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「リサーチはクリエイティブな業務」正しいユーザーニーズの理解が消費者の心を動かす

学生時代にアルバイトとしてFICCに入社し、現在4年目を迎えたマーケター 土方将平。プロモーション案件が多いFICCのなかで、彼はソーシャルリスニングと呼ばれる手法でリサーチを行い、戦略を立案する案件を多く担当してきました。

数千、数万といった単位のSNS投稿を収集し、定性的にユーザーのインサイトを分析する土方。クライアント、そしてユーザーに価値提供を行うために彼が大切にしていることはなんなのか、インタビューを行いました。

マーケティングとは「人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること」である

マーケティングの仕事に関わるようになってから、「マーケティングの仕事って何するの?」と聞かれても、よい言葉がずっと見つからなかったんです。だけど、最近自分の中で一番しっくりきている定義があって。

それは、「人間や社会のニーズを見極めてそれに応えること」。これは『コトラー&ケラーのマーケティング・マネジメント』という書籍に書いてある、マーケティングの意味そのものなんですが、僕にとってはこれこそが仕事だし、僕が行う “価値提供” だと考えています。

というのも、FICCとしてはプロモーション案件が多いなか、僕はプロモーションを企画する一つ前段階の「リサーチ」を中心とした戦略立案を担当することが多いんですね。様々な商品のユーザーインサイトを発見したり、ペルソナをつくることで、ターゲットユーザーを明確にすることを続けてきていて。それはつまり「クライアントの商品を利用することで、ニーズが満たされる人は誰なのか?」というリサーチなんです。こういったリサーチを基に戦略を組み立てていきます。

リサーチと言っても一般的な定量分析ではなく、ソーシャルメディアなどの様々なインターネット上の口コミを分析して、仮説を立てていく “ソーシャルリスニング” という手法を用いて行っています。定性的なリサーチになるため、定量的なリサーチに比べて信頼性が高いとは言えませんが、ソーシャルメディアなどで普段何気なくつぶいているユーザーの投稿からユーザーニーズの本質に迫ることができると思っています。

なぜニーズを見極めることが重要かというと、極論ですが、本当にその商品を必要としている人たちを見つけることができれば「こんな商品ありますよ?」と伝えてあげるだけで、その商品は自然と売れるはずなんです。

つまり人間や社会のニーズを見極めて、クライアントの商品を通じて応えることができれば、ユーザーへの価値提供に繋がり、それはすなわちクライアントのニーズである継続的なビジネス成長にも繋がると思っています。

「なぜその商品を買うのか?」消費者のインサイトをつかみ、ニーズを見極めていく

では、どうやってソーシャルリスニングでリサーチするかというと、まずその商品を買ったユーザーの投稿を探します。そしてそのユーザーの他の投稿をさらに深掘りしていきます。多いときだともう数万単位で投稿を見るんですけど、その商品がおいしい、マズいといった感想だけでなく、「こういう生き方をしたい」とか「ツラい」といったポジティブな感情、ネガティブな感情を探していきます。そうすることで、その商品を買うことに繋がったユーザーのインサイトというのが見えてくるんです。

たとえば、とある飲料のリサーチを行ってみたんですね。個人的に「なんで買ってるんだろう」と思って調べたんですけど(笑)。その商品を買っている方は女子高生、女子大生が多くて、スタバにもよく行くし、スタバの写真をInstagramに投稿したりする人たちが多いと。いわゆる “イマドキ” な女の子たちなんですけど、彼女たちがその飲料製品を結構な頻度で買っているんですね。 同じような味の飲料はたくさんあるのに、なぜこの飲料なんだと。

なぜかなと考えると「おいしい」だけでなく「おしゃれ」というのも彼女たちにとっては重要な要素で。持ち物一つひとつに思い入れがある方たちなので、持ち物で彼女たちの “らしさ” を表現しているんです。だから、できれば学校でもおしゃれなノートにおしゃれなペンとかを添えながら、スタバの写真をSNSに投稿したいんですよ。だけど、お金がかかっちゃうから毎日はスタバを買えない。そこでスタバの代わりじゃないですけど、パッケージがおしゃれなその飲料製品を買って自分の世界観を満たすんですね。しかもペットボトルだからバッグの中に常に入れておけるのもポイントでした。授業のために頻繁に教室を移動するからです。

まだこれも表面的な部分なので、もっとリサーチを重ねていく必要がありますが、買っているものには消費者の深いインサイトが関係しているので、そういうのをしっかりと見つけてあげることが、ニーズを見極めていくことに繋がっていくんですよね。

僕はユーザーニーズを発見した後の施策に関わることは少ないですが、自分が考えたターゲット像を基に施策が生まれ、案件が成功しているのを見ると、やっぱり嬉しいですよね。

「クリエイターに憧れていた」リサーチは僕にとってクリエイティブな活動

もともと僕はクリエイターにすごい憧れていたんです。だけどデザインセンスもないし、クリエイターになりたかったけどなれなかった、というのがあって。そこで自分ができることはなんだろうなと考えると、集めて、まとめて、よい形に編集するというのは結構得意だなと。

一番はじめは中学生のときにさかのぼるんですが、そのころからキュレーションサイトみたいなことをやっていて。大学生のときには、自分で学んだことをメモ的にまとめて発信するブログをつくったりもしていたんですね。

デザインの素敵なサイトだったり、マーケティングの知識だったり、自分が学んだり調べたりしたことを再編集してまとめて書いたら、誰かの役に立てるのではないかという想いがあったんです。たまたま記事がバズったことがあり、1,000以上のいいねや、2,000近いはてなブックマークがついたときは誰かの役に立てたことを実感しましたし、誰かの人生の1ページになれた気がして。

そういった思考は、いまの仕事にも非常に役立っているなと。いまでこそ “キュレーション” という言葉が流行っていますが、リサーチも結局、調べて情報を集めて、まとめて再編集することで価値が生まれるもの。リサーチって、僕ができる一番のクリエイティブな活動なんですよね。だから、やっていて楽しいなと日々感じています。

もちろん、FICCのプロデューサーは社内に優秀なディレクターやクリエイターさんたちがいるので、プロジェクトとして一緒にアウトプットまで落とし込むこともできます。

たとえば、表参道ヒルズにあるシュウ ウエムラのデジタルサイネージ企画をプロデューサーとして担当させていただいたとき、クリエイティブアイデア出しにも参加させていただき、自分のアイデアも一部取り入れてもうことができました。憧れのディレクター陣と一緒に創り上げたものが表参道にできたときは、もうめちゃくちゃ感動しましたね。こういったクリエイティブな案件にも携われるのが、FICCならではだと思います。

また、このFICCのコーポレートサイトもプランニングを担当しました。全体設計はもちろん、テキストライティングやコピーライティング的なことも担当して。もともとWebサイトをつくることが好きだったのですが、自分でデザインをすることはできなくても、プランナーという役割があることに気づけたのは嬉しかったです。

FICCコーポレートサイト https://www.ficc.jp/

人間がやるべき仕事はたくさん。フレームワークに落とし込み、自動化させること

まだ完全自動化ではないんですが、ソーシャルリスニングを自動化させるための設計をしています。自分でカチカチとパソコンを叩いてやるだけじゃなくて、どういう文章を拾ってきて、どういう分析をしたら資産になるようなアウトプットになるのか、それをフレームワークに落とし込んで自動化させていくんです。

たとえば、カスタマージャーニーマップを引いて顧客分析を行ったりするんですが、ユーザーが「また買っちゃった」という投稿をしていたらリピート購入のラベルを自動でつけるわけです。そして、顧客属性の割合をキャンペーンを行う前と行った後でどう変わったかを数値化することで、キャンペーンが良かったか悪かったのかが可視化されます。

将来的には人工知能とかを使ってもっと自動化できるんでしょうけど、まずはそうやって半自動化させて行っています。フレームワークに落とし込むことで、ナレッジが洗練されるし、効率化されるし、担当するお客様が変わっても案件が変わっても、会社にとっては資産が残る。

これってFICCのいいところで、最初は泥臭く自分で調べたりとか作業を行うんですけど、カタチになったものはフレームワークに落とし込むようにしているんですよね。そしてフレームワークに落とし込むことで、同じことを違う人ができるようにする。しかもフレームワークができると、エンジニアの方からすると「これ自動化できるかも」となるわけですよ。

また、これはFICCが目指すところでもありますけど、「広告がすべてのニーズに応えるコンテンツになる」というのが実現する世の中って素敵だなと思うし、そういう活動に少しでも加担していたい。ソーシャルリスニングではこういう人のこういうところを見ているんだよ、というのを落とし込むことができれば、One to Oneの広告がより実現するわけですよね。

いまはできなくても、いつかテクノロジーが追いついてくるので、いまは来るべきに備えて大枠を描く考え方をすることが大切。常にニーズに応えるコンテンツを生み出すためにはどうすればいいか、考えていたいですね。

そして、やっぱりFICCでの4年間を通じて「自分、マーケティング好きなんだな」というのを気づいたので、一生マーケターでありたい。そう思っています。

インタビュー:FICC 土方将平 / 文・写真:永田優介


※本記事はFICC 公式サイトにて、2016年12月9日に掲載したコンテンツを転載しております。本コンテンツはこちら https://www.ficc.jp/inside/20161209/

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