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【前編】 ”自分なりの幸せ”を生きる人を増やすため、転職エージェントを理想形に変えていきたい。 - CEO interview -

日本のキャリア選択の形に感じた、強烈な違和感。

ーー本日はよろしくお願いします。濱上さんはキャリア支援領域で長くキャリアを築かれてきましたが、これまでのバックグラウンドをお伺いしたいです。

僕は石川県出身で、両親が教師という家庭に生まれました。友達の親も公務員や自営業の方が多く、いわゆるサラリーマンとして働いている人が身近にいなくて。教師以外の仕事内容も種類も、何も知らずに育ってきました。

そうして関西の大学に進学したものの、就活の時に初めて参加した合同説明会では、博報堂のブースに行列ができているのを見て『めちゃくちゃ人気の本屋さんがあるやん!』と思っていたり(笑)。そのレベルでまったく知識がなかったんです。

こうした経験から、地方から出てきた人や地方で就活をする人にとって〈就活市場におけるディスアドバンテージ〉を当事者として感じていました。

ーー自分でも気づかないうちに、得られる情報が制限されていたのですね。

本人の努力よりも、生まれ育った地や親の職業といった要因で、彼・彼女たちの可能性に制限がかかってしまうのはすごくもったいないという感覚がありましたね。

この課題感をなんとかしたいという想いから、就活後に学生団体を立ち上げ、学生のキャリア・就活支援を行っていました。

その後、新卒入社したリクルートでも、HR領域のディレクターとして企業の採用のコンサルティング、採用広告やインターン設計をしていました。

ーーリクルートでもHR領域に携わっていたとのことですが、わずか3年半で退職されているのですね。そこには何かきっかけがあったのですか?

企業の採用側に立ってみて『学生の時にイケてないと思っていた就活の仕組みは、企業側もイケてないと思いながらやっていたのだ』と気づき、衝撃を受けたからですね。

この気づきを受けて『学生も企業も、誰も良いと思っていないこの仕組みをなんとかしたい!』と思ったものの、リクルートはその仕組みを作った当事者ですから。このままここにいても、大きな変革を生むことはできないと感じてしまいました。

一方で、当時リクルートと並行して、前述のキャリア支援団体での活動も続けていて。毎日午前3~4時くらいまで双方の仕事をするような生活を続ける中で、『今の就活市場を大きく変えるには、キャリア支援団体に賭けた方が可能性が大きいかもしれない』と思うようになりました。

その頃、団体も大きな変革期だったため、創業メンバー数名がそれぞれの会社を辞めて、新たに法人を設立することになりました。これが前職にあたりますね。

元々、リクルートは長くても5年で辞めて独立するつもりだったので、年収が半分くらいになりましたが全く後悔はなかったです。


キャリアの岐路で感じた、次なる挑戦のテーマ。

ーー古巣にフルコミットし、そこからXbetの起業に至った背景には何かあったのでしょうか?

そうですね、前職ではオフィスで寝泊まりするような働き方をしていたので、30歳を超えて、結婚や子どもの誕生などライフステージの変化があったタイミングで、自分のキャリアや人生を改めて見直して『働き方を大きく変えなければいけない』と思ったんです。

そうして転職を視野に入れるようになり、人生で初めて転職エージェントに登録したところ、面談の質の低さにびっくりしまして……。

キャリアアドバイザーと1時間くらい面談をして、これまでの経験と今後やっていきたいことをたくさん語ったはずなのに、それを全く無視するような求人票ばかり数十件ズラッと送られてきて。

『え?話聞いてた?』と思いましたし(笑)、結局あの場で何を話しても同じような〈今までの経験やスキルで受かりやすい企業〉の求人票が送られてきたんだろうと思うと、もちろんそんな方ばかりではないとは思うのですが、そもそものエージェントの役割や在り方に疑問を抱いてしまいました。

ーー私も転職エージェントを利用したことがあるので、よく分かります……。

成果報酬がベースの転職エージェントでは、利益追求をする際に生産性を上げようと思えば『1人1人の候補者にいかに時間をかけず、より多くの求人を自社経由で受けてもらえるか』が追うべき指標になってしまいます。

ビジネスモデルから見れば、こうした力学が働いてしまうのは構造の問題で仕方がないと理解したうえで、現状のモデルの限界を感じましたね。

そして、これまで従事してきた新卒就活という社会の入口でいくら頑張っても、ライフステージの変化や外的要因でキャリアを見直すタイミングが来た時には、多くの方は転職エージェントに相談するわけです。この中途領域を変革していかないと、入口を整えても意味がないと感じました。

こういった現状への違和感・課題感から『中途領域において転職エージェントを理想形に変えていける仕組みを作りたい!』と思い、Xbetを創業しました。


コーチングとエージェントのハイブリッドで、本質的なキャリアコンサルティングプラットフォームに。

ーー転職エージェントを理想形に変えていくとは、具体的にどういったものでしょうか?

理想は、エージェントとコーチングのハイブリットだと考えています。

僕は『キャリアとは何か叶えたいものを実現するための手段だ』と考えているのですが、多くの場合は〈叶えたいゴール〉がなく、手段と目的が逆転していると感じています。

例えば、本来は『○○に挑戦したいからお金が必要で、だから年収を○○万円上げたい』という目的→手段の構造であるべきだと思うのですが、『現状年収が500万円だから、キャリアアップして600万円に上げたい』といった、目先のわかりやすい条件が先立ってしまうケースはよくありますよね。

この場合、目指していた年収アップを実現しても、おそらく幸せにはならないですよね。次は800万、次は1000万と目的がないままに希望年収は上がっていき、その給与で特別欲しかったわけでもなかったブランド物や車を買う。

これはこれで幸せかもしれませんが、もしかしたら年収は下がってでも、心が躍る仕事をした方が、その方にとってワクワクする人生になっていたかもしれません。

重要なのは、〈自身がどんな人生を生きたいのかを決めること〉だと思っています。

ーーたしかに、転職となると現状の不満などを解消することに目を向けがちで、本当に目指したいゴールは見ないふりをしてしまいますよね。

だからこそ、まずはコーチングを通じて自身の目指すゴールを言語化する。そうして、そのゴールを実現しうる戦略をどう作っていくかという観点でキャリアコンサルティングを行う。

ここまできて初めて、その戦略を叶えるための手段として、求人の紹介や面接を通過できるためのフォローをする〈一般的なエージェントとしての動き〉に移ることができると思っています。

それらを飛ばして、経験やスキルと条件のマッチングだけを行うのであれば、AIでも十分ですよね。

ーーまさに、エージェントとコーチングのハイブリッドですね。

そうなんです。重要な意思決定でありながら正解のない領域なので、〈自分自身の幸せを定義づけるゴール設定〉の観点で、コーチングが非常に活きる領域だと感じています。

ただ、キャリア設計でコーチングを利用される方も増えてきたと思っているのですが、注意すべきはコーチは〈キャリアのプロではない〉ということです。

僕自身もプロのコーチとしても活動していますが、コーチングを通じて理想のゴール設計をした際に、それらを叶えるアクションプランを考えるとなると、キャリア戦略の話になるケースが多くなります。とはいえ、キャリア戦略の部分は専門性の高い領域なので〈キャリアのプロ〉に相談しコンサルを受けた方が成功確率は上がる可能性が高いんですよね。

一方で、〈キャリアのプロ〉たる転職エージェントは、転職市場や求人企業の人材要件に詳しいアドバイザーではあるものの、ビジネスモデル上、個人の人生のゴール設定ができるような機能を持っていません。

そこを接続し、一気通貫でできるということが会社としても理想形だと捉えて、本質的なキャリアコンサルティングプラットフォームを目指しています。

インタビュー後編は<こちら


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