CourseVALUの川原です。
前回は、2023年2月のビジネスコンテストでSAP賞をいただいた日のことを書きました。今回はその直後、CourseVALUが初めて契約を取ったときの話です。金額は、300円でした。
早稲田大学のビジネスコンテストでまさかの入賞「最後の思い出」のはずだったビジコンから創業へ【もう一人の創業者から #1】 | 株式会社CourseVALU
売るものは、構想だけだった
ビジコンで話したのは、大学の授業で真剣に学んだ学生が、その成績に応じて企業からのダイレクトリクルーティングにつながる。そんなプロダクトの構想でした。
ただ、あくまで構想です。プロダクトは、まだ何もありませんでした。
それでも僕たちは、契約を取りにいきました。「ここから作ります。だから、最初のお客さんになってください」。売ったのは、商品ではなく、これから作るものへの約束でした。
相手は、ビジコンの審査員だった
最初のお客さんになってくださったのは、リザプロの孫さんです。実は私と同じ年ですが、起業家の先輩であり、既に早稲田の学生起業家で名が挙がる方でした。今ではAbemaなどに出演されていることで有名です。
商談の場所は、神楽坂にある孫さんのオフィスでした。会議室に通されて、僕たちは構想を話し始めました。
初めて見た、本気のセールス
ここで僕は、初めて松本の本当のセールスを目の当たりにしました。長期インターンの経験はありましたが、いわゆる商談の場を直に見るのは、これが初めてです。松本の営業は、とにかく熱量がすごかった。何もないところから、なぜこれが必要なのか、何を実現したいのかを、まっすぐにぶつけていく。さすがTeslaのトップセールスであり、アジアNo1。※松本は、実はイーロン・マスクに承諾をいただいて日本で初めて新卒で入社した人間。
商談はというと、最後は、孫さんのほうが折れてくれる形でした。
「では、300円で」これが、CourseVALUの最初の契約です。そして、初めての着金が300円になりました。あの圧倒的な勢いと熱気は、いまでも鮮明に覚えています。
なぜ、300円でも契約が必要だったのか
まだ何もできていないけれど、契約を取ったという「既成事実」をつくる。それが、当時の松本の考えでした。既成事実の大事さは二人で楽天のYouTubeを見たことが大きいかと思います。動画のなかで三木谷さんが既成事実を作り事業を展開していくやり方をみていたからです。
この既成事実が必要だった理由は、2つあります。
1つは、研究室の尾澤先生を巻き込むためです。尾澤先生は、僕が大学で所属していた研究室の先生で、いまもCourseVALUのコンテンツを監修してくださっています。先生には「もう契約を取ってしまったので、やるしかないんです」と伝える必要がありました。だから契約を取った直後、僕たちはその足で所沢キャンパスへ向かいました。あの日のことは、いまでもよく覚えています。
もう1つは、SAPのメンターの方との面談と、オフィスを見学させていただく会が控えていたことです。ビジコンの副賞でつながったメンターの方にも、「すでに契約を取りました」と実績を示したかったんです。
何もない中で、最初に信じてくれた人
今振り返れば、何もない中での無我夢中の営業でした。それでも、僕たちの想いに賛同して、最初のお客さんになってくれたのが孫さんです。改めて、感謝しかありません。
300円は、金額としてはとても小さな数字です。でも、あの300円があったから、先生を巻き込めた。メンターの方にも胸を張って会えた。そして何より、僕たち自身が「もう後戻りはできない」と覚悟を決められました。
ベンチャーやスタートアップにとって何がいちばん必要なのか。松本は、あの頃からそれを見据えていたのだと思います。
最初の一歩は、小さくていい
CourseVALUの仕事はいまも、何もないところから始まることがほとんどです。完璧な準備がそろうのを待つより、まず小さな既成事実をつくって、周りを巻き込みながら形にしていく。あの300円の日に見た動き方は、いまの僕たちの働き方の原点になっています。
次回は、その300円の契約から3日後の話です。僕は、IBMに入社しました。平日はIBM、夜と土日は早稲田。