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会社理念の「自分らしく、生きる」ってどういうこと?社長と新卒社員が語ってみました。

教育と探求社(以下、探求社)の会社理念、「自分らしく、生きる」。面談等でお話していると、よくこの言葉について「印象的だった」「惹かれた」と話題にしていただくことも多いです。

実際、会社で「自分らしく、生きる」ことはできるのでしょうか、また、「自分らしく、生きる」とは、どのようなことなのでしょうか。

今回は、創業者であり社長の宮地勘司(みやじかんじ)と、2020年に新卒で入社した、野田絵美莉(のだえみり)と香取美海(かとりみなみ)の3名に、「自分らしく、生きる」について語ってもらいました。

左から時計回りに、野田、香取、宮地。

<目次>
1.会社理念が「自分らしく、生きる」の会社って?
 新卒社員として入社して感じること
 社長、なぜこの理念にしたの?
2.会社で自分らしくいられる?その実態
3.最後に:すべての人が、自分らしく輝ける世界へ

1.会社理念が「自分らしく、生きる」の会社って?

新卒社員として入社して感じること


2020年に新卒入社した2人。はじめて「自分らしく、生きる」という会社理念をみたときどう思ったのか、また実際会社に入ってみて何を感じているかをお話してもらいました。

野田:そうですね、私は、採用ページをみたときに知りました。

当時、就活でいろいろな企業の採用ページをみていたのですが、「自分らしく、生きる」という言葉にはっとさせられて。お客様にどのように貢献するかということを理念として掲げている企業が多い中で、この会社はまず「生きる」というのが軸にくるのかと。なにか他の会社とは違うなと印象的でした。

香取:私も初めて見たのは、就活で探求社のホームページにたどりついたときです。私はもとから教育系の会社を探していたのですが、その中で理念をみただけでぐっときた企業は他になくて、この会社だけでした。

「自分らしい」っていう言葉そのものはいろいろな企業で使われているけれど、それって「自分らしく働けます」といった、人材募集のアピールとして使われていることが多かったんですよね。理念として掲げている企業はみかけなかったし、それが自分にささったなと思っています。

実際に会社に入ってみたら、どうだったでしょう。

香取:内定後にインターンさせてもらっていた半年間(2019年10月~2020年3月)は、単純に、「本当にいい人ばかりで、居心地のいい場所だな」と思っていました。

でも、実際に社員として働きはじめてみるとそれだけではなくて。思っていたよりずっと、「個人個人のキャラが良く出ているな」「自分らしさというのをみんなためらわずに出して働いているんだな」というのがわかりました。ただ単に、「仲良くて居心地がいいです」というものではないんですよね。

ただ単に周りにあわせて協調性があるという感じではなくて、みんなが個性を出しながら、それをつぶさずに一つの方向にまとめていく。こんなに個性際立った人たちが、一緒に仕事をやったり、同じコミュニティに存在しているというのが、本当に面白いなと思っています。

野田:私は、面接の時から、社員の雰囲気に違うものを感じました。就活でいろいろな企業の社員の人と接してきて、Web等で掲げている理念と実際の会社や社員の雰囲気に相違を感じることもあったのですが、探求社は「自分らしく、生きる」という理念に本当にもとづいているんだな、というのが社員ひとりひとりの雰囲気から伝わってきたんです。

面接でも、就職活動の面接ガイドに書いてあるような、一般的な質問である、「志望動機」「自分の長所や短所」「会社で実現したいこと」といった王道の質問を通して、時間内に自分が会社に合っていることをアピールしなきゃいけないような面接とは全然違くて。面接を担当している社員個人が、そのときその場で私に出会ったから聞きたくて聞いている、人として興味を持ってお話をしていると感じて、面接で初めて自分らしい言葉で話ができたなと思いました。

会社に入ってからは特に、みんな色々な個性が出ていて人間らしいな、人間味が深いなということを感じています。社長をふくめ、自分の感情に素直な人が多いですよね。生徒たちの発表をみて感動したり、悔しくて涙を流したり、社員同士で協力して乗り越えて泣いて笑ったり、それが自然にできる人たちが集まっている場だなと思っています。なんだか人が生きてる場所だな、と感じています。

社長、なぜこの理念にしたの?

「自分らしく、生きる」はどのような経緯で、会社の理念となったのでしょうか。

宮地:自分自身が型にはめられるのがすごくいやだったんだよね。高校生の頃はどちらかというと反抗的だったし、決められた枠組みが嫌いで。逆にベンチャーマインドや新しい可能性の追求が大好きで、私自身が新卒で入社した日本経済新聞社でもベンチャー企業や新規事業に関わっていました。

経営者とか起業家の人たちって、めっちゃ面白いんですよね。わがままだったり、とがっていたりするけど、自分自身を生ききっている人は本当に面白い。言い訳もないし。そうやって「その人がその人らしくあることの素晴らしさ」というのを、いっぱい見てきました。

一方で、人がその人らしさを発揮できないこともありますよね。社会全体に横たわる閉塞感のようなものもあり、人を去勢するような現状もあるわけで、そのようなものに対しての怒りに似たような想いがあったんですよね。「”人が最大の資源”と言いながら、なぜ人を抑圧し、その可能性を狭めるのか。この不条理と不合理はいったいなんなんだ」っていう。

だから、誰からも奪われることなく、その人が完全にありのままでいる姿、その人が自分自身を生ききっている姿を大切にしたい。そのことを「自分らしく」に象徴しています。どんな人も何かの才能を持ってこの世に生まれてきていて、その意味では誰かがなにかの天才。学びや経験を通して、自分は何の天才なのか自分自身でみつけていく。そうすると人は次第に輝き始め、その輝きは必ず他の人も幸せにすると思っています。

自分が教育をやろうと思ったのは、ある日、夢をみたのがきっかけでした。「中高生にリアルな社会を見せたらその子たちが輝きだす」それが見たくてこの仕事をやっています。

(※教育と探求社の創業物語はこちら。https://quest.eduq.jp/miyajikigyo1/

「中高生と企業経営者が交流するような教育イベントをやりたいんだけど、どうかな」宮地が夢をみて実現した、中高生と企業経営者が交流するイベント。2001年秋「日経エデュケーションフォーラム」(当時放送されたBSジャパンの映像より)

宮地:ここまで話すとずいぶん理念的な会社なんだなと思うかもしれないけれど、この形になるまでには紆余曲折もありました。

創業したころは「自分らしさとはなんだろう」「わが社はどんな未来を実現するべきなのか」と、会社の会議室が座敷だったので、そこで語り合いながら夜を明かすようなこともあったんですね。当時は、「いいことをやっていれば必ずうまくいくはずだ」「お金はあとから付いてくる」「理念を磨ききった会社だけが生き残る」と、ちょっと理想に酔っ払ってましたね。

しかし、「こんな未来をつくりたい」「教育の本質はここだ」などと延々と話していても事業は拡大しないし、お金はドンドン減っていくわけです。「そろそろなんとかしないと会社が潰れてしまう」という段階になっても、きちんとお金を稼いで持続可能な組織をつくるというリアリティは社員の中にはなかなか芽生えてこない。経済的な自立は社長である私の仕事みたいな意識になってしまっているわけです。しかし、それでは会社は続かない。論語と算盤の両方が大事なわけですから。次第に社員との間に溝ができていく。結果的にね、会社を守るために、同じ夢をみて同じ船に乗ったはずの社員とむきあってここまで戦うことになるのか、と思うようなこともあったんです。そのことをふまえて、やっぱり理念と実業の両立が大事だと考えて「生きる」を企業理念に入れることにしたんです。

「生きる」というのは、とても生々しいことです。心や思いに時間や場所は関係ないから今、この瞬間にどこにだって飛んでいけるし、どんな素敵な未来も思い描くことができる。しかし、この体にご飯を食べさせたり、洋服を着せたり、飛行機に乗せたりするわけだし、そのことにはお金がかかる。家族がいたらなおさらですよね。つまり「自分らしく」は無限の探求が許されているけれど、「生きる」はこの3次元世界での折り合いをつけなければならない。

だからこの両者をあえて読点「、」でつないで「自分らしく、生きる」という企業理念にしました。自分らしさとは何か、可能性を最大限に広げて探求を続けていくこと、そしてこの世界の中で確実に根を張りリアルに歓びの中で生きていくこと。すべての人がその両方をやって200%の人生を生きていってほしいと思っています。

2.会社で自分らしくいられる?その実態

実際に会社で働く中で、「自分らしく、生きる」ことはできるのでしょうか。今、それぞれが自分らしく生きてると感じているかどうか、お話してもらいました。

香取:自分らしく生きているかはわからないけれど、「自分らしさ」を常に探求しているとは思えています。それで、常に探求していられるのはなぜだろうと考えてみると、やはり社員のみなさんの存在が大きいと感じました。

社員がみんな、自分の”生身”でアタックしてくるから、自分も”生身”でいたい。私も、ひとりの人間としてちゃんとコミュニケーションをとりたい、関係性を築きたい。そういう気持ちが湧いてきて、それが自分らしさを探求していくことにつながっていると思います。

野田:私は、「自分らしさはこうです」ということは、全然言えなくて・・・。でも、人と話した後や、なにか自分なりにがんばった後に、ふと「これが私らしさかな」と気づかせてもらうことがあります。

最近思うのは、企業で働く人であれ、学校の先生であれ生徒であれ、話し始めてしまえばみんな一人の「人」ということ。その人に熱く語りかけてみたり、「どうやったらこの人が心を開いてくれるかな」と思って話していると、仕事だから話しているというより、その人に対して自分も素のまま、ひとりの人間として話していると感じます。

そういうとき、「自分も自分らしくないと自分の言葉で語れないな」と感じていて。マニュアルの言葉を並べるのではなくて、自分に素直でいることや、相手の感情を思うこと。そういうところで自分らしさが出ていたり、相手の自分らしさを引き出すことにつながるのかなと思っています。

宮地:ふたりとも共通して言ってくれたけれど、自分らしさって実は相対的なものでもあるんだよね。「私とは、これです!」と明確に言いきりたくなるけど、そうではない不確かな存在というか。ある幅の中で自分らしさってグラデーションがあって、だからこそ、「自分らしさ」っていったいなんだろう、っていつも考え続ける必要がある。

Having、Doing、Beingというフレームで考えたとしたら、バブルの頃は何を持っている人か。ブランド品とか、素敵なマンションとか、所有物がその人の価値みたいな。これが「Having」の時代。その後「Doing」の時代が来て、何をする人か?が大事になる。起業する人、ボランティアする人、勝利をめざすアスリートとか。しかし、今問われているのは「Being」。人としてどうあるのか、ということ。肩書きや学歴や年収なんて関係ない。「その人の存在そのものがすばらしい」という時代になってきている。前に立つだけで泣きたくなる神々しい先生とかほんとにいる。「存在の力」ってのはほんとにすごいし、大事なことだと思うんですよね。

宮地さん自身は、会社で自分らしく生きていると感じていますか。

宮地:えっとね、だいぶできているんじゃないかなと思いますね(笑)。実は7~8年前にも、当時の社員から「宮地さんは自分らしく生きているんですか」と問われたことがあるんですよ。そのときに自分自身をあらためて振り返って「いやー自分らしく生きてないなあ」と思ったんですよね。

そのときは、会社がつぶれかけてそこからなんとか立て直そうとしていたときで、必死ではありましたが同時に「自分が未熟だから経営の失敗をしたんだ」「そもそも自分は経営者には向いていないのではないか」と自分で自分を認められていなかったんです。もやもやしているとだめですね。当時は全然自分らしく生きれていなかった。

でも、実際に会社がつぶれたも同然の時期もあったけど、それでも今こうして結果として会社は十何年も続いて、私が社長をやらせていただいている。これはもうほんとにいろんな人達に助けていただいたおかげなんだけど、まさにサバイバーですよね。そこからはもう会社としても、いただいた人生ですよ。だから毎年正月にまた一年会社が続いてきたことに感謝しながら問うんです、今年も私が社長を続けてもいいだろうか?って。そんな覚悟のようなものができてからは、だいぶ自分らしくいられているんじゃないでしょうか。

「宮地が理念型で脇が甘いから、会社が傾きかけたんだ」という意見を言う人もいて、ある意味では、そこはそうだなと思うけど、逆にいうと、道なき道を無謀に進むということと、僕の脇の甘さは同じ楽観的世界観から来ていてこれはセットなんですね。どっちかだけはとれないんだな、と自分で思ったんですよね。

だからこの会社を実際に16年もやって来ることができていることは、もうそれで大筋オーケーなんじゃないかと。これがもうちょっと戦略的で合理的な経営者だったら、会社はもしかしたらもっと大きくなっていたかもしれないけど、きっとこの形にはなってない。今のこの教育と探求社を「いい会社だな」と思えているとしたら、それは自分にも及第点をあげようというふうに創業10年を過ぎた頃から考えることができるようになりました。その上で、私のだめなところもたくさんあるのはもちろんで、それをチームで補い合えばいいんだって。だから私は会社のみんなのことを尊敬しているし、感謝もしている。

この会社が、集まった人たちそれぞれの自分らしさを持ち寄って未来をつくっていく会社であるなら、社長の自分ももっと自分らしくあろうと。それを許せるようになったという、そんな感じです。自分らしさって実は簡単ではないですね(笑)

3.最後に:すべての人が、自分らしく輝ける世界へ

最後に、まさに理念として目指している、この世界で多くの人たちが自分らしく生きていくために、会社として個人として、今後していきたいことをお話してもらいました。

野田:私は「将来の夢はこれ」といえるものがなくて、周りの人に言われたことを夢ということにしてみたり、自分が本当に実現したいことが見えなくてずっと迷っていました。

仕事で接する子ども達をみていると、やはり親や大人に将来の夢を聞かれて、なにか答えないといけないような風潮って、いまだにたくさんあるなと思っていて。もちろん小さいころから夢がある人もいるけれど、そうでない場合は、早く何かを決めないといけないと急かされるのではなくて、子ども達自身が「これになりたいな」って自分で自然に言えるようになる世界、そういう人が増える世界がいいなと思っています。

実現するために私に何ができるか今はまだわからないけれど、そうやって将来に悩む子どもたちのそばにいたいなと思っています。まずは、私自身が大人や特に子供たちの前で、変に着飾ったり、恰好を付けたりせずに、正直な自分として、今までの楽しかった経験だけでなく、辛かった経験も語れるような人間でありたいですね。

香取:等身大の話ですが・・・「クエストエデュケーション」のコーポレートアクセスのプログラムで、参画している企業で働く人を学校の教室に案内するという場面があったとき、そういう場でも、私は少なくとも自分らしく、生身の人間でその場にいたいなあと思いました。

この会社の中で、先輩社員がしてくれているように、「生身でいてくれるからこそ自分も生身でいたい」という感じ、その居心地のよさや空気を教室でも共有したいんです。なので私はそういうあり方でいて、あわよくばそこにいる生徒だったり、きてくれた企業の人もその人自身である感じになってくれたらいいなと思っています。

先日教室で、「他に、企業の方に聞きたいことはないですか」と生徒に投げかけたときに、ひとりの子が「授業と全然関係ないんですけど、休日ってなにしてるんですか」と企業の方に聞いたんですよね。それで「ジム行ってるよ」「えー!ジムとかいくんですかぁ!」という会話になって。”企業の人”としか見えていないその向こう側に、”その人が生きている”っていう実感が伝わることに、新しいものがみえる瞬間、人と人がつきあう面白さを感じました。

私は、「自分らしくいる」ということを認め合える世界がいいな。わがままばかりとかそういうことではなくて、個性がぶつかりあったときにも、それを受け入れたり認め合える世界が作れたらいいなと思います。

宮地:「自分らしさとは何なのか」っていう探求は、すごい深いところがあるよね。

命ある限りお腹はすくし、毎日さまざまな雑事に追われながら生きている。だからどの瞬間も、「自分らしく」というのは難しいのかもしれないけれど、でもそんななかでも「自分らしい」と感じることができる瞬間が少しでも増えていったらすごくいいなと思っています。クエストや他の教育プログラム、企業向けの研修等も、そのことを広げていくための手段のひとつだと思っているので、この会社の仕事が広がっていくというのは、自分らしく生きる人が増えてひろがっていくということだと思っている。

今、多くの人の心の中にあるのは、”恐れ”だと思うんですよね。もちろん不透明な時代という事はあるけど、そうでなくても「こんなことが起こったらどうしよう」とか「こういうふうに思われたら困る」という恐怖心が誰の中にもあって、そのことが自分らしくあることができない理由になっていると思うんだよね。

だから、みんなが心の中にある恐れを少しずつでも手放せたらいいんじゃないかと思う。そしたら人はどんどん自分らしくなっていく。それがなくなるだけで人間はだいぶ進化できるんじゃないのと思っていて。だからこれからはその恐れをより多くの人がどうやったら手放していけるのかっていうのが、ひょっとしたら私たちの挑戦なのかなって、思っています。

いかがだったでしょうか。教育と探求社の企業理念、「自分らしく、生きる」について、それぞれが感じていることや考えていることを、社長と新卒社員2名に語ってもらいました。

「共感できそう!」という方は、ぜひ、気軽にお話聞きに来てください!

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