UXコンサルタントが考える、コンサルティングのコツと魅力とは? | フェンリル
こんにちは!デザインセンターの大脇です。フェンリルデザインセンターのインタビュー企画!今回話を聞いたのは、UXコンサルタント職で中途入社して4年目の大西です。フェンリルに入社を決めた理由や、UX...
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フェンリルでは、部門を越えてさまざまな勉強会が開催されており、デザインと技術に関する知見を深めています。
今回紹介するのは、障害がある状態について理解を深めるUD(ユニバーサルデザイン)体験会。2025年12月に開催した体験会を振り返り、主催したUXコンサルタントの大西に、開催の経緯や当日の様子を聞きました。
UDの定義は、「特別な製品や調整なしで、最大限可能な限りすべての人々に利用しやすい製品、サービス、環境のデザイン」とされており、「多くの人に使いやすい」ということが前提にあります。
年齢や性別、障害の有無などにかかわらず、すべての人が使いやすいように設計するという考え方です。
私がUDに興味を持ったきっかけは、大学生の時にアシスティブ・テクノロジー(※)に関する国際会議に参加したことでした。UDフォント開発のための基礎研究や、視覚障害がある方を対象とした博士論文の研究など、特に視覚とUDに関連する活動をしてきました。 ※障害による物理的な操作上の不利や障壁(バリア)を乗り越えるための技術や機器
フェンリルに入社後、ユニバーサルデザインチームが実施していたUDガイドライン作成の取り組みに参画しました。しかし、UXコンサルタントは企画フェーズが完了するとプロジェクトから離れることが多いので、アプリやサービスの開発案件で業務として直接UDに携わる機会は限られていました。そのため、個人でWCAG(Web Content Accessibility Guidelines)やAPCA(Advanced Perceptual Contrast Algorithm)について勉強を続けていました。一度だけ、博士課程時代に得た知見を生かして、ウェブサイトのUD対応チェックを担当したことがあります。その際は、とても有意義で楽しかったことを覚えています。
大西のキャリアについては、こちらの記事をご覧ください
UD体験会とは、デザインセンターのメンバーを中心に、オフィスで障害がある状態を体験する会です。体験を通して、障害があるユーザーの視点を少しでも得ることを目的としています。運営しているのは、デザインセンターのメンバー6名。社内でユニバーサルデザイン意識向上プロジェクトを立ち上げ、今年度から活動を始めました。
フェンリルでのUDに関する取り組みは、「WCAG準拠」などの実務知識はあるものの、ユーザー視点の獲得という観点ではまだ伸び代がある状態だと感じていました。まずは小さな一歩として、UDに関心のあるメンバーをSlackチャンネルに招待し、座学と体験会を実施しました。
10月に開催したUD体験会では、視覚障害がある状態を体験する多くのプログラムを用意しました。メインは「視力低下とまぶしさのシミュレーション」と「白杖での歩行体験」です。
視力低下とまぶしさのシミュレーションでは、社内の展示物や自身がデザインしたアプリ画面などを、ポリエチレン製テープ越しに観察しました。
UDに関する話をするときによく耳にするのが、「街で白杖を使用している方を見かけても、使い方や声の掛け方に迷うことがある」という意見です。そこで、白杖を使った歩行体験を実施しました。
白杖を使うと、歩く先の路面の変化や障害物を察知することができます。安全を確認するための「レーダー」のような役割があり、周囲の状況を把握するための大切なツールです。
今回は、白杖を使ってオフィスの中を歩いてみたり、歩行をガイドする練習をしてみたりしました。「白杖で段差を見つけるのは意外と難しい」「ガイドの人に速く歩かれると怖い」など、いろいろな発見があったようです。
その後はコンビニへ行き、ポリエチレン製テープ越しに値札を観察したり、セルフレジでの支払いを試してみたりして、視力が低下した状態での見え方を体験してもらいました。中にはアイマスクをしてお菓子を食べてみるメンバーもいました。
どの体験も参加者の皆さんが新鮮な反応をしていて、UDに興味を持ってもらえたようで安心しました。
私はSlackで開催告知を見て参加しました。フェンリルに入社してすぐにMUDアドバイザーの資格を取りましたが、業務でその知識を生かせている自信がなかったので、UD体験をしてみたいなと思っていたところでした。
このような視覚体験は初めてでした。普段は裸眼で生活していますが、ポリエチレン製テープを通して見ると、思った以上に見えなくて怖かったです。視界が悪い中、視認しやすいポスターやアプリなどを見ると、とても安心しました。
日常の風景が全然違う見え方になる体験を通じ、デザイナーとしての意識が改まりました。標準的な色やサイズの知識にとどまらず、多様な特性を持つユーザーが、それぞれの環境で不自由なく利用できるかどうか、体験全体を見つめ直す必要があると思うようになりました。
体験会を終えて、今後の業務にどう生かすかという課題が見えました。今回の体験とメンバーが持つ思いやりを、次のデザインにどうつなげるのか、その道筋を整理しているところです。
今後は、体験会を他の部署へ広げるほか、聴覚や言語などの他の障害について理解を深める勉強会や、当事者の方にお話を伺う機会を作りたいと考えています。
アクセシビティやUDというと、UIデザインの文脈では視覚、特に色に関する内容が強調されがちです。しかし、UDの基本理念は「多様なユーザーを想定して設計する」ことです。もちろんビジュアルデザインの観点から視覚障害の理解を深めることは大切ですが、さまざまな年齢、文化、特性について学び、少しでも多くのことを吸収して、やさしいデザインを提案できる仲間を増やしていきたいです。