりづらいって言われそうじゃないかな」なんて意見が出るんですよ。お客様の顔までを共通認識を持って開発を進められるのはSkillnoteの大きな特徴の一つですね。


ーーお客様の顔まで・・・!なかなかできることではないですよね。ちなみに製造業の土地勘とは、どのようなものですか?

単純にお客様の声を聞こうと思っても、私たちがやり取りする方は製造技術や生産系などの専門性に特化されているため、お客様の発言内容にはどうしても専門用語が多くなります。

そのため、
・ニーズの確認やお客様も気づいていない解決方法を見つける
・製造業界のことを理解していない「開発会社」の方が行う
という組み合わせでは、その専門用語でつまづいてしまい、表層部分の確認しかできないという結果に終わってしまいます。

しかしSkillnoteには製造業の専門用語も理解していて、どのような工程で作業が進むのかや、どこにどんな話をしていることが多いなどの「現場の空気感」まで分かるので、お客様の本当のニーズを引き出すことができます

たとえば、「品質」や「安全」という言葉を聞いて何を思い浮かべますか?言葉の意味は分かるものの、製造業の人たちとそれ以外の人たちでは重みが全然異なります

もし品質事故が起きてしまえば、企業はリコールなどで多大な損失を抱えることになります。絶対に避けなければなりません。安全についても同様です。製造業は危険と隣り合わせな現場が多く、人の命に関わる事故が起こる可能性もあります。ミスは絶対にあってはならないことなのです。

他業界の方でここまでの背景をしっかり理解できている人はなかなかいません。もし「開発会社」だと、お客様の要望にそのまま応えることしかできないと思います。しかしSkillnoteはこういった土地勘があるから、「それだったらこの機能ではなく、違うアプローチをしてもいいのでは?」と提案することができます。これが他社との違いであり、強みですね


ーー初期の構想から12年が経っています。変わったこと、変わらないことそれぞれあると思いますが、山川さんから見ていかがですか?

変わったことでいうと、プロダクトの方向性は180度変わりましたね
それにより、ユーザーからの反応も好意的に変わりました。SAPとの提携もあって、リードの獲得にも大幅に増えました。

一方で、今も変わらないのは「ビジョンとミッション」です。
ビジョンの「つくる人が、いきる世界へ」、ミッションの「人材の成長を科学し、ものづくりをアップデートする」の思いは、当時から何一つ変わりません。開発についても、徹底的にお客様の声を大事にするスタイルは今も受け継いでいます。製造業の方々に寄り添う姿勢は今もこれからも変えるつもりはありません。


「つくる人が、いきる世界へ」を目指して

ーーこれからの「SKILL NOTE」に必要なことは何だと思いますか?

まずはバリューの徹底です。
特に「現場・現物」「全員プロダクトオーナー」の2つは意識して取り組まねばなりません。

「現場・現物」は、とにかくお客様視点であることです。
我々が作ろうとしているスキルマネジメントの世界観は、お客様自身も描ききれていない、未知のものです。お客様以上に現場・現物で考えていく必要があると感じています。「人づてで聞いた」「インターネットに載っていた」ではなく、お客様に直接聞いて、足を運んで、自分の目で見ることを大事にしたいですね。

「全員プロダクトオーナー」は、当事者意識を持つことです。
開発も、営業も、カスタマーサクセスも、バックオフィスも、全員が「SKILL NOTE」を作り上げています。自分の役割にとらわれず、何ができるのかを考えて行動することが大事だと感じています。

ユーザービリティについてもこだわり続けていきます。
現在もお客様からは使いやすいという評価をいただいていますが、さらに上を目指します。
目標は「説明レス」の状態です。
ITリテラシーが比較的低い現場の方々に使ってもらうプロダクトだからこそ、説明すらせずとも直感的に使っていただけるようなUIを目指します。


ーー最後に今後の意気込みをお願いします。

私たちが目指すのは、ユーザーすらもまだ想像できていないようなプロダクトです。
非常に険しい道だと思います。

そのために重要なのは、常にビジョンとミッションに立ち返ることです。もちろんお客様の声を反映させることも大事です。しかし、目の前だけを見てお客様に言われたことを言われた通りに開発を進めても、目指す世界は実現しません。常に「つくる人が、いきる世界へ」を実現するためにどうすべきか考えて、視座を高く持ち、挑戦し続ける組織をつくっていきます。

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