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付加価値をも生みだす、仕事に役立つ情報収集の方法とは

「情報の“鮮度”は半日しかもたない」と断言するのは、Coumの共同創業者であり現役コンサルタントとしても活動している金子賢太です。

理由は、日進月歩の時代だから。新しい技術が出ると、つい昨日まで話題になっていた最新技術がすぐにチープ化してしまう。常にアップデートしていないとついていけない時代だからです。

しかし「情報は玉石混交、アップデートするだけでは戦えないのも事実」と金子。コンサルタントにとって重要なのは、その情報をもとに独自の視点で考え、いかに付加価値のある提案を生み出すかなのです。

では、どのようにすれば他の誰にもマネできない自分だけの付加価値を与えられるのでしょうか。もちろん、その付加価値は的確な情報収集の上に成り立ちます。

いかに情報を集め、見極め、自分の価値を生み出すのか。金子が現在、実際におこなっている自身のノウハウを徹底的に公開します。

さっと掴む、全体を理解する、深掘するの3段階で収集

コンサルタントにとって「息を吸うように情報収集する」という意識は欠かせません。優れた提言やアドバイスをするためには、情報や自分の知見・経験がすべてのベースとなるからです。

私の場合、情報収集の目的は2つです。1つは普段から自分の視点を拡げるための情報収集。自分の興味関心だけを追っていると偏りが生じてしまうので、偶然の出会いを意図的につくっています。

たとえば自分が面白いと思っている人が、面白がっているものは何か。X(Twitter)やFacebookで興味のある識者などをフォローしながら、彼らが注目するもので気になるものがあればチェックします。よいと紹介されていた書籍も必ず一度は目を通します。まずは目次を見て気になれば読みすすめる。この場合、全部読まなくても構わない。たった5分程度読むだけでも、読まない人との差は大きいと考えています。

最近は3ヵ月に1度は、MBAの同級生と振り返りの会と称して集まっています。業界の異なる友人たちの視点や情報、考え方は非常に勉強になりますね。こんな風に、自然と偶然の“情報”の出会いが生まれるような環境を整えています。

そして2つめが、仕事上で仮説を検証するための情報収集。必要に応じて「さっと最新情報を掴む」「全体像を体系的に理解する」「深掘する」の3段階に分けています。具体的にどのような方法をとっているかを紹介します。

1.さっと最新情報を掴む

  • 「X」や「note」で、知りたい業界の識者をフォローする
  • 知りたい業界の先進企業や経済メディアの「メルマガ」をチェックする
  • 知りたい業界のキーワードを「Googleアラート」で登録する

2.全体像を体系的に理解する

  • 「業界紙」をチェックする
  • 「関連書籍」を3~5冊読む

けっこうマニアックな分野でも業界紙はあるケースが多いので、チェックするのはおすすめです。業界の今の流れを把握できます。

書籍は、信頼できる著者かどうかはもちろんですが、出版年が新しいものと古くても繰り返し重版されているバイブル的なものは両方に目を通します。新旧あわせて5冊も読めば、業界の全体感は捉えられるようになります。

3.深掘りする

  • ユーザーに対するヒアリング。「生の声」を集める

実は、これが非常に大事。自分にしか見つけられない情報を得られる可能性があり、なおかつこの情報こそが独自の付加価値をもつ提案につながる要素なのです。

ユーザーの生の声こそ、独自の視点を与えてくれる

Xやnote、メルマガ、業界紙や書籍などの情報は、どれも公開情報なので同じやり方をしていれば他者にも収集可能です。自分がつくりだす提案書に付加価値を与えるには、誰もが見つけられる情報の場にのっていない、誰も知らない情報を見つけ出す必要があります。

それがユーザーの生の声なのです。

家族や友人、知人、よくいく飲食店の店員さんや隣り合ったお客さんでもいい。自分が調べようとしている商品やサービスを実際に利用している人にヒアリングをするのです。ここにこそ、独自視点を生み出すヒントがあるんですね。また生の声は、クライアントの中でも特に経営層の方には非常に喜ばれます。皆さんも重視されているのでしょう。

私が、生の声を積極的に収集するようになったのは、キャリア5~6年目で担当したあるプロジェクトがきっかけです。クライアントは、いわゆる“プロ経営者”と呼ばれる、いろんな企業のトップを経験してきた方でした。ディスカッションを重ねる中で、彼が非常にユーザーの声を重要視しているのがわかりました。そして彼独自の解釈の根底には、必ずユーザーの声があったのです。

彼自身もコンサルタント出身でしたから、自分の価値の出し方というものを心得ていたのでしょう。ともかく彼の姿勢に感銘を受けた私は、当時マネージャーの一歩手前というキャリアもあって、独自の解釈・視点を持つには、そして自分の付加価値を生み出すためにどうすればいいかを徹底的に考え続けました。

玉石混交の情報を見極めるには。自分の基本OSの準備から

どんなに有益な最新情報やユーザーの声を探し当てたとしても、それを解釈し理解するための基本OSともいえる考え方が身に付いていないと、本来そこから得られる示唆・気づきの広さも深さもまったく異なってしまいます。

たとえば、ある企業の経営戦略をリサーチする際に、PESTや3C、SWOTなどのフレームワークが頭にあって分析するのか、そうでないかでは、大きくリサーチの効率と精度が変ります。

だからこそ、若い方にはまず基本OSを磨くための情報収集をおすすめします。私も昔は、自分のパフォーマンス向上につながる、コンサルタントに必須の思考方法や経営知識などの基礎スキルの情報収集が中心テーマでしたから。

情報はアウトプットをして、やっと自分の力になる

インプットをしたら、必ずアウトプットをしてください。ここが肝心です。

どんなに大量にインプットしても、アウトプットしないと情報の正確性や筋のよさについて客観視ができません。たとえば最近あなたが読んだ本、どんなことを感じたか覚えていますか。ぼんやりと「いい本だったな」「面白くなかった」程度の印象しかないなら、アウトプットをしなかった証拠です。

本を読んだり情報を得たりしたら、とにかく積極的にアウトプットする機会を設けましょう。そうやって自分の血肉となっていくのです。

トレンドに踊らされないことも大切です。鮮度しか価値のない情報は、半日もたてば無価値になります。それよりも入手した情報を基に、自分ならどう考えるか、どのように捉えるのか、独自解釈という付加価値をつくっていくことが重要です。

さらに、どんなに調べたからといって“完全に理解できた”という気にならないこと。つねにソクラテスのいう「無知の知」を意識して、自分の価値を磨き続けてほしいですね。



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