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レイカちゃんを作ったのは、実は一人の大学生(2/3)ハウステンボス納品秘話

レイカちゃんを一人で作りあげた、ヤスくんの秘話、第2章です。

こんにちは、利光泰徳です。東大工学部の機械情報工学科4年生で、現在はMITで交換留学をしています。2018年の2月から、半年に渡ってコネクテッドロボティクスでインターンをしていました。ソフトクリームを巻いてくれるロボット「レイカちゃん」の開発を、初期段階から納品まで担当していました。コネクテッドロボティクスでのインターンの経験、ロボットの開発の過程について紹介させていただきます。

1章は下記を参照して頂きたい。

レイカちゃんを作ったのは、実は一人の大学生(1/3) | コネクテッドロボティクス株式会社
コネクテッドロボティクスでは、沢山のインターン生が活躍してくれています。その中でも、もっとも成果を上げてくれたインターンは今回登場するヤスくんです。誰もが知っている(笑)?ソフトクリームロボット...
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ロボットとエンターテイメント性

次に工夫したのが、「エンターテイメント性」です。ロボットがソフトクリームを作っているだけでは、お客さんはなかなか興味を持ってくれません。この記事を読んでいただいているあなたはロボットに何かしら興味を持っているでしょうから、街中でソフトを巻くロボットがいたら面白いと思ってくれるかもしれませんが。渋谷のロボットコーヒー店「変なカフェ」の元店長の佐藤さん(現コネクテッドロボティクス)の経験からすると、目新しさで面白がってくれる人はいても、なかなか購入に繋がらなかったり、素通りされてしまうことが多かったようでした。

ロボットに「眼」

通行人の興味をひくためには、ロボットに「眼」をつける事が一つの方法だと考えました。カメラではなく、眼球を模した、動く部品です。ちょうど、眼球ロボットの研究をしている大学の先生と繋がることができたので、豊橋技術科学大学の林宏太郎先生との共同研究として眼球部分の開発を進めました。眼球のハードウェアは私が作り、それをどのようなアルゴリズムで動かすかを協議しながら、開発していきました。

動かすプログラムを設計するときにも気をつけたのが、ロバスト性です。最初に載せた動画を見ていただくと分かるように、このロボットは前に立った人を、眼と身体を回して追いかけて来てくれます。人を認識するときは、カメラからの画像に対して顔認識処理をして、人の顔を追いかけるのが常套手段かもしれません。しかし、カメラのピントや、昼夜の明るさの違いなどにより、顔認識がうまく動いてくれない場合があるかもしれません。その上、手を振ったりしても、顔ではないので何も反応してくれません。レイカちゃんでは、以上のようなことを考えた上で、動きを認識(オプチカルフロー)してその方向を向く、という方式をとりました。

その結果、とても有機的な振る舞いが実現できました。ロボットの前を人が通りかかると、動きを認識してそちらに視線と身体を向けます。その人が興味を持って近づいて一旦止まると、動きがなくなるのでロボットはそっぽを向いてしまいます。そこで気をひこうと人が手を振ったりすると、またロボットがじっと見てくれます。自然と、人からインタラクションを引き出すロボットを作ることができました。動くものは何でも認識するので、道を歩いている鳩などもじっと見てしまうところも可愛らしいです。

ハウステンボスのご協力のもとで、ロボットの眼球動作が来場者に与える効果を調べるフィールド実験も実施することができました。こちらの結果は、林先生と共著で論文にまとめました。初めての論文も、コネクテッドロボティクスでのインターンシップの中で書いたことになります。

ハウステンボスへの納品

2018年5月頃に、実際のお店に出店することが決まりました。ハウステンボスのお店に、たこ焼きロボットのオクトシェフと共に、7月に開店することになりました。自分が作ったものが実世界で使われることに対する嬉しさと、うまく動かなくなったらどうしよう、間に合うかなという怖さを同時に感じながら、急ピッチで開発を進めていきました。

ここでも追求しようとしていたのが「ロバスト性」です。ロボットのカリブレーションがずれてしまってもソフトクリームを作る位置は変わらないようにするためにはどうすればいいか、もしセンサーが壊れても(少し形は崩れつつも)ソフトクリームを作り続けられるようにするためには、などを考えながらハードとソフトの両方を改善していきました。

数週間ほど前になって、眼だけでなく、動物っぽく見せるための外装もつけることになりました。コネクテッドロボティクスが相談しているデザイナーの方はいたのですが、その人の予定が合わないということで、こちらも私がデザイン・設計することになりました。

Dobot Magicianのフォーム、眼の位置などを総合的に加味した上で、ハシビロコウを意識したデザインとなりました。本当にあらゆる業務をやらされるな、と思いながら、ポチポチとFusion
360という設計ソフトウェアで、くちばしや羽をデザインしていました。

納品業務はまさに「モグラ叩き」

ハウステンボスへの納品は、現地に出向いて計3週間ほどかけて行いました。たこ焼きロボットと共に納品するため、計4人のメンバー(内、2人はインターン生)でハウステンボスの寮に泊まりながら、毎日店舗に出向いて、ひたすら組み立て・修正、プログラミング・デバッグを繰り返していました。実際の店舗に設置しようとすると、想定通りにいかなくて苦労をすることが多かったです。ソフトクリームロボットは、コンパクトなシステムなので干渉することはあまりありませんでしたが、たこ焼きロボットはスケールが大きく、部品もたくさんあるので全てをうまく動かそうとするのが大変そうでした。その上、どちらも急ピッチで開発したシステムなので部品の強度が足らず割れてしまうなど、苦労の連続でした。

その度に東京のオフィスと連携をとりながら、強度をあげるように再設計して製造して送ってもらったり、その部品を使わないでも済むように工夫をしたりと、モグラ叩きのように問題を解決していきました。

ソフトクリームロボットは、私がほとんど全て開発しているので問題が起きたらだいたい原因の検討がつき、解決策もすぐに思いつくことができたのですが、たこ焼きロボットの方は何人も関わっているので問題の原因を突き止めるのが大変でした。いくら問題が起きてもめげずに、地道に解決策を探そうとするたこ焼きチームのタフさにはもはや尊敬の念を抱きました。

そして、トラブルがそもそも発生しないように十分事前にテストをすること、システムの仕組みを詳細に記述しておくことでトラブルが起きても原因が突き止められるようにすることの大切さを身をもって痛感しました。(今はたこ焼きロボットもソフトクリームロボットもそれらのトラブルを乗り越えて、しっかり動くシステムとして動いています!)

プレオープンの日に、納品チームで皆で写真をパシャリ。

見た目が鳥。ハシビロコウをイメージしているわけですが、やっぱり設定が必要ということで、レイカちゃんの説明資料も用意しました。

店舗には、下記2種類のロボットの説明が置かれ、お客様も見ながら、「へぇ~鳥なんだー」「ペリカンっぽいよねー」とか、様々ロボットを見ながら感じたままを話していました。

次回は、インターン生に期待することや、私が現在通っているMITについて記載していきます。


その1 出会いとプロジェクトスタート

レイカちゃんを作ったのは、実は一人の大学生(1/3) | コネクテッドロボティクス株式会社
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その2 ハウステンボス納品秘話

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レイカちゃんを一人で作りあげた、ヤスくんの秘話、第2章です。こんにちは、利光泰徳です。東大工学部の機械情報工学科4年生で、現在はMITで交換留学をしています。2018年の2月から、半年に渡ってコ...
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その3 MITとたこ足ロボット

レイカちゃんを作ったのは、実は一人の大学生(3/3)MITとたこ足ロボット | コネクテッドロボティクス株式会社
いよいよ、今回がヤスくんが作成したソフトクリームロボット(レイカちゃん)誕生秘話の最終話です。現在はMITへの留学中ですので、Skypeでのインタビューを中心にまとめました。こんにちは、利光泰徳...
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その4 インタビューを終えて

レイカちゃんを作ったのは、実は一人の大学生その4 (番外編)インタビューを終えて。 | コネクテッドロボティクス株式会社
ヤスくんへのインタビューを終え、様々思い出した点があったので、忘れないように記録しておきたいと思います。登場人物は私とヤスくんです。佐藤泰樹(以下、Taiki):新潟県出身、2008年上智大学理...
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